トップ > コリアナウ > 社会 > 「観光韓国」の深刻な現実…ふえる宿泊施設の競売

「観光韓国」の深刻な現実…ふえる宿泊施設の競売


  • 「観光韓国」の深刻な現実…ふえる宿泊施設の競売

江原道平昌の大関嶺面車項里(チャハンリ)所在のリーバリーファミリーホテルは最近、オークションで12回の流札の末に15億2000万ウォンで落札された。落札価格は当初の鑑定価格の90億375万ウォンに比べ、なんと75億ウォンも下がった。それすらも、応札者はたった1人だった。近くに大関嶺牧場、五台山月精寺、旌善レールバイクなどの観光名所があり、一時は盛況を享受した建物としては大きく価値が落ちたわけだ。

済州島西帰浦市の法還洞(ボプファンドン)745-1所在のビスタケイホテルワールドカップホテルは最近、オークションで3回流札した。入札最低価格は鑑定価格3億5370万ウォンの半分にも満たない1億2131万ウォンだった。近くに西帰浦市役所第2庁舎や警察署などの官公庁やワールドカップ競技場にショッピングセンターがあり、観光の要地として通じるが「アタリ」は全くなかった。

崖っぷちに追いやられている、韓国観光産業の現状はこうだ。冬季オリンピックというメガ級のイベントを繰り広げた平昌は「オリンピックジンクス」に苦しみ、すでにスラム化の兆しを見せている。「ビザ免除」カードでユーカー(中国人観光客)を前面に立てて一時は常勝疾走していた済州は、「円安」とカソンビ(価格対性能比)を前面に出した日本に押されて久しい。われわれ国民だけでなく外国人たちでさえ韓国を無視したまま、周辺国の東南アジアや日本に足を向けて、かつて観光主要7カ国(G7)では「富国」だった韓国の観光産業が奈落に落ちている。

ホテルや旅館などの宿泊施設が大挙オークションにかけられていることが現実をそのまま見せてくれる。裁判所の競売情報の会社競売によると、今年の第1四半期の全国宿泊施設のオークション進行件数は237件で、そのうちの落札件数は70件と集計された。昨年の同じ期間のオークションは161件で、1年のあいだに1.5倍近くに増えたわけだ。

平昌冬季オリンピックを繰り広げた江原圏が最も大きな打撃を受けた。競売物件が最も多く発生した。第1四半期における江原道の宿泊施設のオークション進行件数は52件で、全国237件のうちで21.9%を占めた。これは昨年の同じ期間の29件と比較すると79.3%増加した。オークション件数はますます増えると現地では見ている。

市場の専門家らは内需景気が冷え込んだうえに、冬季オリンピックと中国人観光客の好況期における無分別な施設投資が重なり、供給過剰が生じたためと見ている。最近、Airbnb(エアビーアンドビー)などの共有宿泊施設まで急増しており、下半期にはオークションに出てくる「カントンホテル(空き缶ホテル)」はさらに増えるとの見通しだ。江原平昌郡でペンション業を営むチョン某氏は、「どういうわけか入ってくる予約も一日の短期滞在がほとんど」だと言う。

クルーズ船や飛行機に乗って刻々と集まったユーカーのおかげで大笑いをあげた済州の状況も深刻だ。

「サード(THAAD/高高度ミサイル防衛システム)事態」以後、ユーカーの訪問が落ち込んだうえに、円安を前面に出した日本が価格帯性能比で最高の代替地として急浮上し、地域景気は最悪に向かって駆け上がっている。韓国人はもちろん、外国人観光客までが引き潮のように引きあげて、競売物件の増加率が最も急増加したところも済州島だ。先月、済州島の宿泊施設のオークション進行件数は19件で、2001年の統計作成以来での最高値を記録した。第1四半期に行われたオークション件数は32件で、昨年第1四半期の0件と一昨年第1四半期の4件に比べて著しく増加した。

2017年に1億7800万ウォンの黒字を記録したが、昨年は40億9800万ウォンの純損失を記録した済州観光公社は、すでに非常経営体制に入った。 600億ウォンをかけた西帰浦港は昨年5月の設立以来、実に1年8ヶ月目を開店休業のままだ。昨年7月から始めて166隻のクルーズ船を受け入れると公言していた計画は、中国のクルーズ観光旅行代理店が訪問日程全体をキャンセルしたことで終わりを迎えた。済州島はこの6ヶ月のあいだ、施設維持費のみで2億3000万ウォンを飛ばした。

韓国観光産業が墜落しているが、政府はほとんど手をこまねいている。国家的な観光政策高揚策が必要な時点だが、現政府は青瓦台秘書室を改編して、業界と政府のつながりである「観光振興秘書官職」を完全に取り除いてしまった。

大統領の傘下機構として推進された国家観光戦略会議も、首相傘下の機構に格下げした。 2日、毎年開催される国家観光戦略会議に大統領が参加したことも、今回の政府に入って初めてだ。韓国観光公社とインバウンド市場の重要な役割を果たすべき韓国訪問委員会は各企業の長が次々と会長職を固辞し、朴三求(パク・サムグ)会長後の代行システムで細々と延命している。

カン・シンギョム全南大学観光経営学科教授は、「政府の支援など観光活性化政策全般をリセットしないと、このまま没落することもありうる」と述べた。
  • 毎日経済_シン・イクス旅行専門記者/パク・ユネ記者/チャ・チャンフイ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2019-04-02 19:53:09




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア