サムスン電子…司令塔「事業支援TF」が機能不全

投資計画は「オールストップ」か 


メモリ不況(DRAMとNAND型フラッシュメモリ)による業績悪化と対外不確実性の増加で「非常経営」に突入したサムスン電子が、今度は「コントロールタワーの麻痺」と「組織動揺」という悪材料にみまわれる危機を経験している。

システム半導体への投資(2030年までに133兆ウォン)などを適時に執行し、成長動力を育成するために積極的な買収・合併などに乗り出さなければならない時点だが、全体的な戦略と投資計画などを立てる事業部と系列会社間の調整を行うべきコントロールタワーが、「サムスンバイオロジクス粉飾会計疑惑」と関連した捜査と押収捜索などで事実上、麻痺したたからだ。サムスン電子のように巨大な企業では、コントロールタワーの役割りが非常に重要であり、これが適時に正常化できなければ、競争力の低下と企業価値の毀損につながる可能性があるという懸念が財界などから出てきている。

11日の財界などによると「サムスンバイオ粉飾会計疑惑」の件と関連し、サムスン電子の事業支援タスクフォース(TF)でチーム長をつとめるチョン・ヒョノ社長が検察に召喚され、キム某副社長とペク某常務などが証拠隠滅などの疑いで拘束されて実質的には組織の機能が麻痺した。

事業支援TFの所属ではないが、この事件と関連してサムスン電子人事チームのパク某副社長、財経チームのイ某副社長などの幹部も拘束された。サムスン電子・物産・SDSなどは今年だけで6回の押収捜索を受けたし、事業支援TFに対する押収捜索は先月に行われた。これまでコントロールタワーの役割を果たしていた未来戦略室より大きく縮小されて2017年に構成された事業支援TFは、サムスン電子事業部や子会社などのビジネスを調整し、大きな絵柄の戦略と投資計画の策定、M&Aの検討などを担当するコントロールタワーの役割を果たしてきた。サムスン電子の関係者は、「押収捜索と召喚調査や拘束などが相次いで、事業支援TFは業務が麻痺した状態」だとし、「誰がいつ呼び出されて捜査受け取る分からない状況で、容易に仕事に手が付けられない状況だ」と説明した。

サムスン電子は半導体・ディスプレイ(DS)、テレビ・家電(CE)、携帯・通信機器(IM)などの3つの事業部で構成され、各部門の年間売上げは少なくは数十兆ウォンから多ければ100兆ウォンを上回り、事実上はそこそこのグループ会社に匹敵する。このことから、各事業の事業・戦略を調整して会社全体のスケッチを描くコントロールタワーの役割は非常に重要だというのが財界と専門家らの見方だ。またサムスン電子だけでなく、電気・SDIなどのコラボレーションを進めなければならない他の系列会社も多いので、コントロールタワーの重要性はさらに高まる。例えばスマートフォン事業はサムスン電子だけでなく、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどを担当するサムスンディスプレイ、バッテリーを担当するサムスンSDIなどが協業してこそ新製品を生み出して生産に着手することができる。このコラボレーションの過程で事業支援TFが調整を担当するというのが会社側の説明だ。

この4月、サムスン電子はサムスン電気から次世代の半導体パッケージ技術であるPLP事業の移管を受けることにした。大規模な投資が必要であり、システム半導体の育成に役立つPLPの特性を勘案し、サムスン電子がこれを買収して、サムスン電気はこの取引で生じた資本を車両用積層セラミックコンデンサ(MLCC)や5G通信モジュールなどの成長動力に投資する仕組みだ。この取引の調律も事業支援TFで担当した。事業支援TFはこの他にもM&Aや全体的な戦略策定など、対外的な不確実性への迅速な対処に対しても重要な役割を担う。

成均館大学のチェ・ジュンソン名誉教授は、「キム・サンジョ公正取引委員長が話したように、グループのコントロールタワーが重要だ」とし、「サムスンのように大規模な企業は事業の調整、中・長期の目標点検、計画の立案、人材管理などの面でその役割がますます重要になる」と分析した。

メモリ市況の鈍化などでサムスン電子の業績が急落して、米・中貿易紛争などで不確実性が大きくなった状況で、事業支援TFの機能が麻痺したことに対して懸念の声が高まっている。サムスン電子は今年の第1四半期の半導体不振などで、前年同期比で60.2%減の6兆2333億ウォンの営業利益を上げるところにとどまった。証券業界ではサムスン電子の第2四半期の営業利益は、第1四半期より減少した6兆500億ウォン台にとどまるとの見通しを出している。李在鎔(イ・ヂェヨン)サムスン電子副会長は、「2030年システム半導体1位達成」目標を提示して133兆ウォンを投資することにしたが、コントロールタワーが本来の機能を果たさなければ、これに対する投資計画・執行戦略などでも支障が出るだろうという心配もある。

また成長動力を発掘したり、人工知能(AI)・自律走行などの育成のために積極的にM&Aに乗り出さなければならないが、ここでも問題が生じる可能性がある。カイストのイ・ビョンテ経営学部教授は「企業の経営能力のすべてを事業に注ぎ込んでも生き残れるのか不確実なほど、グローバルなビジネス環境は冷酷な状況」だとし、「コントロールタワーの機能が麻痺すると、将来の準備などのための迅速な意思決定が難しくなり、これが企業の競争力低下につながる可能性がある」と指摘した。

財界の関係者は「サムスンのライバルであるアップルは月に一回の割合いで企業を買収しており、GoogleなどのM&Aに積極的だが、サムスン電子は今年初めの1000億ウォン台の小規模なM&Aを除いては、これといった取引きを発表できずにいる」とし、 「これはM&Aを検討するコントロールタワー機能が麻痺したのではないかと疑われる」と話した。この関係者は「米・中戦争での不確実性への迅速な対処が重要だが、コントロールタワーが役割を果たさなくてはならない」と付け加えた。
  • 毎日経済_キム・ギュシク記者/ファン・スンミン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2019-06-11 17:39:47.0