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トランプ大統領の度を超えた韓・日通商差別


  • トランプ大統領の度を超えた韓・日通商差別
277億ドルと689億ドル。昨年、韓国と日本が米国との交易で得た黒字の規模だ。米国は日本との自動車関連の取引のみで、韓国の全産業で発生した赤字の2倍に相当する526億ドルの貿易赤字を記録した。この間のドナルド・トランプ大統領が貿易赤字と関連して、韓国と中国に浴びせた言葉を思い出してみるならば、今ならトランプ大統領のツイッターは日本の自動車産業に対する猛非難に火を付けてこそ当然だ。しかし通商問題と関連したトランプ大統領の発言に、日本が登場することはほとんどなかった。中国は為替操作国指定の脅威と交易中断も辞さないという脅しをかけ、韓国に対しては韓米自由貿易協定(FTA)の廃棄議論まで取り上げたこととの差は大きい。

韓・米の通商当局はけっきょく去る4日、発効5年ぶりにFTA改正交渉に事実上合意した。 FTAが米国の貿易赤字を減らすことに大きく寄与し、サービス収支と資本収支は米国に有利に作用したという刻苦の説明も無駄だった。

日本に対してもトランプ大統領の圧迫が全くなかったわけではない。トランプ大統領は就任直後の今年1月末、環太平洋経済連携協定(TPP)からの脱退を宣言した。TPPは世界的な両者・多国間貿易協定の締結から一歩遅れていた日本が、最も力を入れた協定だ。日本は来月まで、米国が抜けた状態の11カ国だけでTPPを推進するという方針だが、米国が除外されたことによって、TPPを通じて遅れた通商条件を一挙に逆転させようとした安倍晋三首相の戦略が大きな打撃を受けたことを否定することは難しい。

しかし、トランプ大統領のTPP脱退は日本を狙ったものというよりは、バラク・オバマ大統領がなし遂げた通商業績をくつがえすことに焦点が当てられていた。

トランプ大統領は円・ドルの為替レートに対する不満を吐き出したこともある。日本が円安を誘導して、自国の輸出企業を助けているということだ。結果的に去る4月、米国財務省は韓国とともに中国・日本・ドイツ・台湾・スイスの6カ国を為替観察対象国に上げた。日本ではいつトランプ大統領が「第2のプラザ合意」を要求するかもしれないという不安も少なくない。しかし、相対的に韓国と中国やメキシコなどとは比べものにならない。

米国ワシントンDCで16日、第2次日米経済対話が開始された。名前は経済対話だが、通商関連の議論は限られると予想される。日本のマスメディアでは、米国産の車に対する非関税障壁の緩和、さいきん日本が発動した米国産牛肉に対するセーフガード、日本の製薬産業の参入規制緩和の程度が議題になると見通した。安保が経済に優先するという、ワシントンの政界論理に従ったというのが日本の政財界関係者らの説明だ。日・米両国とも北韓(北朝鮮)のミサイルが日本の上空を飛ぶ安保危機状況で、経済問題に起因する同盟との不必要な摩擦は最大限に自制しようというコンセンサスがあるからだと説明する。

ところで、このような安全保障優先の原則は、日本よりもより直接的に北韓の脅威にさらされている韓国には適用されないようだ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が米国を最初に訪問してトランプ大統領と首脳会談を持った時も、トランプ大統領は露骨に通商問題を取り上げており、北韓が6回めの核実験を強行した時もFTA廃棄を取り上げた。

米国が韓国と日本を差別することは、考えてみれば通商問題に限ったことではない。トランプ大統領は北韓がミサイル挑発を行うたびに、韓国の大統領ではなく安倍首相を先に訪ねた。今年の年初はパク・クネ大統領が弾劾された状況だったとしても、ムン・ジェイン大統領の就任後も日本と先に通話した。安倍首相との電話通話とムン大統領との電話通話は、一日以上も時差があったこともある。

米国の以前の政府は、主要20カ国(G20)首脳会議の開催地選定と独島領有権の問題、日本軍慰安婦問題などで多少韓国に有利な側に立ったり、少なくとも中立を維持しようとしている。しかし、今年発足したトランプ政権の態度は全く異なる。韓国の外交官と接する米国国務省の態度も以前と同じではないという、ワシントンの外交筋の伝言だ。

いくつか思い当たる理由がある。チェ・スンシル国政壟断事態で国の威信が墜落したせいもあるだろうし、在韓米軍の生命を保護するためだというサード配備の問題をめぐり、計算書から切り出した韓国政府に対する空しさもあるだろう。

しかし日本と克明に対比される部分は、通商外交で見出すことができる。

安倍首相はトランプ大統領が当選するやいなや、大急ぎで駆け付けた。現職の国家元首がまだ就任もしていない当選者に会うことに対する批判が出たが、安倍首相はビクともしなかった。その後も日米首脳は、文字通り「最高の相性」を演出した。一方、韓国は青瓦台統一外交安保特別補佐官がワシントンに移動し、「サードのせいでひびが入るのであれば、それは何の同盟なのか」とし、米国は山火事のハリケーンなどの自然災害で苦しいときで「同盟だとしながら、ありふれた慰労の一回もなかった」と不満を吐露した。

通商問題でふくらんでいる米国の韓国と日本に対する差別は、貿易赤字の数字とは無関係な、このような複合的な親疎関係と満足と不満、感謝の気持ちと空しさが合わさった結果だ。

トランプ大統領が来月初め、初のアジア歴訪に乗り出す。韓国と日本が主な訪問国であり、両国の首脳外交が重要な試験台に上がることになる。

首脳外交は安全保障問題と通商問題を一挙に解決できる重要な機会になりうる。しかし、反対のシナリオも可能だ。韓国と日本での首脳外交の違いが顕著に表れ、さらに韓国が日本に押される姿が演出されるならば、これはふつうのことではない。北韓と国際社会に非常に悪い信号となるだろう。
  • 毎日経済 ワシントン=イ・ジンミョン特派員/東京=チョン・ウク特派員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-10-16 20:11:41




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