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[科学の香り] 頭が大きいと、賢いのか?

韓国科学技術情報研究院(KISTI) 

  • [科学の香り] 頭が大きいと、賢いのか?
「私は私の頭の重量が気になる」

頭が大きいことで有名なコメディアン、カルトのキム・テギュンが、自分の頭を体重計に載せた。 7.8kg!先立って、頭の重量を測ったチョン・チャンウより0.8kg重い。普通の人の頭の重量が4kg程度であることを考えると、驚くべき数値だ。2011年6月13日に放送されたSBSトークショー「アンニョンハセヨ」は、この場面で話題を集めた。

この場面を見ていて、ふと一つの疑問が生じた。頭の大きさが知能と関係があるのか​​についてだ。当代一のカルトの話術と機知も、もしかしたら他の人よりも大きくて重い頭から出てきているのではないだろうか。

実際に人類の進化の過程を見てみると「脳が大きいほど頭が良さそう」と考えることができる。原始人類に比べて現在の人類の平均脳の容量は2~3倍大きくなったからだ。400万年前に住んでいたアウストラロピテクス(Australopithecus)の脳の容量は380~450ccだったが、後に示されたホモ・ハビリス(Homo habilis)の脳の容量は530~800ccと大きくなった。完全に直立歩行したホモ・エレクトス(Homo erectus)の脳の容量は900~1,100ccであり、20万年~5万年前に住んでいたホモ・サピエンス(Homo sapiens)の脳の容量は1,300~1,600ccだ。

19世紀のアメリカの自然人類学者であるサミュエル・ジョージ・モートン(Samuel George Morton)は、最初から「頭蓋骨が大きいほど知能がいい」という仮説を立てて研究した。彼は世界中から集められた人種別の頭蓋骨約1,000個を大きさで分類した。彼は小さなからしの種を頭蓋骨に詰め、それをシリンダーに注ぎ、体積を測定した。しかし、からしの大きさがすべて一定ではないことを知り、直径0.125インチの鉛で作られた弾丸で体積を記録した。

モートンの研究結果、頭蓋骨の大きさは、白人が最も大きく、黒人が最も小さかった。ネイティブアメリカンは、両方の人種の中間であった​​。モートンは、これを利用して「脳が大きい白色人種が知能が最も高い」という主張を展開した。もちろん、彼の研究結果は、科学的人種主義との批判を受け、科学者の主観が研究に関与した事例として残された。

しかし、2011年6月、科学雑誌「プロスバイオロジー(PLoS Biology)」に掲載された論文では、モートンの研究を擁護して出た。少なくともモートンが研究結果を操作しなかったという点だ。米国ペンシルバニア大学の研究チームがモートンが使用した頭蓋骨を再び測定した結果、モートンの測定がほとんど正確だったのだ。もちろんだからといって「頭蓋骨が大きいほど知能も高い」という主張まで正しいとすることはできない。

脳の容量よりも重要なのは「大脳皮質」

天才科学者アインシュタインの脳は、一般人よりも小さかったと伝えられた。また、フランスの文学評論家であるアナトール・フランス(Anatole France)の脳の容量は1,000ccであるのに対し、英国の詩人ジョージ・ゴードン・バイロン(George Gordon Byron)の脳の容量は2,230ccだった。この二人は文学の天才と呼ばれているが、頭蓋骨の容量が大幅に異なる。また、2004年10月、インドネシアのフローレス島で発見された「小人人間」の化石も脳が大きいほど知能が高いという考えに反論を提起する。

背が1mと小さいこの化石には、「ホモ・フローレシエンシス(Homo floresiensis)」という名前がつけられた。彼らが生存していた時期は2万5000年前と推定されて、現生人類であるホモ・サピエンスが住んでいた時期と重なる。最も驚くべき事実は、彼らの頭蓋骨が非常に小さいという点だ。頭蓋骨の大きさで推測した脳の容量は400cc程度。しかし、周辺に洗練された矢と石刀が一緒に発見され、知能はホモサピエンスのレベルほどにスマートだったものと見られている。

だとすると、知能と関係のあるものは何だろうか。ホモ・フローレシエンシスを研究した科学者たちは「大脳皮質」に注目した。大脳皮質は大脳表面の灰白質からなる部分だが、化石の主人公は、この部分がホモ・サピエンスと似ていた。言語を理解する領域として知られており「側頭葉(大脳皮質の横の部分)」が大きく、学習と判断などを担当する「前頭葉(大脳皮質の前部)」が多く折り畳まれていた。ホモ・フローレシエンシスの脳はチンパンジーの脳と似たような容量だが、知能ははるかに発達していたと見ることができるだろう。

大脳皮質の厚さと知能指数(IQ)に関する研究結果もある。アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)が子供307人を対象に大脳皮質の発達過程を調査した。知能指数が平均よりも高い子供は7歳くらいまで大脳皮質が非常に薄いが、12歳から急速に厚くなる傾向を示した。一方、知能指数が平均程度である子供は、最初から大脳皮質が厚い方だった。薄い大脳皮質が厚くなる過程で知能指数が次第に発達するという話だ。

人間の脳は小さくなっている…効率の論理

最近では、人間の脳の大きさが小さくなったと言う研究結果が頻繁に出ている。英国ケンブリッジ大学の進化の専門家であるマルタ・ラール博士チームは、人類の体格と脳の大きさが、先史時代よりますます小さくなっていると、2011年6月、英国王立協会に発表した。これによると1万年前に80~85kgだった人間の体重が現在、平均70~79kgに減り、頭脳の容量もクロマニョン人は1,500ccだったが、現代人は1,350ccに小さくなった。150cc程度減った頭脳の容量、もしかしたら人類の脳が退化しているのではないだろうか。

ラール博士は、この疑問に対して「脳の大きさが減少することも進化の一部でなければならない」と答えている。人間の脳はエネルギー使用を削減し、効率的に使うように変わったのだ。人類の文明が発達して分業化され、直接心配して考える活動が減少したというのが、現在の研究者らの分析だ。

人類の進化においては、体型が直立に適合するように変わり、脳の容量が大きくなった点が最も大きな特徴だ。最終的には脳の容量が人類進化の原動力という話も出てくる。しかし、脳の大きさだけで知能を語ることはできない。脳の大きさが知能や脳の複雑さと比例すると見ることができないからだ。

まだ人の脳の大きさと知能の関係を明快に明らかにした研究結果は出ていない。しかし、脳の大きさが知能と比例するという考えは、一度しまっておこう。長い間、素晴らしい文明を遂げた人類の知能は、単に脳の大きさに応じて決定されるという事実はおかしくないだろうか。
  • 毎日経済_パク・テジン科学コラムニスト、コラム提供:韓国科学技術情報研究院(KISTI) | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-10-04 23:16:21




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