トップ > テクノロジー > 健康・医学 > K-STEM CELL、自己幹細胞で認知症治癒効果初めて究明

K-STEM CELL、自己幹細胞で認知症治癒効果初めて究明

認知症にかかったラット、肝細胞入れたら... 

全世界的に高齢化が急速に進んでいる中、認知症治療剤開発のための国内肝細胞業界の努力が画期的な成果で続いている。これを反証するように「アルツハイマー病(老人性認知症)」にかかったラットに、自己脂肪由来幹細胞を注入した韓国の研究結果をもって、韓国国内外関連業界の視線が集まっている。

27日、肝細胞専門会社アールアンドエルバイオ(現:K-STEM CELL)によると、ソウル大医大のソ・ユホン教授(韓国脳研究院長)チームと、アールアンドエルバイオ肝細胞技術院のラ・ヂョンチャン博士チームは、アルツハイマー病にかかった形質転換ラットを対象にした全臨床で、意味のある認知症改善ならびに予防効果を確認、このような研究結果を米国の著名なオンライン学術誌の「プロスワン(PLoS One)」に最近掲載した。

アルツハイマーは、脳細胞が次第に破壊され、脳組織が減少し、結局脳機能ならびに知的能力が低下するようになる疾病だ。先日、人気を受け放映されていたSBS月火ドラマ「千日の約束」で、イ・ソヨン(スエ扮)が患った病気でもある。とくに、アルツハイマー性認知症は、認知症の一種として全体認知症患者の50~60%を占めている。韓国では、老人性認知症が最も多く、中風の後遺症による血管性痴呆がその次だ。

ソ・ユホン教授はこの日、ソウル小公洞朝鮮ホテルで「自己脂肪由来幹細胞認知症予防ならびに治療効果世界最初究明論文発表」を主題に開かれた記者懇談会で、「この研究を始めた時、個人的に(自己脂肪由来幹細胞治療に対する)疑懼の念が相当大きかった」とし、「最初は良い効果がないだろうと考えたが、結果は意外だった。結論的にいうならば、自己脂肪由来幹細胞は、期待より数倍の治療ならびに予防効果があった」と自評した。

彼はソウル大医科大学で認知症征服団長を務めており、今年出帆した韓国脳研究院の初代院長として任命された。SCI級の国外学術誌に100件余りの論文を発表し、国内学術誌にも論文100件を掲載した医科学者だ。今回の研究は動物を対象にしたが、認知症ラットが一定部分治癒したという点を勘案する時、人間を対象にした臨床試験もまた期待されている。ラットの脳が人とは異なるが、類似した脳構造を持つからだ。現在、韓国の認知症人口が50万人余りで、これは65歳以上の全体老人人口の9.1%に該当するが、今回の肝細胞治療の認知症治療効果究明により、これを利用した治療が新しい代案として浮上する可能性が高くなっている。

ソ教授は、「去る3年の間、肝細胞を利用した認知症治療関連の研究をしてきた」とし、「これまでに研究されていた神経幹細胞は、実験ならびに施術において大きな制約があるのに比べ、効果は期待ほど良くなかった。道徳性論難で自由な自己脂肪由来肝細胞を利用した認知症治療は、癌誘発の可能性など副作用が低く、施術が容易だという長点もある。何より、静脈投与時に効果が良かった」と指摘した。

研究陣によると、認知症は脳の認知ならびに記憶機能などが広範囲にわたって壊れるが、自己肝細胞を活用した治療の結果、実験ラットから(投入された)肝細胞の一部が、新しい神経細胞に分化されたことを確認した。これは、投入された肝細胞の一部が、新しく分裂したことを意味する。生体の再生能力が一部回復したことを意味するのだ。

実験ラット(Tg2576 mice・認知症誘発形質転換マウス)は、11ヶ月ほどになると、初期認知症症状を現し始める。このラットは、アルツハイマー痴呆を引き起こすと知られているスウェーデン突然変異(swedish double mutant)を含んだアミロイド前駆体タンパク質の遺伝子を注入させてつくった認知症疾患モデルだ。14ヶ月頃に重症認知症症状をみせ、15ヶ月からは、重症アルツハイマー患者からみられる広範囲な神経破壊現象が目撃される。研究チームは、実験ラットに生後3ヶ月齢から10ヶ月齢に至るまで2週間隔で、ヒト脂肪細胞由来肝細胞を静脈投与後、生体追跡のため、蛍光表示した細胞信号の体内分布を調査した結果、嗅覚のしこりを除外した全ての脳部位から蛍光信号が検出されたことにより、静脈内に投与した脂肪由来肝細胞が脳に移駐したことを明白に確認することができた。

