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キム・ヨン世銀総裁が突然辞任


キム・ヨン世界銀行総裁(米国人ジム・ヨン・キム)は7日(現地時間)に理事会を招集し、辞任を電撃発表した。 5歳の時に韓国から米国に移住し、ハーバード大の医学博士となり、世界銀行総裁にまで上がった立志伝的なストーリーで、国内でもよく知られている人物だ。

2012年に世界銀行総裁に上がったキム・ヨン氏は2016年9月に再任に成功し、一昨年から5年の任期を新たに開始した。まだ任期が3年も残った状態であることから、途中下車の背景に対する関心が高まったが、キム総裁は具体的な理由を明らかにしなかった。

世界銀行は1945年、戦後の被害回復と発展途上国に対する経済開発のために国連傘下に設立された国際機関だ。スタッフだけで1万3000人もかかえ、加盟国も189ヶ国になる。キム総裁はこの日に発表した声明で、「極度の貧困を終わらせるという使命に献身する、情熱的な人々でいっぱいの機関の総裁として働いたことは大きな光栄だった」と所感を明らかにした。また職員に送った電子メールで、「発展途上国のインフラに対する投資を行う民間企業に参加する」とし、「これは気候変動のような地球規模の問題と、新興市場のインフラ不足に最も大きな影響を与えることができる道だと結論付けた」と語ったと、ブルームバーグが伝えた。

世界銀行の関係者らによると、キム総裁は前日の夜の取締役で、7日午前9時30分に総裁が主宰する理事会の招集を通知した。通常は副総裁が理事会会議を主宰するうえに、総裁が出席した場合は少なくとも1ヶ月前にスケジュールが決まるのが一般的だ。この日の会議に参加した人々は、ほとんどが新年の挨拶だと考えたという。しかし会議でキム総裁が投げた第一声は「世界銀行を離れることにした(I`m leaving the Bank)」であったことが伝えられた。キム総裁は2月1日付けで辞任すると発表したが、すぐさま8日から年次休暇に入ることから、事実上は当日退任になってしまった。この日はチェ・ヂョンピョ韓国開発研究院(KDI)院長など、外国から訪問した関係者らとの面談もいっせいに取り消された。

世界銀行の歴代12人の総裁の中で、民間セクターに移るために任期途中で辞退した事例は初めてだ。後任の総裁選出権は理事会が持っているが、事実上は米国が決定する伝統が続く可能性が高い。歴代総裁はすべてアメリカ人だった。加盟国の議決権のうち85%以上が同意してこそ総裁になれるが、米国が16%を保有して、事実上の「拒否権」を持っている構造だからだ。しかし今回の辞任で発展途上国がアメリカ人の選任に反対し、発展途上国出身の候補を押す可能性も提起される。

キム総裁辞任の背景をめぐってはさまざまな推測だけが盛んだ。父親が以北(ウィブク=北韓)出身のキム総裁は昨年、北韓の非核化の可能性が浮上した後に北韓の経済開発に強い意志を見せたという話が多かったからだ。しかし民主党政府から指名されたキム総裁は、国際機構に対する不満の多いドナルド・トランプ米政府と継続的に葛藤をかもしたという話も出ている。

特に気候変動政策に反対する米国政府の圧力に対抗し、石炭発電プロジェクト支援を中断して葛藤をおこしたし、中国に対する融資構造を変えろというホワイトハウスの要求も強かったと外信は伝えた。世界銀行の内部的には、キム総裁が推進した構造調整などで職員の反発を買うこともあった。

昨年末、初めて100人を突破した世界銀行内の韓国人・韓国系スタッフの間でもやや険悪な雰囲気が作り出された。ある韓国系の世界銀行職員は「みんな成り行きが判らず、わさだけがとびかう状態」だとし、「一日中仕事の手を止めて、キム総裁の話をした」と言う。
  • 毎日経済_ワシントン=シン・ホンチョル特派員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2019-01-08 22:10:28




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