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数字経済 > 経済 > 流通業界の悪夢になった「チャイナドリーム」…イーマートも2店舗を閉店
△写真=シャッターを下ろすイーマート:2010年には中国で27店舗を運営していたイーマートは引き続き店舗数を減らし、「脱中国」を本格化している。上海店から中国人が買い物を終えて出てきている。 [毎経DB]
サード配置にともなう中国の報復水位がますます高まり、中国に進出した国内流通業界が生死の岐路に立った。これまでにも中国市場で困難を経験したが、いまは完全にシャッターを下ろして店を閉じなければならない最悪の状況に直面したわけだ。財界では、一時は新たな機会の土地として評価を受けた中国が国粋主義的な行動を見せたことから、今では国内販売代理店の墓になったという評価が出ている。
6日、流通業界によるとイーマートは今年、上海に所在する2つの店舗を閉店する計画だ。 イーマートの関係者は、「近いうちに賃借契約が満了する上海・老西門店は、契約をもう延長せずにもうすぐ店をたたむ予定」だとし、「もう一つの上海地域の店舗一ヶ所も、今年中に閉店することに方針を固めた」と語る。
イーマートが今年2店舗を閉店することにしたのは、これまで継続的に推進してきた段階的な中国市場撤退戦略の一環だ。しかし「サード報復」とみなすしかない中国当局の「ロッテマート叩き」の政治的力学関係が作用して、イーマートの中国撤退速度も速くなるだろうという分析が出ている。かつて27店舗にも達した中国内の店舗は今年は7ヶ所に減ったが、2店舗がさらに閉店すると、中国には今後は5店舗のみが残る。一部では残り5店の閉店の具体的な議論も本格化するだろうという観測が出ている。
イーマートが中国で自主的に店をたたむなら、ロッテマートは中国当局によって強制的に閉店している立場だ。実際に、中国当局の営業停止措置で店を閉めるロッテマートの店舗数は急速に増えている。 5日までに4ヶ所だった営業停止店は6日午後3時現在、23ヶ所に増えたことが分かった。中国のロッテマートの店舗4ヶ所のうち1ヶ所が営業停止で閉店したわけだ。
ロッテマートの関係者は「中国当局の消防・衛生検査が続いており、営業停止店舗は今後も増えると予想される」と語り、今後の被害は大きくなると予想される。
このように国内の流通業者が中国で苦戦する理由は、イーマートの中国進出と撤退の過程にそのまま表れている。
イーマートの中国大陸進出は20年前にさかのぼる。 1997年2月、中国の上海に所在する曲阳店を初めてオープンしたイーマートは、当時大韓民国の大型マートでははじめて中国に単独店舗をオープンした。海外進出の扉を開いたイーマートは店舗ごとにシャトルバスを運営するなど、韓国の差別化された流通経営ノウハウを中国に移植した。当時、中国進出は飽和状況にいたった国内流通業界の突破口でもあった。
イーマートの競合他社はウォルマートやカルフなどのグローバル企業で、2004年に2番目の店舗を出したイーマートは2008年頃には18ヶ所の支店を出して営業網の拡充に死活をかけた。当時、新世界グループは「中国内に1000店舗を出すつもり」だと自信を見せたりもした。飽和状態に達した国内のマート競争から抜け出して、急成長中の中国進出をグループレベルの課題としたもわけだが、実際にそれから2年後の2010年、新世界グループは中国のイーマート店舗を27店にまで増やして常勝疾走した。
しかし、抱負が挫折に変わるまでに長い時間はかからなかった。中国現地化の不振、高い賃貸料、立地選定の失敗などの悪材料がかさなり、2011年に12店舗を一括整理するなど、構造調整が避けられなかったためだ。新世界グループの関係者は、「マート店舗数を増やすには限界があり、1995年と1996年に順次開店したカルフとウォルマートに比べて遅れて進出し、成長性の面では限界が明らかになった」とし、「成長性が悪化するやいなや、現地の高級人材を確保することも手に負えなかった」と語る。 2014年に店舗が10ヶ所に縮小した中国内のイーマートは、さらに2015年に2カ所と2016年にも1ヶ所店を閉めた。特に「中国進出1号店」である曲阳店を昨年11月に閉店し、イーマート中国進出の象徴さえ閉店する情けなさも経験した。
ロッテマートも今のような中国当局の強度の高い報復が続くなら、イーマートの轍(テツ)を踏むことになるという観測が出ている。
今も損害を出しながら中国事業を展開しているが、今後は改善の可能性すら希薄であると判断した場合、中国から撤退するカードを取り出すことがありうるというわけだ。実際にサード事態が本格化した後に、ロッテは中国のロッテスーパーストア3店舗を閉店させた。
ロッテマートやイーマートなど、中国に進出した韓国の大型マートが順番に中国から撤退することから、流通業界は中国進出戦略を新たに組まなければならないという声も大きくなっている。流通業界の関係者は、「一時は中国本土を機会の地と考えて猫も杓子も中国に行った企業は、これまで中国政府の全方位的報復のリスクを予測していなかったのは事実だ」と語る。