トップ > コリアナウ > 社会 > 押し寄せるヒジャーブ巻いた観光客…ハラール認証レストランなど準備不足

押し寄せるヒジャーブ巻いた観光客…ハラール認証レストランなど準備不足


  • 押し寄せるヒジャーブ巻いた観光客…ハラール認証レストランなど準備不足
  • < 5日、景福宮でヒジャーブを書いた東南アジアの旅行者が「自撮り棒」を持って故宮を背景に記念撮影をしている >

この2月までは昼夜を問わずユーカー(中国人観光客)が街を埋めた、ソウル市龍山の梨泰院(イテウォン)「雩祀壇通り(ウサダンギル)」のうまいもの路地。 4日の夜に訪れたウサダンキルの街には、わずか一ヶ月のあいだに新しく変化した風景が広がっていた。ヒジャーブを頭に巻いた東南アジアの女性たちが屋台に長く列をつくりオムクやプンオパンなど、屋台の食べ物を楽しんでいた。

梨泰院の裏側にある「ベトナムクィノンギル(Vietnam Quy Nhon-gil)」に作られた庭園と壁画の前には、若いベトナム人大学生も三々五々集まって自撮り棒を持ってシャッターを押し続けていた。マレーシア出身のハナピ・カラミッドさんは、「韓国ドラマ『応答せよ1988』を見てぜひソウルに来てみたかった」とし、「旅費も比較的安くて、家族全員が3泊4日の日程で訪ねてきた」と語る。

ウサダンギルのトルコレストランの従業員は、「3月より前までは中国人観光客が外国人客の半分を占めた」とし、「しかし3月から中国人客がかくじつに減った代わりに、トルコをはじめ香港や台湾など、さまざまな国籍の客が席を埋めている」と語った。

中国人観光客の足が途切れてがらがらと崩れるようだった韓国観光市場がそこそこ持ちこたえているのは、国内の旅行代理店と政府・自治体などが四方八方に飛びまわり、市場の多様化に乗り出したからだ。中国人の団体観光客が顧客全体の80%以上を占めていた国内のインバウンド旅行会社A社の役員は、東南アジアの旅行代理店との取引の糸口をつかむためにマレーシア、シンガポール、タイ、ベトナム、台湾を回って、ひと月のあいだ外国に滞在している。 Aさんは「ひとまず数年前から韓国ドラマブームに乗って韓流が強まった状況であり、営業効果は現れている」とし、「中国のよう何千人単位ではなくても、数十から数百人規模の顧客が着実に増えている」と語る。中国人観光客の空席を迅速に代替している東南アジアの観光客は、中国の「サード報復」次元の韓国団体観光客禁止措置以後は「干天の慈雨」のような存在だ。

  • 押し寄せるヒジャーブ巻いた観光客…ハラール認証レストランなど準備不足
問題は持続可能性だ。この日、梨泰院と明洞を訪れたほとんどの観光客と旅行代理店は一様に、イスラム圏の観光客のためのレストランや従業員などの「インフラ」不足を問題点として挙げた。

ハラール認証を受けた梨泰院所在のトルコレストランで会ったジェティ・サリ(22・マレーシア)さんは、「豚肉の入らない韓国料理にも挑戦してみるつもり」だとし「しかし梨泰院などにハラールレストランが集まっており、他の地域の観光は想像もできない」と語った。韓国イスラム中央会(KMF)から公式認定を受けたハラール認証のレストランは国内にわずか13ヶ所だ。このうち8ヶ所は梨泰院地区に集中している。訪韓イスラム観光客全体の半分以上が訪れるという江原地域には、ハラール認証のレストランが春川に1カ所だけだ。観光1番地であるソウル市の明洞や済州島には1カ所もない。こういうことから、多くのイスラム教徒の観光客はじぶんで食べ物を包んで韓国を訪ねているのが実情であり、国内レストランの売上げ増加にはほとんど役に立たないとされている。

イスラム教徒はイスラム法に基づいて一日5回、手や顔などを清潔に洗った後、イスラムの聖地であるメッカの方に向かって祈りをささげる。現在、全国には合計40ヶ所のイスラム教徒の祈祷室があるが、ほとんどモスクや大学・大学病院などの中にある。ソウルの観光地ではコエックス、ロッテワールド、韓国観光公社の建物などたった3ヶ所だけだ。

観光公社が昨年末に発表した「2016年訪韓イスラム教徒観光実態調査」によると、東南アジア・中東のイスラム教徒の観光客10人のうち1人は、不便を感じながらもレストランで祈りを行ったことが分かった。

東南アジア人観光客を案内する観光ガイド(観光通訳案内士)の不足は深刻な水準だ。 2016年5月現在、マイン語(マレーシア・インドネシア)の観光通訳案内士の資格保有者は国内にわずか64人だけだ。アラビアはたった2人に過ぎない。

東南アジア・中東からのイスラム教徒の観光客のうち約42%がパッケージ団体観光客であることを勘案すれば、ガイド1人につき年間約4000人を案内しなければならないわけだ。日本語ガイドが平均1人当たり年間約18人、中国語ガイドが約333人の団体観光客を担当していることとは比較さえ難しい。

観光ガイドを養成する専門学校において、マイン語・アラビア語の面接対策クラスを運営しているところも全くないのが実情だ。旅行業界の関係者は、「現地から来た引率のほとんどが不法ガイドの役割を果たしているのが現状」だと語った。
  • 毎日経済_ヨン・ギュウク記者 / イ・スンファン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-04-05 20:23:07




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア