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新国立「アイーダ」の主役を射止めた歌姫イム・セギョン


  • 新国立「アイーダ」の主役を射止めた歌姫イム・セギョン
チャンスは本当に偶然やってきた。イム・セギョン(43)が『アイーダ』で2014年、ミュンヘン国立劇場の舞台に上がった時だった。着物すがたの日本人二人が彼女のエージェンシーを通じて、チケットを入手できないかと問い合わせてきた。当時、イム・セギョンにも招待券はなかった。

探してみたところチケットは7ユーロしかしないので、彼女は2枚を買って二人の客に渡した。 4年後にその客の一人と、日本の新国立劇場で再会することになった。 「日本人のオペラファンだろうと思ったけど、じつはその中の一人が新国立劇場のキャスティングディレクターでした。その日の公演を見てキャスティングを決めたわけ」。

ソプラノのイム・セギョンが5日から22日まで公演される、日本の新国立劇場開館20周年記念作ヴェルディのオペラ『アイーダ』のアイーダ役に指名された。東京に位置する新国立劇場は、日本初のオペラ専用劇場で、伝統音楽を中心とする国立劇場とは異なりダンスやオペラなどの現代的な公演を主に企画する代表的な公共劇場だ。今回のオペラ『アイーダ』はイタリアの巨匠フランコ・ゼッフィレッリが監督を務め、2年前から製作に入った超大型プロジェクトで、登場人物だけで200人に達する。主な配役であるアムネリス役とラダメス役には、マリンスキー劇場や英国ロイヤル・オペラ・ハウスで活躍中のエカテリーナ・セメンチュクとナジミディン・マヴリャーノフがそれぞれキャスティングされた。

韓国人ソプラノが日本の大型オペラの主人公として舞台に立つことは異例だ。 「当時、わたしの公演を見たキャスティングディレクターが、ディクションがいいだけでなく私の歌から昔のイタリアの大家の声が聞こえるとして、必ず日本の観客に紹介したいとしました」。

イム・セギョンのアイーダはすでにヨーロッパの舞台でも認められた。現地で彼女の名前が知られた決定的なきっかけは、2015年にウィーン国立歌劇場の『蝶々夫人』とアレーナ・ディ・ヴェローナ音楽祭の『アイーダ』の舞台だった。ヴェルディのオペラ『アイーダ』が持つ魅力の一つは、主人公アイーダの立体的なキャラクターだ。亡国の王女としてラダメスの恋人であり、アムネリスのライバルとしてさまざまな表情で歌う。 「アリアをすべて異なる感性で歌うわけです。特に3幕のアリア『おお私の祖国』がとても難しい。高音をフォルテ(強く)ではなく、ピアノ(弱く)で歌わなくてはならない。高い音を出すときは力が入るものですが、ヴェルディは力を抜けと楽譜に書きました。ほとんどはフォルテで歌いますが、私はピアノで歌おうと努力しています。原本に忠実な姿が重要だと考えますから」。

去る5日、新国立劇場での初めての舞台は成功裏に終えた。日本の観客も懸念とは異なり、彼女を激しく歓迎した。 「終わって開かれたサイン会のとき、ある日本の観客の方はわたしの舞台写真と一緒に、私にもないノーメイクの写真を求めてたと。自分はこのように純粋なアーティストの姿を好む、この人の本質と舞台を比較する楽しみがあるとおっしゃったことが印象深かった」。

「韓国を恥さらしにしてはいけない」と念を押して行って、しかし懸念とは異なり「韓国人」に対する偏見は感じることはなかった。 「劇場ではまず最初に、韓国人歌手はほんとうに上手い、私たちはいくらがんばってもついていけないと話してくださるんですよ。先進国だと思いました。誰なのか、どこの国の出身なのかを問うよりも、その役に最高によく合う才能のある人を探すようです。ふとそんな気がしますね。韓国の舞台にも日本の主役俳優が立つことができるだろうか?」。

イム・セギョンは今回の公演の後、6月にはギリシャのアテネアリーナでジュゼッペ・ヴェルディの『ナブッコ』でデビューする。10月には『奇跡の声』というタイトルで来韓公演も予定されている。
  • 毎日経済_キム・ヨンジュ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-04-09 17:01:21




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