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ミュージカル「Once」の主人公ユン・ドヒョンとチョン・ミド

人と人の間の壁を崩すには、アナログ音楽が最高だ 

  • ミュージカル「Once」の主人公ユン・ドヒョンとチョン・ミド
男のギター演奏と歌声に女の足が止まる。アイルランド、ダブリンの荒涼とした街を漂流する音楽が、見ず知らずの男女の距離を短くする。ブロードウェイミュージカル『Once』は、暖かいアナログ音楽の力で観客の心も溶かす。

韓国語公演の主人公である歌手ユン・ドヒョン(42・右)と俳優チョン・ミド(32)は、音楽のために犠牲を払わなくてはいけなかった。まず、ユン・ドヒョンは自分の音楽色を消すために努力した。張り上げる既存のロック唱法を捨てて感情を切除するフォークスタイルに変えることが大変だった。彼が引き受けた「ガイ」役は、消極的な掃除機修理工だ。彼は「ユン・ドヒョンのコンサートという声を聞くのが嫌だった」とし「音楽監督(ケリー・ディッカーソン)が音を何度も小さくするように言ってきたため、それ以上行き場がなくなるほど大変だった」と打ち明けた。

楽譜を読むことができないチョン・ドミもピアノを初めて学んだ。去る1年間、目が覚めているときは鍵盤を打ち、寝る前にも練習した。彼女は「うんざりするまで練習して演奏曲6曲を覚えた。まさに人間の勝利だ。それでも舞台で手が震えた」と吐露した。チョン・ドミの演奏は合格点だった。素朴で整頓された打鍵が花を売るチェコ移民女性「ガール」の純粋さをよく生かした。

同名映画『ONCE ダブリンの街角で』(2006年)を舞台に移したこのミュージカルの中心は音楽だ。俳優12人がマンドリン、ギター、ベース、チェロ、バイオリン、ドラム、アコーディオンなどを直接演奏する。その旋律は、ガールフレンドと別れたガイ、夫と別居しているガール、銀行の融資を断られた楽器店の主人、店長面接に落ちたハンバーガー店アルバイトを慰労して勇気づける。

ユン・ドヒョンは「派手で急激に変化する音楽業界に逆行するミュージカル」とし「ちょっとオールドに見えるが、アナログの音楽が人と人の間の壁を崩す」と説明した。チョン・ドミは「音楽は私たちを癒して希望を持たせてくれる。この公演を通じて、音楽なしでは生きれないということを知った。音楽により人生が柔軟になる感じだ。舞台でピアノを打った後、達成感でいっぱいになった」と相槌を打った。

音楽は約束の場所を定めなくても、ガイとガールを会わせる。街で演奏するシンガーソングライターのガイが「どこで会おうか」と聞くとガールが「私が探し出す」と答える。音楽の力のおかげで、2012年のトニー賞のベストミュージカル賞など8部門を総なめにした。翻訳の力も無視できない。韓国語公演に面白味を与えてくれるのはセリフだ。ガールのチェコ語のセリフは、外国人のたどたどしい韓国語口調で処理した。ガールがガイのくたくたな装いを見て、「そちらは、今、少し乞食です」と言ったときに客席で爆笑が生まれる。「都市が鼻くそくらいだ」「私は多くの価格を殴った」というガールのセリフは、観客の武装を解かせる。

チョン・ドミは「韓国語が上手なチェコの女性に依頼して話し方を学んだ。鼻声、ワントーン上がる特有の音色をまねた。盛んに練習すしているときは、家でもその口調で話した」とした。彼女の気の利いたセリフにより笑いを我慢することが大変だったユン・ドヒョンは「観客が面白しろがっているのだから、最良の選択をしたようだ」と話した。音楽とセリフの強弱調節がうまくいった公演だ。速度が遅くなると俳優たちが足を回してダンスをしながら雰囲気を再調整する。惜しい部分はお酒だ。ニューヨークのブロードウェイ、ロンドンのウエストエンドの劇場では、パブ(Pub)舞台で俳優たちがビールやカクテルを売る。酔いが回れば、より興趣が尽きないというものだ。しかし、音響は最高レベルだ。通常ミュージカルの音響効果チャンネルは40個だが、この作品は、86個を使用する。ワイヤレスマイク70個を舞台のあちこちに設置して、より豊かなサウンドを作り出す。

ユン・ドヒョンは「音響のおかげで、私の演奏がより良く聞こえる」とした。その丹念に作り上げられたアナログの旋律が観客の間に乗り、冬を溶かしている。公演は来年3月29日まで、ソウル芸術の殿堂CJトワル劇場で開かれる。 (02)577-1987
  • 毎日経済 チョン・ジヒョン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-12-17 17:09:06




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