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危機の韓国ゲーム業界…ネクソン売却か?


国内最大のゲーム社ネクソンを設立した金正宙(キム・ヂョンヂュ)創業者がネクソンの売却を推進していることが知られ、国内のゲーム業界は衝撃を受けている。「1位のゲーム社を売りに出すほど、韓国ゲーム市場の未来は見えない」という危機感が高まっている。

3日、投資銀行(IB)業界によるとキム・ヂョンヂュNXC代表は、自分自身と特殊関係人が保有するネクソンの持株会社NXC社の持分全量(98.64%)を売りに出したことが伝えられた。証券業界の関係者は「ドイツ証券とモルガン・スタンレーを共同売却主幹事に選定した」と述べた。

ネクソン・コリアはこの日、「売却関連の事実をNXCに問い合わせた結果、公示に関して問題があって多少時間がかかっている」とし、「早ければ4日頃に売却するかどうかに対して公式な立場を明らかにする」と述べた。

ゲーム業界では国内1位ゲーム社が売りに出てくるほど、国内ゲーム産業の市場性は暗鬱だとし、危機感が広がっている。ネクソンやネットマーブル、NCソフトなどの国内の大手ゲーム社、いわゆる「3N」はモバイルゲームの成果に支えられて、2016年と2017年は新記録行進を続けた。 2017年にネットマーブルは「リネージュ2レボリューション(Lineage2 Revolution)」のヒットで売り上げ2兆4247億ウォンを達成し、NCソフトは「リネージュM(Lineage M)」が大ヒットをとばして1兆7587億ウォンを達成した。ネクソンも中国で「ダンジョン&ファイター(Dungeon & Fighter)」がヒットし、売上げ2兆ウォンを突破した2兆4362億ウォンを記録した。

しかし週52時間勤務制の導入が本格化した昨年下半期から、ゲーム会社の実績は停滞の兆しを見せている。ネットマーブルの第3四半期の売上げは5260億ウォンで前年同期比で9.6%減少し、NCソフトは4038億ウォンで44%も下落した。ネクソンは6961億ウォンで15%増加したが、これは売上げの90%を担う「ダンジョン&ファイター」の実績からだ。いわゆる「3N」と呼ばれる大手ゲーム3社のすべてでヒット作が出ず、中国政府がゲーム許可権である「パンホ(版号)」で防御したことでグローバル市場の業績が下落した。

ゲーム業界では、「ネクソン・コリアの事業だけを見れば4四半期連続で赤字という話も出ている。ダンジョン&ファイターのほかに、昨年はネクソンの新作でヒットしたものはない」とした。

韓国コンテンツ振興院が発刊した「グローバルゲーム業界のトレンド2018年間号」によると、国内のゲーム産業の売上げは昨年10月の時点で57億6400万ドル(約6兆5000億ウォン)で、中国・米国・日本に次いで4番目だ。しかしグローバルトップ10社のうちに、韓国のゲーム社は一社もない。

国内外のゲーム業界を圧迫する規制も、国内ゲーム会社の競争力低下をあおる。週52時間勤務制の導入、モバイルゲームの支払い限度に対する制限、青少年の深夜時間のゲームを規制するシャットダウン制、ゲーム中毒の疾病化推進など、国内外でさまざまな規制が強化されている。

ネクソン・コリアは「キム代表がふだん規制に対する疲労感については言及したことがない」としたが、ゲーム業界では「ゲームを病気に分類するような雰囲気で、良いゲームを作って社会に貢献したい経営者らは、ゲーム会社で必要な価値を実現できるだろうか」とし、「ゲームに対する社会の否定的な認識も、1位ゲーム社の創業者に身を引かせることになった」とした。

毎回新しいことに挑戦するキム代表は、ゲーム業界で「新しい希望」を見ることができないという解釈も出ている。

ゲーム業界では、キム代表はすでに数年前からネクソンの経営から手を離していることが伝えられた。 2014年、エレクトロニック・アーツ(EA/Electronic Arts)出身のオーウェン・マホニー氏をネクソン代表に選任し、ネクソンコリアにはパク・チウォン代表を選任した後、国内の経営には関与していなかったわけだ。ネクソンの関係者は「キム代表は信じて任せることができる人に経営権を与え、新たな事業の構想に没頭した」と述べた。

これまでの数年間、NXCは児童や仮想通貨などの非ゲーム分野での買収が目立った。 2018年、ヨーロッパの仮想通貨取り引き所「ビットスタンプ(Bitstamp)」に投資しており、2017年にはペットフードメーカー「アグラスデリック(Agras Delic)」、仮想通貨取り引き所「コービット(KORBIT)」、2013年はベビーカーメーカーの「ストッケ(Stokke)」を買収した。

また別の関係者は、「2000年代の初めにネクソンはゲームハイ、ネオポールなどの有望なゲーム会社の買収で急速に成長したが、2010年代からはゲーム会社よりも他の分野に対する投資が目立った」とし、「NXCの買収や投資が会長の関心事だという話が出てきた」と付け加えた。

昨年4月にイ・ジョンホン ネクソンコリア代表が選任されたときに、イ代表はキム代表と会った逸話を思い出して「(キム代表は)会社が変化しようとするなら、今よりも売上げが100分の1ほど少なければこそじゃないかと尋ねた」と回想する。ゲーム業界の関係者は、「キム代表は確率型アイテムを選んでゲーム業界を回す韓国ゲームはもはや新しくないと感じたという傍証」だとし、「ゲーム産業に新たな可能性はないという認識が、今回の売却推進の波紋から現れている」と述べた。

ネクソンの引受け候補としては、中国のゲーム会社テンセントや網易、米のEAがあげられる。特に主要買収対象者として中国テンセントが議論されており、国内ゲーム産業に対する「チャイナマネー」の掌握力が高まるだろうという懸念が出ている。
  • 毎日経済_イ・ソニ記者/イ・ヨンイク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2019-01-03 17:37:00




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