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キム・ダソル氏、ピアノの聖典に挑戦…「大きな宿題を抱えた気分」


  • キム・ダソル氏、ピアノの聖典に挑戦…「大きな宿題を抱えた気分」
イエスの誕生と死そして復活の過程を通じて救いのメッセージを伝える新約聖書のように、ベートーベンのソナタ32曲には不滅の魂に向けたすさまじいミュージシャンの闘争がそのまま溶け込んでいる。実際、ベルリン・フィルの初代指揮者ハンス・フォン・ビューローはバッハの平均律ピアノ曲集を旧約聖書に、ベートーベンのピアノソナタを新約聖書にたとえたりもした。ピアノの聖典に挑戦するピアニストのキム・ダソル氏(28)もまた、「ベートーベンの音楽は人間ではなく神に向かっている。天に送る崇高なメッセージがこめられた音楽なので、演奏者は気軽に弾くことはできない」と尊敬を示した。

キム・ダソル氏の7日と14日の錦湖アートホールでの演奏は、2020年に至るまでの4年間の大長征の始まりだ。キム・ダソル氏は8回のステージで、聴衆にベートーベンのピアナソナタ全32曲を聞かせる予定だ。この間にシューマンとシューベルトなどのレパートリーで大きな好評を得てきたキム氏は、ベートーベンのみで構成した国内で初めてのステージでもある。彼は「大きな宿題をかかえたような気持ちだ」と所感を語った。

「ベートーベンはシューマンやシューベルトと違います。シューベルトの曲はあまりにも人間的だから、左手で伴奏だけを弾いても局になる。シューマンの音楽は私と親しみがあり、楽譜を広げた瞬間にどうすればいいのか流れ出す。ところがベートーベンはそうではありません。音楽的には難しい曲でもあるが、何よりもその中に広大なメッセージがこめられているので、気軽に近づいたり親しくなったと合理化してしまうと良い演奏ができない。理想的にベートーベンの熱気を溶かし出すべきでしょう」。

インタビューは7日、最初のリサイタルが開かれる錦湖リサイタルホールで行われた。インタビューの直前まで、キム・ダソル氏は舞台上のピアノに座って練習に没頭していた。練習量を問わないことはできなかった。彼はぎこちなく笑って、「練習はピアノがあればいつでもする」という。 「家にいるならばまずは立ち上がってピアノの前に座る。約束がなければご飯を食べて休む時間以外はピアノを弾いています。私が自由にできる時間はピアノを弾きます。もちろん体が疲れた時はそれをおしてまではしません。それでは病気になりますよ(笑い)」。

しかしベートーベンは練習だけではだめだと言う。彼は「0.5秒でも集中力を逃すと、ベートーベンの音楽はすぐさま乱れて望まない結果が出てくる」とし、「練習も重要だが、集中力がカギだろう」とした。

事実、キム・ダソル氏は8月のスイスのクラヴィーアフェスティバルで、ベートーヴェンのピアノソナタ32曲を2年間で完奏している。彼は当時を「始める時もこれをどうしようかと茫然とした気持ちで真っ暗だったし、最後のソナタを終える時もこれをどいやろうかという思いがした」と回想した。今回の錦湖アートホールと国内で新たに挑戦する演奏は、まったく別の心構えだと付け加えた。 「以前にスイスで描いた絵に空白部分をところどころうめた。今でもベイビーステップですが、今回はミュージシャンとしての私の人生にひとつの痕跡を残してみようという気持ちです」。

7日の初ステージでは、若い頃のベートーベンのカラーがはっきりしたソナタ1番と、緊密につながるフレーズで幻想曲を連想させるソナタ13番を演奏する。 2部ではさらに複雑で豊かなベートーベン中期のソナタ第11番と、熱烈だが渋く節制された表現の傑作である28番を演奏する。キム・ダソル氏は28番を第一にあげた。 「私が一番好きで困難な曲です。だから演奏するたびに幸せな曲ですね」。
  • 毎日経済 キム・ヨンジュ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-12-06 19:11:07




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