特に、実験ラットの学習ならびに記憶能力、神経病理は、脂肪由来肝細胞投与により大きく向上した。脂肪由来肝細胞の認知症治療効果を機能的に評価した行動検査ならびに病理分析の結果、肝細胞を投与したアルツハイマーモデルの空間学習能力が、ほぼ正常水準程度に向上し、能組織で観察される神経板の数値も大きく減少することを研究陣は証明した。さらに励みになることは、肝細胞を脳に直接投与した時より、静脈に投与した時さらに効果が大きかったということだ。破壊された神経細胞が少しずつ連結されることが確認でき、神経細胞を連結するシナプス(連接部)も増えた。

ソ教授は、「これはアルツハイマーを進行させる毒性要因のベータアミロイド(Aβ)が減ったため」だとし、「肝細胞投与時、ベータアミロイド分解酵素が可視的に活性化することが確認できた」と説明した。肝細胞が毒性タンパク質の分解酵素(neprilysin)の増加を誘導したためだというのが共同研究陣の主張だ。彼は、「神経の保護作用をするインタルキン10(IL-10)の割合も多くなった。すなわち、脳の血流流通が活性化されることを意味する」とし、「実験ラットの自己肝細胞ならびに人間の自家肝細胞を、もしくはこの二つを同時投与するなりどちらであれ、副作用が全くなかった」と強調した。

ソ教授は、認知症とパーキンソン病などもこれまで同時に研究してきたが、自己脂肪由来幹細胞を利用した治療法が、認知症とパーキンソン病を同時に患っている患者の場合、並行治療も可能だと見ると主張した。彼は、自己肝細胞の場合、単独で認知症ならびに予防治療をするのも良いが、これまでの治療剤ならびに治療法と並行治療する場合、効果が倍になるかもしれないと診断した。ソ教授は、自己肝細胞を利用した治療剤開発ならびに常用化に対し、可能性が高くとても肯定的だと付け加えた。

アールアンドエルバイオのラ・ヂョンチャン院長はこの日、「13週間の間投与された肝細胞は、アールアンドエルバイオの技術が適用された98~99%高純度肝細胞を使用した」とし、「肝細胞は多分化能力があるが、以前に血管ならびに軟骨などに分化されたことを確認でき、脳性麻痺や糖尿病性足部潰瘍でも治癒効果が確認されたことがある」と述べた。彼は、「今回の認知症関連の臨床でも、最大の鍵は安全性だった」とし、「抽出ならびに培養過程で遺伝的変異が全く発見されないなど、発癌の可能性と毒性が全くなかった」と説明した。

ラ院長は、「今回の研究は動物に対する前臨床結果で、患者に対する臨床を今年のうちに開始する計画」としながら、「3年以内に臨床を終え、2016年ごろ肝細胞を利用し認知症を治療するつもり」だと強調した。彼は、「アルツハイマー病と他の疾病も並行治療が可能だと見通す」とし、「今回の肝細胞管理ならびに移植に関する法律が国会で通過すれば、国内で施術可能な時期ももう少し前倒しになるだろうと期待する」と答えた。現在、全世界の認知症治療剤市場は、年間50億ドル(韓貨5兆6000億ウォン)に達すると推定されており、2017年に90億ドル(10兆ウォン)を上回るというバラ色の展望まで出ている。

未だに韓国の認知症治療剤市場は、1000~1700億ウォンにとどまっているが、毎年20%程度伸張しており、業界ではブルーオーシャン分野として挙げられている。市場の一角では、認知症治療剤市場で「バイアグラ(勃起不全治療剤)のようなきちんとした薬さえ開発されるなら、関連市場は20兆以上、爆発的に大きくなるだろうと観測している。これは勃起不全治療剤市場を上回る規模だ。
  • 毎日経済_キム・ジヒョン | (C) mk.co.kr
  • 入力 2012-09-28 12:00:00




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア