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文大統領・孫正義、5年前の約束に始動かかるか…スマートグリッド事業に注目


■ 東北アジア「スマートグリッド」事業に注目

  • 文大統領・孫正義、5年前の約束に始動かかるか…スマートグリッド事業に注目
  • < 孫正義ソフトバンク会長(左)、宋永吉共に民主党議員(右) >

大統領直属の北方経済協力委員会の委員長に内定した宋永吉(ソン・ヨンギル)共に民主党議員が9月初め、日本で孫正義ソフトバンク会長に会って「東北アジアスーパーグリッド」プロジェクトに本格始動をかける。

東北アジアスーパーグリッドプロジェクトは、韓国・中国・日本・ロシア・モンゴルなど、東北アジア5カ国が参加する超大型の新再生エネルギー電力網の接続事業だ。モンゴルに太陽光発電や風力発電団地などを設置して、生み出されたエネルギーを陸上と海底電力網に接続し、東北アジアのスマートエネルギーベルトを構築するものだ。

宋議員は来月の6~7日、ロシアのウラジオストクでプーチン大統領の主催で開催される「東方経済フォーラム」に先立ち、日本で孫正義会長に会う計画だという。

宋議員は、露・中国・蒙・中央アジアなどの近隣諸国との経済協力プロジェクトのコントロールタワーの役割のために、今月末に発足した北方経済委員長に内定したため、今後は東北アジアスーパーグリッドプロジェクトを核心課題として推進する可能性がある。

先立って趙煥益(チョ・ファンイク)韓国電力社長も6月中旬、日本で孫会長と会ってこの事業を積極的に推進することで合意するなど、着々と段取りを踏んで行っている。当時、趙社長と孫会長は「東北アジアスーパーグリッドは微細粉塵の削減と温室効果ガスの削減の新たな解決策」だとし、「今後は東北アジアをエネルギーで接続し、経済共同体構築の扉を開く役割をともに果たす」と協議した。

韓国電力はすでに2016年、日ソフトバンクと中国の国家電力網公司やロシアのロスセチ社などとともに、多国間送電網の接続事業に対する妥当性を調査することで覚書(MOU)を締結している。

文在寅(ムン・ジェイン)大統領もスーパーグリッド事業にかなりの愛着を持っていることが伝えられた。

文大統領は2012年、当時野党だった民主統合党の常任顧問の資格で孫会長に会い、この事業に対して深く議論している。その時に文大統領は「韓国で原発が占める割合は約40%だが、現政府が原発の割合を拡大していくことは望ましくない」とし、「設計寿命に達した原発の稼働を停止する必要があり、原発の追加建設に反対するべき」だと述べた。そして「再生可能エネルギーと代替エネルギーを拡大するための、国家エネルギー政策の全面的な見直しが必要だ」とし、孫会長が推進する「アジアスーパーグリッド」事業に大きな関心を見せた。このような考えが今の文在寅政府の脱原発政策につながったわけだ。再生可能エネルギーを設置する適切な場所が不足している韓国としては、原発停止による電力需給不足を解決するには海外に目を向ける必要がある。

特に文大統領は当時、孫会長のアジアスーパーグリッド構想は、再生可能エネルギーと情報技術(IT)の組み合わせ、アジア経済協力体制の構築を通じた新たな成長動力の創出はもちろん、アジアの平和体制構築のための安全保障の協力媒介になりうることに共感を示した。政界の関係者は「スーパーグリッド事業は、中国の一帯一路、ロシアの新東方政策、文大統領の新経済地図を一つにまとめることができる部分が多い」とし、「クリーンエネルギーへの国家エネルギー政策の転換はもちろん、韓半島の平和と安定という大きな絵柄の次元で協議が行われるだろう」と説明した。

ムン大統領が先月初め、ドイツを訪問した席で明らかにした対北韓政策の基調「ベルリン構想」の中核である「韓半島新経済地図」は、韓国の経済活動の領域を北韓はもちろん、大陸に拡張することが核心だ。中央アジアとヨーロッパを結ぶ陸上シルクロード、東南アジアとヨーロッパそしてアフリカを結ぶ海上シルクロードを構築するという、中国の一帯一路構想、極東のウラジオストクを第2の首都にして東北アジアの国々とエネルギー・物流システムを構築というロシアの「新東方政策」と相当に接点があるわけだ。

このような東北アジア経済協力プロジェクトの実行のために、宋議員のひきいる北方経済委は前哨基地の役割を引き受けることになったものと思われる。当初、北方経済委はロシア・中国とガス開発・鉄道網の接続などを重点事業として推進するものと思われたが、日本まで接続された東アジアの電力事業を主管する可能性が高く、その役割にさらに重みがのせられることになった。

しかし、東北アジアスーパーグリッド事業は周辺国との間の利害関係が絡んでいて、長期的なアプローチが必要なプロジェクトだ。

2011年、福島原発事故を近くで見守った孫会長は、代替エネルギーを活用したスーパーグリッド構想を初めて提示し、2011年の「9・15停電大乱」を経験した韓国も参加の意思を明らかにしたが、足踏み状態だ。世界的な景気低迷により、予想よりも周辺国の電力需要が多くないからだ。長期的に北韓を引き込むという考えもあるが、とくに何等の呼応を得られずにいる。また国別の役割分担なども、今後に解かなければならない宿題だ。
  • 毎日経済 カン・ゲマン記者/オ・スヒョン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-08-12 00:00:00




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