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カカオとTPGが手を組んだ理由…「金よりも真正性」


  • カカオとTPGが手を組んだ理由…「金よりも真正性」
カカオモビリティへの投資に反対する人はバカだ。最近、アジアで起きた買収・合併(M&A)ディルのなかで成長の可能性が最も高いディルだ」

世界3大私募投資ファンド(PEF)の運用会社「テキサス・パシフィック・グループ(TPG)」の共同創設者であるデービッド・ボンダーマンは、カカオモビリティに対する絶賛を惜しまなかった。彼はカカオモビリティに投資を決定する投資審議委員会に直接参加して、このように言及して投資を推進した。けっきょくTPGは今年6月末にカカオモビリティに5000億ウォンを投資した。

去る1日にカカオカカオタクシー、カカオドライバー、カカオナビなどの事業を分離して、カカオモビリティという別会社を正式に開始した。交通関連のO2O(オン・オフライン連携サービス)ビジネスが新成長事業として世界的に注目されるこの時点で、カカオモビリティに対する投資が本格軌道に乗ったわけだ。

ボンダーマンの絶賛も意味を持ったが、カカオがTPGをパートナーとして決定した背景がいっそう目を引く。事実、カカオモビリティに「ラブコール」を送った投資家は、TPG以外にも多かったと伝えられる。さらにTPGよりもはるかに良い条件を掲げて投資を推進したところもある。例えばソフトバンクは、TPGが評価したカカオモビリティの企業価値(1兆6000億ウォン)よりも約1兆ウォン高い2兆ウォン台半ばの企業価値を提示して、カカオに積極的な求愛をしたことが分かった。それにもかかわらず、カカオの心をとらえたのはTPGだった。

より良い条件を拒んでカカオがTPGをパートナーとして受け入れた理由は何か。カカオモビリティの主力事業は、他でもないカカオタクシーだ。カカオタクシーの累積加入者数は1490万人で、一日平均150万件のタクシー呼び出しが発生する。昨年の下半期にサービスを開始した代行運転サービスのカカオドライバーは、累積呼び出し数だけで1400万件を超える。このようにカカオモビリティが国内市場で支配的地位を享受しているにもかかわらず懸念の視線が存在する理由は、まだ収益モデルが可視化しなかったからだ。

このようなカカオの悩みを一気に解消してくれたところがまさにTPGだった。悩みの深かった去年の春、TPGがカカオを訪ねてきて「アイデア」を出した。すでに車両共有サービスであるウーバー(UBER)に投資した経験があるTPGは、カカオのモビリティ部門の成長方向を提示しつつ投資の意思を提案した。

TPGはウーバー式収益モデルとともに、モビリティ部門の分社を提案した。ここには別の組織として整えて果敢な投資を断行すれば、国内だけでなく海外でも成功できるという判断が作用した。旧株と新株を混ぜて投資家に売却する投資構造もTPGの提案だった。

カカオはTPGの提案に少なくないインスピレーションを受けた。これがカカオが他の投資家のより良い条件を拒んでTPGをパートナーとして決定した決定的なきっかけになった。

投資銀行(IB)業界の関係者は、「カカオは初期から成長の方向性を一緒に悩んだTPGに優先順位を与え、投資の議論を行ったものとみられる」とし、「真のビジネスパートナーとしてTPGが最も適していると判断したようだ」と伝えた。この関係者は「TPGの立場でも、まだ収益モデルが確立されていない企業に数千億ウォン規模の投資決定をするということは容易ではない」とし、「これはTPGは単に金だけを見て乗り込んだのではなく、同種の企業に対する投資成功の経験をもとに、成長のパートナーとして参加した」と説明した。

TPGが主導する投資家コンソーシアムはカカオとのパートナーシップを締結し、カカオモビリティに5000億ウォンを投資して株式30%を保有することになった。 TPGはカカオモビリティの理事会に参加し、経営に直接関与できる権限まで得た。

投資を総括したイ・サンフンTPG韓国代表とユン・シンウォン常務はTPGグローバルで、今回の取引で内部の地位を固める足場を整えた。業界関係者は「TPG内部で、アジアでも有数の成長可能性を持つ企業を得たことに鼓舞されている」とし、「韓国市場への関心が大きくなるきっかけとなった」と語った。

財務改善と構造調整のためのM&Aが大部分である最近の韓国市場で、今回のカカオモビリティへの投資はだんぜん引き立つ取引だ。一部では、今回の投資はOBビールの後の国内M&A市場で最も成功した事例になるだろうという期待も出てくる。グローバルプライベート・エクイティKKRとアフィニティーは2014年、OBビールを世界1位のビール会社であるABインベブに売却し、4兆ウォンを超える差益をおさめた。

最近、カカオタクシーよりも規模が小さいシンガポールのタクシー呼び出しサービスである「グラブ(GrabTaxi)」が20億ドル(2兆2000億ウォン)の外部投資を誘致し、企業価値を60億ドル(6兆7000億ウォン)以上で評価されたことがある。

カカオモビリティは今年の下半期から収益モデルを確立し、来年には利益を上げることが予想される。カカオモビリティは、カカオタクシーから企業用業務タクシーとカカオペイの自動支払いを第3四半期中に開始する。また、第4四半期にはモバイル駐車サービスであるカカオパーキングを本格化し、グローバル事業の拡大にも拍車をかける。
  • 每日経済 カン・ドゥスン記者/チョン・ギョンウン記者
  • 入力 2017-08-03 23:56:00




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