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米・中、半導体「巨鯨」の戦い…韓国、反射利益を期待


  • 米・中、半導体「巨鯨」の戦い…韓国、反射利益を期待

米国との貿易紛争で、中国の「半導体崛起(半導体育成)」にブレーキがかかった。米商務省が自国企業と中国のDRAMメーカーである福建省晉華集成電路有限公司(以後、JHICCと略記)に対する取引を制限することにより、機器・部品などを購入することが難しくなったからだ。サムスン電子やSKハイニックスなどは、これまで中国の「半導体崛起」が市場の蚕食につながらないかと心配してきたが、今回の事件で有利な位置をさらに強固にできるものと思われる。

米商務省は30日に輸出制限措置を発表したJHICCは、中国政府の支援を受けて2016年2月に設立された国営企業だ。生産設備に56億ドル(約6兆3840億ウォン)を投入し、来年からDRAMを量産して半導体育成を成し遂げるという目標だった。 NH投資証券は、JHICCが計画通りに来年から量産に突入すると、世界のDRAM市場でシェア1.4%を確保するものと推定した。しかしJHICCの量産は遅れるものと見られる。米商務省の輸出制限措置で、半導体装置を取得するために困難をきたす可能性があるからだ。

半導体装置市場に対する米国の影響力は強大だ。世界最大の半導体装置メーカーであるアプライドマテリアルス社や、それに次ぐラムリサーチ社などはすべて米国の企業であり、4位のASMLはオランダ企業だが米国に上場している。半導体業界の関係者は、「半導体プロセスによってはアプライドマテリアル社やラムリサーチ社などだけが供給するものもある」とし、「これらの企業を通さずに代替機器を入手しようとすると、量産に支障をきたしたり時間がかかるしかない」と説明した。

NH投資証券のト・ヒョヌ研究員は、「DRAMはNAND型フラッシュメモリよりもさらに厳格な技術力が要求されるが、今回の措置で中国メーカーの量産計画があと伸ばしにされる可能性が高まった」と分析した。

JHICCに対する輸出制限は、中国がこれまで推進してきた「半導体崛起」戦略にも影響を与えると思われる。習近平中国国家主席は、「半導体は人体の心臓と同じだ。心臓が弱いと規模がいくら大きくても強いといは言えない」とし、関連産業の育成を強調してきた。中国の情報技術(IT)産業は発達しているが、まだ半導体は外国産に依存しており、自給なしでは貿易黒字を最大化することができないという判断が半導体崛起につながった。

このことから、中国は2026年までに200兆ウォンを半導体産業に投資する予定だ。これによって現在は15%前後である半導体自給率を2025年には70%まで高め、「半導体大国」の面目を備えようという野心的な目標を立てていた。

中国の半導体崛起には、韓国などに対する牽制も入っている。韓国企業の人材引き抜きを通じて技術を丸ごと吸収しようとする努力を傾けると同時に、露骨にサムスン電子やSKハイニックスを牽制した。特に最近発足した中国の反独占(韓国の公正去来委員会)は今年5月、サムスン電子とSKハイニックスや米マイクロンなどの半導体3社を対象に価格談合の調査に着手した。これら3社の全世界の半導体シェアは96%に達するほど絶対的だ。一部では中国の反独占局がこれら3社に独占禁止行為の判定を下した場合、罰金は最大8兆6000億ウォンに達すると予想した。

しかし米商務省の今回の決定で、中国の半導体台崛起にブレーキがかかると思われる。中国の浮上を心配していた韓国の半導体メーカーは、ひと息つくことができる余裕ができた。半導体メーカーの関係者は、「中国内の各半導体企業は現在、まさに台頭する段階と見ることができる」とし、「今回の米国の措置が半導体市場にどの程度の波及を与えるかを計るのは難しいだろうが、中国市場を牽制するという点から象徴的に大きな意味がある」と述べた。

第2四半期の世界DRAM市場では、サムスン電子がシェア42.6%で1位を記録し、その後ろにSKハイニックス(29.6%)があった。 NAND型フラッシュメモリ市場ではサムスン電子が38.9%で1位、SKハイニックスが11.1%で4位にある。中国の登場が遅れるならばメモリ半導体市場で、韓国の地位はしばらくのあいだ堅固になる可能性がある。

このような期待感は株価にも反映された。 30日の韓国取引所によると、サムスン電子とSKハイニックスの株価は前日よりもそれぞれ2.3%と2.1%上昇した。コスピは前日より0.9%反騰したことを考慮すれば、2倍以上の高い上昇率だ。ユジン投資証券のイ・スンウ理事は、「中・長期的な影響は国内半導体株に肯定的」だとし、「米国の牽制で中国の半導体崛起がつまずくことになった」と説明した。

一方でこの日、李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長は李東燻(イ・ドンフン)サムスンディスプレイ社長とともに2泊3日の日程でベトナム出張に出発した。李サムスン電子副会長はこの日、記者らと会って「現地での投資計画発表があるのか」という質問などに、「行ってくる」という短い言葉だけでチャーター機に乗った。

イ・ドンフン社長は「ベトナム法人をまわってみる予定」だと話した。李副会長がベトナム行きを選んだ理由は、中国企業の躍進でスマートフォン市場でのサムスン電子のシェアが落ちていると判断したためだと解釈される。現場を確認し、将来のスマートフォン戦略について構想するためにベトナム出張に乗り出したのではないかという解釈だ。

サムスン電子はベトナムの2か所の携帯電話工場で10万3000人を雇用しており、ここを通じて年間約1億5000万台に達する携帯電話を生産している。李副会長はグローバル経営に拍車をかけている。今回のベトナム訪問は、今年の2月初めの控訴審で執行猶予で釈放されてから8カ月ぶりで、7回目の海外出張だ。
  • 毎日経済_キム・ギュシク記者/ムン・イロ記者/イ・サンドク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-10-30 22:07:15




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