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相続税16兆ウォンの恐怖…本業に専念できない大企業


  • 相続税16兆ウォンの恐怖…本業に専念できない大企業
国内最大の種子企業の農牛(ノンウ)バイオ(Nongwoobio)社の創業者、故コ・ヒソン名誉会長が2013年8月に突然他界し、長男のコ・ヂュノ氏をはじめ遺族は会社を売らなければならなくなった。コ・ヒソン名誉会長が死亡前に所有したノンウバイオの株式45.4%に対する相続税として、なんと1200億ウォンが賦課されたからだ。コ・ヂュノ氏がこれまで保有する持分7.42%を切り売りしても、用意できる現金は300億ウォンに過ぎなかった。

上場株式物納制度は2013年2月以降に禁止され、相続税を株式で出すことも不可能だった。けっきょく遺族は受け継いだ持分とコ氏の持分を合わせた株式(52.8%)を、農協経済持株会社に売った後に相続税の恐怖から逃れることができた。その代わり企業継承の夢は捨てなければならかった。

大企業もこのような悩みをもつことでは同じだ。 11日、毎日経済新聞と大信経済研究所(Daishin Economic Research Institute)の調査の結果、30大グループのうち筆頭株主が70歳以上で相続税問題をかかえている大企業集団は、サムスンや現代自動車、LGやロッテなど16社だった。これらの大企業集団で今後に発生することになる相続税の負担を計算してみると、なんと16兆1500億ウォンに達した。

3月末の時点で16グループの後継者の、継承前保有株式の市場価値の合計は16兆5800億ウォンだ。先代の株式を譲り受けるために、本人が持っている株式のほぼすべてを売却しなければならないわけだ。現行の規定から、継承対象上場企業の株式を物納で出すことはできないし、現在の保有株式を売却しなければならない状況が発生しても、大量売却に乗り出す場合は株価が下落して損をしつつ税金を支払わなければならない。さらに売るべき株が循環出資の株式であれば、売却することもできない。事実上は継承が不可能な構造だ。

根本的な原因は、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最高レベルの相続税率(50%)のためだ。最大株主は相続税率が最大30%割増される制度まであり、理論上で負担しなければならない税金は65%に高まる。そもそも相続税や贈与税のないスウェーデンなどの欧州諸国とは対照的だ。

問題はこのような税負担のために、韓国の企業家精神が損傷しているという事実だ。国内中堅金融グループの最高経営責任者(CEO)らは、「父親の会社を続けてたくても、大きな贈与税負担のために躊躇している」とし、「最近の若者たちはこのような税負担を知れば、誰も創業しようとしないだろう」と指摘した。

一部の最大株主一家は税負担を避けるために不法な継承に乗り出して、資本市場さえ歪曲させている。最大株主の後継者の持分が多い非上場会社に仕事を集中させて、その後に当該の企業を上場させて上場差益を得る方法がよく動員される。企業の実際の価値と市場価値が歪曲される事例が頻発し、投資家らが韓国の証券市場に対する信頼を捨てている。韓国の株式市場が「コリアディスカウント」を脱出できない主な原因のうちのひとつだ。

支配構造の変化を問題にした投資が盛んに行われることで、投資家が被害をこうむることもある。投資家らが差益を狙い、後継者持分の多い株式に投資することが代表的な投資タイプだ。後継者の持分が多い企業が成長し、時価総額が増加してこそ後継者の株式価値が増え、相続税を減らすかまたは税金を納付することができるという「予測」を行うものだ。このような期待で形成された株価は、企業の実際の価値とは無関係に支配構造の問題だけで動く、歪曲された現象が発生する。李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長が昨年2月、サムスンSDSの持ち株11.25%のうち2.05%を売却するやいなや、一株あたり30万ウォンを上がり下がりしていた株価が13万ウォン台に急落した事例が代表だ。 「オーナーリスク」一発で株価が崩れたわけだ。

ハイ投資証券のイ・サンホン研究員は「人工知能(AI)やクラウドをはじめとするサムスンSDSの本質価値が、オーナー問題の影に隠れて現れなかった」と評価した。サムスンの名札を付けた株式のうち、株価が公募価格を下回る企業は11日現在、サムスンSDSが唯一だ。

現代・起亜自動車グループの後継者である鄭義宣(チョン・ウィソン)現代自動車副会長が持分23.29%を持っている現代グロービスも、オーナー問題によって株価が動いた。

LGグループ後継者の具光謨(ク・グァンモ)LG常務が持分7.5%を保有している非上場社のパントスにそそがれる関心も相当だ。いつか企業公開(IPO)過程を経て企業価値を上げるだろうと、投資家らが期待するからだ。相当数の専門家らは、いまや韓国も合理的な経営承継システムを導入する時だと指摘する。支配構造の雑音のない、事業だけで充実して国益に貢献できる韓国型国民企業時代を開かなければならないということだ。
  • 毎日経済_企画取材チーム:スウェーデン・イスラエル=ホン・ヂャンウォン記者(チーム長)/中国=キム・デギ記者/独・香港=ペ・ミヂョン記者/独=ユン・ヂノ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-04-12 02:49:39




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