トップ > カルチャー > 変わりつつある「秋夕」名節の風景

変わりつつある「秋夕」名節の風景


  • 変わりつつある「秋夕」名節の風景

「わけもなく慣習を守ろうとストレスを受ける必要がある?どうせなら家族で楽しもうと集るわけでしょう」。

会社員チェさん(仮名、30)は今回の秋夕連休を控えて、複雑なチャレサン(茶禮床)を準備する代わりに、任天堂製のゲーム機を購入した。オンラインモールで簡易チャレサン用品を購入し、生じた余裕時間で甥とゲームを楽しむためだ。チェさんは「家族同士の余暇活動を楽しみに祝日を送っている」とし、「同じ年頃の職場の同僚の中では、以前のように厳格な慣習に従って祝日を過ごす事例はほとんどない」と言う。

秋夕の風俗がおおきく変わっている。

祝日に家族全員が集まってチョン(揚げ物)を揚げて祝日の食べ物を作り、故郷のソンサン(先山=先祖の墓)を回って墓参りするというのはいまや昔話になった。むしろ祝日の儀式を簡素化して、家族の実質的な幸福を追求する風潮が広がりつつ、祝日を送る新しい風俗が拡散している。二人の子供はともに結婚して分家し、引退後の生活を暮らしているキムさん(仮名、68)は、今回の秋夕は夫人とクルーズ旅行に行く予定だ。キムさんは「子供たちとは旅行を行って来てから、家族で軽く食事だけをする予定」だとし、「友だちどうしで集まると、チャレサンをそろえるのも嫁を苦労させるだけだという話をみんながする」と語った。

京畿道高陽市に住むパクさん(仮名、58)の家族は、今回の秋夕連休はバラバラになることにした。秋夕連休が始まる22日、朴さん夫婦は江原道江陵市のコーヒー通りに、会社員のパクさんの娘は日本に旅に出る。大学生のパクさんの息子は家に残って、すこし前に購入した「プレイステーション(PS)4」でゲームを楽しむ計画だ。パクさんの家族の秋夕キーワードには「故郷」や「チャレ」はない。パクさんは「両親が亡くなった後にすべての祝日に関する儀式を1月1日にまとめたし、名節のときは家族がそれぞれ好きな余暇を楽しみつつ送るようにしている」とし、「名節ストレスから逃れた妻が特に喜んでいる」と語った。

名節連休に余暇を楽しむ雰囲気が強まり、映画館も混み合っている。映画振興委員会によると、最近3年間の秋夕連休に全国の映画館を利用した観覧客は、2015年の601万人から昨年は1101万人に、2年のあいだに80%以上も急増した。昨年の秋夕連休が九日間で、五日前後の例年よりも長かったという点を勘案しても、名節の映画館利用客は大幅に増えたという話だ。

名節の儀式に執着する代わりに、家族どうしが友愛と調和を図り、残る時間に余暇を楽しむ「ソファクヘン(小さいが確実な幸福)」型の名節が広がる傾向にある。秋夕連休を控えてゲーム関連の商品販売が急増することもこのような脈絡で解釈される。

Gマーケットによると、秋夕の一週間前にあたる去る10~16日のゲーム関連商品の販売量は、前年同期に比べて少なくいものは100%、多いものは300%以上も伸びた。アクション・シューティングジャンルのPCゲームは、販売量が前年同期比で333%急増した。ゲーム機の種類では「任天堂wii」は252%で、アクション・シューティングジャンルの「プレイステーション」ゲームは128%で後に続いた。業界関係者は「名節の時に故郷に行かなければならないという認識が弱くなり、連休を利用してゲームを楽しもうとする20・30代男性の需要が増えている」とし、「特にゲーム商品が3桁の急成長を見せることは注目に値する」と説明した。

秋夕連休の風景が変わる理由は、親の世代の認識の変化だ。日本の植民地時代などを経たベビーブーム世代の親の世代が老衰などで死亡したり挙動が不便になり、名節の儀礼や儀式を固守する大人たちがすがたをくらましたという分析だ。 50・60代の年齢層に達したベビーブーム世代はこれまでとは異なり、名節の祭壇や家族全員が集まる場に敢えてこだわらない雰囲気だ。

ノ・ミョンウ亜洲大学社会学科教授は、「ベビーブーム世代が一家で重要な決定をする地位に上がったことのよって、これまでの儒教文化が消え、そこに旅行などの生活を楽しむ文化が入るようになったわけ」だと診断した。
  • 毎日経済_キム・ヒレ記者/イ・ヒス記者/リュ・ヨンウク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-09-21 18:59:34




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア