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SK、米バイオベンチャーへ投資…未来技術の先取り


  • SK、米バイオベンチャーへ投資…未来技術の先取り

SKグループの持株会社であるSK(株)は、遺伝子治療の分野で独自の技術力を保有している米国のスタートアップへの投資に乗り出した。今年は一年で1兆8000億ウォン以上を投資し、名実共に世界的な投資型持株会社として生まれ変わっているSK(株)は、グループの新成長動力の発掘のための新技術の先行獲得にさらに拍車をかける姿だ。

11日の投資銀行(IB)業界と関連業界によると、SK(株)は遺伝子はさみ技術である「CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)」適用の治療薬を効果的に体内に伝達する技術を開発する、米国のGenEdit(ゲネディット)社に投資したと伝えられた。約100億ウォン規模で行われた今回の投資で、SK(株)はセコイア(Sequoia)やDCVCバイオなどのグローバルベンチャーキャピタルとともに参加した。

ゲネディット社はバイオ・製薬を未来成長動力として集中的に育成しているSK(株)との相乗効果と将来の成長に注目し、投資の誘致を決定したと思われる。遺伝子はさみ技術とは、難治性の遺伝性疾患を引き起こす変異遺伝子を編集(カット・交換)する技術だ。第3世代の遺伝子はさみであるクリスパー・キャスナインは、標的遺伝子(変異遺伝子)を入れたDNA鎖を選択的に切り取る酵素をいう。既存の1~2世代の技術に比べて効果が優れていながらも生産が容易で、バイオ分野で代表的な未来技術にあげられている。クリスパーの関連市場は2016~2022年のあいだに、年平均成長率36%で急成長する傾向にある。

クリスパー・キャスナイン技術の商用化のためには標的命中率を向上させ、体内の免疫反応を克服することが必須だが、これを可能にしてくれるのがゲネディットが開発している伝達物質だ。クリスパー・キャスナインをカプセルの形で囲むようにして、細胞膜をこえて核内に浸透させたい臓器や細胞に伝達する役割を果たす。ターゲットの精度が落ちるなど、これまでの伝達技術が持つ限界を克服できるひとつの方法として、肝臓や脳、筋肉などの体のさまざまな組織にも適用が可能で、今後の遺伝子治療の範囲を大幅にひろげることができると期待される。

業界関係者は「現在、ナスダックに上場されている伝達技術の開発企業であるRegenXBioの時価総額が2兆3000億ウォンに達する」とし、「現地ではそれよりも一歩進んだ技術を保有していることが知られているゲネディットは、今後はユニコーン(企業価値が1兆ウォンを超える非上場スタートアップ)に成長する可能性を高く見ている」と語った。

ゲネディットは、遺伝子はさみ技術をリードする大学である米UCバークレー校で研究していたイ・グヌ博士(CEO)とパク・ヒョミン博士(CTO)が2016年に創業した会社だ。伝達技術関連の特許出願はもちろん、米国「ネイチャー」誌などで研究結果が数回掲載されるなど、学界と産業界から注目を受けてきた。イ・グヌ代表は昨年、フォーブス(Forbes)が選んだ「医療部門の30歳以下で最も注目される30人」に名前を上げたりもした。ゲネディット側はクリスパー専門企業などと研究開発(R&D)のパートナーシップを締結し、本格的な臨床試験新薬(IND/Investigational New Drug)作業に着手した後、独自開発の技術を適用した遺伝子治療剤の臨床を行うことが伝えられた。

SK(株)は最近、米国食品医薬品局(FDA)に新薬販売の許可申請書(NDA)を提出したてんかん治療剤「Cenobamate(セノヴァメイト)」のほか、SKバイオファームが独自に開発した希少てんかん治療剤「carisbamate(カリスバメイト)」が臨床第1相に突入するなど、中枢神経系の新薬開発にまい進している。今回の投資を契機に、遺伝子治療領域でも技術的専門性を蓄積できるものと期待している様子だ。

財界関係者は「今回の投資は世界的な投資型持株会社を目指すSK(株)が、高成長・高収益領域に対する先制的な投資に乗り出したものとみられる」と説明した。

SK(株)はここ1~2年のあいだ、グループの将来の成長動力として集中的に育成しているバイオ・製薬やグローバルエネルギーそしてモビリティなどの分野で、少なくとも数百億ウォン台から多ければ数千億ウォン台の投資を相次いで成功させた。 SK(株)は特に急速に変化する未来の新技術と産業のトレンドにも積極的に対応している。マレーシアにカーシェアリング(車両共有)の合弁法人である「ソカー(Socar)マレーシア」を設立し、米国の個人間カーシェアリングサービス「TURO」と東南アジア1位の「Grab(グラブ)」に投資し、グローバルモビリティ事業にも進出した。

SK(株)の張東鉉(チャン・ドンヒョン)社長は今年の創立記念の辞で、「未来成長動力を発掘して育成し、投資の好循環構造を強化して、グループの未来を担う成長パイプラインへと進化するように努力しよう」と強調した。
  • 毎日経済_カン・ドゥスン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-12-11 17:46:47




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