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金正恩委員長が製薬工場に向かった理由は?

中国漢方薬の大手「同仁堂」の工場を訪問 

  • 金正恩委員長が製薬工場に向かった理由は?
  • 9日午前、金正恩北韓国務委員長が訪問した北京経済技術開発区の漢方薬メーカー「同仁堂(トンイルダン)」。



北韓の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長は9日午前、北京経済技術開発区の中薬(韓国の漢方薬に該当)のメーカーである同仁堂(トンイルダン)の工場を訪問して注目された。これは4回の訪中期間中で唯一の経済に関連する現場訪問の日程で、漢方薬の製薬と同仁堂に対する関心が高まっている。

同仁堂は約350年あまりの歴史を持つ中国を代表する漢方薬(中薬)製薬会社で、清朝の康熙帝1669年に創立された。現在は2つの上場会社と600以上のチェーン店を持つ多国籍企業に成長しており、韓国では「牛黄清心丸(ウファンチョンシムファン)」の製薬会社としてよく知られている。

あるいはまた「牛黄清心丸」の他には「安宮牛黄丸(アングンウファンファン)」「大活絡丸(デファルラクファン)」など、中国で「十大名薬」とされる医薬品を多数保有している。中国の50大製薬会社の中で最も古い歴史を誇る同仁堂は売上高もまた最大規模で、2015年の売上高は108億元(約1兆7800億ウォン相当)であり、毎年10%水準の安定した成長を見せている。同仁堂は中国国家所有の製薬会社で、中国医学と漢方薬の優れたサービスを提供するために力を注いぎながら成長してきた。しかし1980年代に中国の開放政策が始まったときに、西欧医薬品が一般化して危機を迎えた。しかし中国医薬の製造秘密に近代産業の標準化と大量生産システムを組み合わせることに成功しており、これによって漢方薬製薬の難題であった品質の標準化と生産性を解決し、製薬企業として跳躍することになった。

中国政府は最近になって医薬産業の育成にいっそう積極的だ。 2016年2月に発表された医薬産業の育成策では、2030年までに、中国全体の医薬品産業で医薬が占める割合を30%水準まで引き上げると発表した。また、海外市場への進出のために1993年には香港に海外1号店を新設したことに続き、最近ではオランダの漢方薬販売チェーンを買収したり、スイスに医薬研究・開発センターを開館した。特に海外の消費者が直接購入できるように、別途に海外直購サイトも開設して運営している。

金正恩(キム・ヂョンウン)国務委員長もまた、北韓の漢方医学である高麗医学を通じて、医療サービスの質の向上と経済成長にも恩恵をもたらすことができると判断し、大きな関心を見せていることが知られている。北韓は高麗医学が1次医療では相当部分を占めている。

金正恩委員長は今年の新年の辞で、「製薬工場や医療器具の工場を近代化して医療機関の面目を一新し、医療サービスに対するレベルを高めなければならない」と強調した。実際、北韓はこの数年のあいだ漢方薬の増産運動を展開して多数の漢方薬農場を構築しており、生産された漢方薬は主要輸出品目に成長した。

専門家らは今回の同仁堂への視察の意味を、北韓の自国内の製薬や医療水準を高めるための動きの延長線にあるとみている。国内の漢方医薬の研究開発企業のシーワイのユン・ヨンフイ代表は「現在、北韓の原料漢方薬産業は過去とは異なり、国家主導で運営されて急速に成長しており、開城人参などのいくつかの品目は既に世界的に品質を認められている」とし、「キム・ジョンウン国務委員長の同仁堂への視察は成功裏に安定した原料漢方薬の加工産業をこえ、より大きな付加価値を創出できる製薬業界で、一段階跳躍する意志と解釈される」と説明した。

特に南北交流の活性化によって、南と北が一緒に成長できる分野としての強みも持っている。

韓国の漢方薬産業は、質の高い漢医薬関連の人的資源と豊かな伝統資産などの底力を備えているにもかかわらず、いまだに中国の漢方薬製薬企業ほどの規模をもつ企業は珍しいのが現実だ。このことから、国内の人的資源のレベルとは異なり、世界の伝統医薬市場では中国や日本そして台湾など押されている状況だ。

しかし最近になって「漢医薬育成法」によって漢方薬産業の発展のための公共インフラの構築が政府主導で進められており、臨床試験用の漢薬製剤製造設備(GMP)、煎じ薬標準調製施設と漢方薬非臨床研究施設(GLP)の建設が現在進行中だ。このことから漢医薬産業界は、金正恩国務委員長の同仁堂の訪問をきっかけに、漢方薬産業を通じた南北交流の活性化が進めば、世界の伝統医薬市場で南北が新しい風を呼び起こすことができると予測して期待感を明らかにした。

株式会社シーワイのユン・ヨンフイ代表は、「漢医薬は世界の伝統医学で十分な競争力を備えているが、産業化の面ではまだよちよち歩きの段階にあるため、今後の海外市場の急成長に合わせて積極的に海外進出を模索する必要がある」と明らかにし、「北韓との交流活性化を通じて、北韓の漢方薬産業と韓国の製薬技術を組み合わせたなら、遠くないうちに中国の先例のように世界医薬市場に新しい風を起こすことができるだろう」と強調した。
  • 毎日経済_イ・ビョンムン医療専門記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2019-01-11 16:04:08




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