サムスン精密化学、セルロースでシェア拡大し黒字転換

サムスン精密化学、ついにターンアラウンド 

  • < ソン・イニ社長 >

世界的な化学業界の不況にもかかわらず、生産設備の稼働率を高めている工場がある。韓国の蔚山市南区に位置したサムスン精密化学蔚山工場だ。この会社は2013年の203億ウォンと昨年の243億ウォンなど2年連続の赤字を記録したが、今年は上半期だけで2億ウォンの利益を出し、3年ぶりに黒字にターンアラウンドする見込みだ。

毎日経済新聞は去る4日、実績ターンアラウンドの産室であるサムスン精密化学蔚山工場内のグリーン素材研究所とセルロース系のヘセルロース工場を訪問し、危機克服の原動力を取材した。白い顆粒形態のセルロースは水を粘着性の液体に変える性質のため、建築用接着剤などには不可欠で添加する化学物質だ。サムスン精密化学はこの物質でペイント粘度を高める添加剤「 Hecellose(ヘセルロース)」、タイルの接着剤などに使われる建築用添加剤「Mecellose(メセルロース)」などを製造する。

サムスン精密化学蔚山工場のチョ・ソンウ工場長(専務)は、「工場増設などを通じて原価を20%下げ、質の落ちる中国産製品よりも安い価格で市場に出している」とし、「ヨーロッパのみに販売していたセルロースを、積極的な営業を通じて東南アジアと南米・米州などで売り出して市場シェアを高めた」と説明した。

このような努力でセルロース系では後発だったサムスン精密化学は、いまや115カ国に輸出する世界シェア4位(昨年基準11.6%)の企業に上がった。同時に、2012年は60%に過ぎなかったセルロース工場の稼働率もいまや85%以上に上昇した。

労使が一つの目標に力を合わせたことも大きかった。一例として、今年入社27年目で「ヘセルロース」の生産設備の調整室で勤務しているユン・ハソプ氏(50)は最近、調整室のモニターの前に横2メートル、縦1メートルに達する大型世界地図をかけた。自分が提供する製品がどこに輸出されて、ダウなどのグローバル競合他社がどこにあるか一目で把握するためだ。ユン氏は「2~3年以内にグローバルトップ企業になるという目標を、地図を見るたびにきざみつける」と付け加えた。

  • < 3年ぶりに黒字転換したサムスン精密化学 >

コスト削減、輸入先の多様化をはじめ、労使が協力することができた基盤は何よりも技術力のおかげだ。この企業は数多くの試行錯誤の末、1994年に独自のセルロース系製品の開発に成功した。

グリーン素材開発チームのチェ・ナグン チーム長は、「1990年に開発に着手した当時、メセルロースの製造技術は米ダウや独バイエルなど、いくつかの先進企業だけが持っていた高難度の技術」だとし、「これらが技術移転を渋る状況で、独自の研究チームを設けて独自開発するほかなかった」と語った。

2010年、世界進出に拍車をかけるために、各地に散らばっていた研究者を集めてグリーン素材研究所を誕生させた。この研究所では建築用、医薬用、食品用製品に続き、2011年にペイント添加剤であるヘセルロースまで開発して、セルロース系製品の主要な4大市場に対応するフルラインナップをそろえた。現在、年間生産規模はメセルロース3万7000トン、ヘセルロース1万1000トン、エニコート(Anycoat)7400トン規模だ。降り注ぐ発注量に対処しつつ輸入先拡大のために、生産設備の増設も近いうちに国内外で行われる見通しだ。

サムスン精密化学が危機を瞬時に機会に変えることができたのは、従業員のDNAに浮き沈みの多かった会社の歴史が内在していたからだ。サムスン精密化学はサムスン系列の中で最も紆余曲折の多かったところにあげられる。サムスン精密化学の母胎である韓国肥料は、サムスングループ創業者の「湖巌(ホアム)」李秉喆(イ・ビョンチョル)会長が1964年に設立した。サムスングループの母胎企業になりえたが、1966年に起きたサッカリン密輸事件の主犯と指摘されて国有化された。それから27年後の1994年に民営化され、サムスンの系列社が金を集めて買収してサムスンの胸に戻ってくる。

サムスン精密化学のソン・イニ社長は、「痛みを経験せずに強い会社になることはなく、切迫の中で創造性が発揮されるわけだ」とし、「50年あまりの間に蓄積した成功DNAで世界の中心企業を作り、さらにサムスングループの中心企業に育てる」と語った。

  • < サムスン精密化学の研究員がグリーン素材研究所で製品をチェックしている。 [写真提供=サムスン精密化学] >

  • 毎日経済_蔚山=ユン・ジノ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-09-06 18:13:44.0