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世界初の細胞遺伝子治療剤「インボサ」…許可取り消しの背景

食薬処「コーロン、故意に隠蔽」判断 

  • 世界初の細胞遺伝子治療剤「インボサ」…許可取り消しの背景
  • カン・ソギョン食薬処バイオ生薬局長/MBNニュース



◆「インボサ」許可取消 ◆

コーロン生命科学の骨関節炎治療剤「Invossa-K Inj(インボサ)」が許可取り消しという撤退をむかえたことは、製造社のコーロン生命科学と開発社である米国コーロンティシュジン(Kolon TissueGene、コーロン生命科学の子会社)がインボサ内に無許可の細胞の混入事実を知っていながら隠していたと食品医薬品安全処が判断したからだ。

現行の薬事法によれば、許可を受けた医薬品が重大な疾病をもたらすことが明らかになったり、許可当時の提出資料に故意に隠蔽した部分が確認されたりすると、許可が取り消されることがある。食薬処は「故意の隠蔽」を理由にあげて、インボサに対する許可を取り消した。

インボサ問題は、新薬承認当時(2017年7月12日)提出された資料の中の成分と、実際に含まれている成分が異なることが明らかになって始まった。

インボサの主成分である軟骨細胞(1液)と軟骨細胞を活性化する遺伝子操作形質転換細胞(2液)の中で、2液が軟骨細胞に由来するものとされていたがけっきょく腎細胞として確認された。このために無許可の細胞が混入したことに対しては異論がなく、争点はインボサの成分細胞が変わったことが故意なのか、または単純なミスなのかだった。

いったん食薬処はコーロン生命科学の国内研究所の現場を調査した結果、承認当時に提出した資料の中で「2液が軟骨細胞であることを証明する資料」をコーロンが虚偽で作成・提出した事実を確認した。 2液が1液のような軟骨細胞であることを証明するために、1液と2液のタンパク質発現様相を比較・分析するべきなのに食薬処の調査の結果、コーロンは1液と2液を別々に分離して調査せずに、1・2液の混合液と2液を比較したことが確認された。メーカーが調査結果を糊塗しようとする意図が介入したというのが食薬処の判断だ。特に食薬処は2液の最初の細胞を分析した結果、腎細胞のみに発見される特異遺伝子である「gag」と「pol」が検出された。

食薬処は「このような結果はコーロン生命科学が許可当時に、腎細胞ではないという証拠として提出した資料が虚偽であったことを意味する」と明らかにした。

また食薬処はコーロンがインボサの新薬承認を受ける前に、インボサの成分細胞と関連する主要な事実も隠したと見ている。食薬処が米国コーロンティシュジンを現地調査した結果、コーロン生命科学は新薬承認を申請する前に2液に挿入された遺伝子の数と位置が変動したことを知っていながらもこれを隠したまま、関連資料を食薬処に提出していないことが分かった。インボサのような遺伝子治療剤の場合、細胞に挿入される遺伝子の数と位置は、医薬品の品質一貫性の次元で非常に重要な情報であるため、許可の過程で必ず提出しなければならない。

コーロンが故意にインボサの成分変更を隠したというスモーキングガン(決定的な証拠)は今月初め、コーロンティシュジンが証券取引所に明らかにした公示だ。公示によると、コーロンティシュジンは米国の臨床用に使用するためにインボサの生産を任せた委託生産メーカーはインボサの成分を検査した後の2017年3月、ティシュジン側にインボサの2液が腎臓由来の細胞であることを通知した。インボサの新薬承認が2017年7月に出たという点を勘案すれば、許可の4ヶ月前にコーロン生命科学の子会社であるコーロンティシュジンは、既にインボサの成分変更の事実を知っていながらもその事実を故意に隠蔽したわけだ。

28日、インボサの許可取り消しを発表したカン・ソギョン食薬処バイオ生薬局長は、「コーロン生命科学が(委託生産メーカーの)検査結果をインボサの許可翌日の2017年7月13日に、コーロンティシュジンからメールで受け取ったという事実が米国現地調査の結果から明らかになった」と話した。それとともに、カン局長は「2017年3月から4ヶ月間、コーロン生命科学とコーロンティシュジンは無許可の細胞混入の事実を互いに共有していたかどうかは確認されなかったが、生命科学もまた許可の前にその事実を事前に知っていたと判断される」とし、「たとえコーロン生命科学側が許可の一日後にコーロンティシュジンの電子メールを受け取ってようやくその事実を知ったとしても、問題があることをすぐに食薬処に知らせなければならなかった」と強調した。

食薬処は、コーロン側が成分変更問題が発生した理由を科学的に証明できなかった点も指摘した。カン局長は「コーロンは2液の遺伝子の指紋分析結果とタンパク質の発現解析の結果など、許可当時に2液を軟骨細胞として判断した理由をきちんと説明できなかった」とし、「2液が腎細胞に変わった経緯についても、やはり科学的な説明資料を出さなかった」と指摘した。

インボサはすぐさま市場から撤退するが、薬事法上は許可取り消しされた医薬品は1年間の再許可申請が不許可になるだけで、それ以降は最初からすべての臨床試験を再度行う場合は、新しい品目として許可を得ることができる。しかし、これに対してカン局長は「綿密に検討しなければならない事案であるだけに、まだおろそかに判断するのは難しい」と語り、インボサの品目変更の可能性については懐疑的な反応を見せた。

許可取り消しの決定を下したが、食薬処はインボサの副作用の可能性はないという結論を下した。食薬処によると、腫瘍を誘発することが知られて患者を不安にさせたインボサ2液の細胞死滅試験を一ヶ月のあいだ実施した結果、2液はいったん投与されると44日後にはもはや生存していないことが確認された。このような結果を土台に、食薬処は「臨床試験の対象者の長期的な経過観察の結果、インボサによる重大な副作用もないことが明らかになった」と強調した。といっても、インボサ細かい副作用まで無いということではない。現在、インボサ投与後に足の浮腫などで苦しむ患者が多いからだ。

食薬処も「科学的にはどんなものも100%確信できないため、万が一の場合に備えて患者の観察調査は必ず必要だ」と説明した。

したがって、食薬処はインボサの投与患者全体(438病院、医院3707ヶ所)を特別管理対象に指定して、これらに対する15年の長期追跡調査を実施している。コーロン側もすべての投与患者について、病院・医院を訪れて問診を行うことにし、血液と関節腔での遺伝子検査などを通じて異常反応が表われているのかを調査させた。また食薬処は薬物疫学調査システムに登録されたインボサ投与患者を対象に、彼らの病歴と異常事例などを別途に調査・分析する計画だ。
  • 毎日経済_五松=ソ・ヂヌ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2019-05-28 21:55:03




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