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「ファーマージング市場」を狙う韓国の製薬企業


国内市場の成長率が年平均3%台にすとんと落ちたことから、国内の各製薬会社は中南米や中東、東南アジアなどの「ファーマージング市場(新興製薬市場)」に成長の突破口を見出している。ファーマージング(Pharmerging)は製薬(Pharmacy)と新興(Emerging)を合わせた造語で、米国・欧州・日本などの先進市場と対比される新興の医薬品市場をいう。

東亜(トンア)製薬は今年に入って9月末現在、カンボジアで「バッカス」のみで499億ウォンの売り上げをあげた。このような傾向が続けば、年内のみで700億ウォンに近い売り上げを上げるものとみられる。 2010年は42億ウォン規模だったカンボジア内のバッカスの売上げは、昨年は632億ウォンに急増して、6年めで15倍に増えたわけだ。

わが国が飲み物を最も多く輸出している国は中国・米国に次いでカンボジアだが、これはバッカスの影響が大きい。現地でバッカスひと缶は韓国の金で700ウォンで売れる。カンボジアの都市労働者の月の給料が30万~40万ウォン内外という点を勘案すれば、かなり高価であるにもかかわらず「国民の飲み物」として定着するほど多く売れている。

東亜製薬はカンボジアを東南アジアの前哨基地にするという計画を立てて、屋外・テレビ広告を大幅に増やすなど、ブランドの認知度を高めてきた。東亜製薬は「現在のカンボジアは、まさに工業化が始まったわが国の1960年代と社会的雰囲気が似ている」とし、「仕事と疲労に疲れたサラリーマンにバッカスをさしだすコンセプトをつかんだことが、バッカスの販売突風につながった」とし、「これまで1位だったレッドブルを抜いた後、エネルギードリンク市場1位の座を維持している」と説明した。

緑十字(ノクシプチャ)は昨年、中南米と中東地域に血液製剤とワクチンをそれぞれ1000億ウォンぶんを輸出した。今年もワクチンと血液製剤の輸出額は、昨年比でそれぞれ20%と10%以上拡大する見通しだ。特にワクチンの輸出はこの5年間で100%以上も急成長した。緑十字は「多国籍製薬会社がすでに場所を占めている米国や欧州などの先進市場では、国内の製薬会社が作った血液製剤やワクチンで競争することは容易ではないが、最近浮上しているファーマージング市場は話が全く違う」とし、「自国の製薬会社が多くない上に、特に高度な技術を要する血液製剤やワクチンを作れるところがほとんどないので、国内の製薬会社が十分に競争力を持つことができる」と強調した。

保寧(ポリョン)製薬が開発した高血圧薬「カナブ(Kanarb)」は、メキシコの高血圧薬市場で3位を占めている。食べ物を塩辛く食べる南米地域では、高血圧や糖尿病などの慢性疾患の患者の割合が増えている。

保寧製薬は、「高血圧薬は一度飲めば終わるのではなく、管理のために長期服用しなければならない」とし、「最近は南米地域の高齢化傾向と相まって、高血圧市場のさらなる成長を期待している」と述べた。また中国で「フォスゲル(Phosgel)」という名前で販売されている保寧製薬の「ゲルフォス(Gelfos)」は、昨年は売上げ500億ウォンを超えて、胃酸の作用を抑制する制酸剤市場で1位を占めている。

生命工学政策研究センターの「グローバル製薬産業の現状と展望」レポートによると、ファーマージン市場は毎年7~10%ずつ成長し、2021年には市場規模が3450億ドルに達する見込みだ。 2010~2015年にファーマージン市場は毎年11.9%ずつ成長した。米国・ヨーロッパ・日本などの先進市場の成長率4.8%に比べてはるかに高く、世界の医薬品市場の平均成長率6.2%もはるかに超える。

製薬業界の関係者は、「多国籍製薬会社が先取りした先進市場に参入するには、厳しい臨床過程を経なければならないだけではなく、現地の営業とマーケティングにも多くの費用がかかる」と指摘する。一方、新興医薬品市場は絶対人口が多いだけでなく、人口増加率、経済成長と所得の増加速度が非常に速く、医療インフラも今まさに構築されているところだ。特に医薬品や医療サービスへの需要が爆発的に増えており、隙間を狙う余地は大きいというのが各製薬会社の診断だ。
  • 毎日経済 キム・ヘスン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-12-18 10:01:06




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