トップ > テクノロジー > 健康・医学 > 国内のコウモリからMARS・SARS類似ウイルスを初検出

国内のコウモリからMARS・SARS類似ウイルスを初検出


  • 国内のコウモリからMARS・SARS類似ウイルスを初検出
国内に生息するコウモリの糞便からMARS(中東呼吸器症候群)ウイルスに似たウイルスが検出された。国内で人体に感染するウイルスがコウモリから検出されたという報告は今回が初めてだ。

韓国生命工学研究院ウイルス感染制御研究センターのキム・ヘグォン・チョン・デギュン博士、高麗大学薬学大学ソン・デソプ教授、韓国洞窟生物研究所の共同研究チームは20日、昨年7~12月のあいだに国内11カ所のコウモリの生息地で49個のコウモリ糞便を採取して分析した結果、このように調査されたと明らかにした。

コウモリはウイルスの主要感染源で、昨年に韓国を襲ったMARSウイルスも本来コウモリからラクダを経て、人に感染したことが分かった。2002~2003年に中国などで流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)もコウモリがウイルスの感染源だという報告が出たことがある。

共同研究チームの論文によると、今回採取したコウモリの糞便からは、消化器や呼吸器疾患を引き起こすコロナウイルスとロタウイルスなどが検出された。

遺伝学的に分析した結果、これらのウイルスはSARS(急性呼吸器症候群)、MARS(中東呼吸器症候群)コロナウイルスとそれぞれ89%、77%の類似性を有することが確認された。また、系統分類学的分析の結果、世界中で多くの患者が発生したSARS、MARSと同じグループのウイルスに分類すると言えるというのが研究チームの説明だ。

特に、コウモリから検出されたウイルスが人や家畜に種間伝播が可能なのかという点が最大の問題だ。海外の事例を見ると、バングラデシュで果物を主に食べるフルーツコウモリのニパウイルスがヤシの実の樹液に汚染され、人に伝播した事例が報告されたことがある。米国では、コウモリに指を噛まれて狂犬病ウイルスに感染した事例もある。ただし、国内では今までニパウイルスと狂犬病ウイルスがコウモリから検出された事例はない。

研究チームは、動物のすべてのウイルスが人に感染するのではなく、ほとんどのウイルスは屋外環境で簡単に不活性化されるため、コウモリの糞便内のウイルスが人に感染する可能性は低いと見ている。

生命工学研究院キム・ヘグォン博士は、「国内のコウモリから検出されたSARS、MARSに似たコロナウイルスは、人に感染する可能性は希薄と推定されるが、遺伝的に類似しただけに、該当グループのコロナウイルスについては、継続的なモニタリングが必要な状況だ」と伝えた。

今回のコウモリの糞便の研究では、乳幼児だけでなく大人でも下痢を誘発することが知られている「グループHロタウイルス」と同じグループに属するウイルスも世界で初めて検出された。

ウイルス感染制御研究センターのチョン・デギュンセンター長は、「国内に生息するコウモリは、主に昆虫を食べる特徴を持っているため、吸血活動に対する懸念はしなくてもいいだろう」と言いながらも、「新変種の感染症に対する先制的対応のためには、周囲の環境に存在する自然宿主と媒介動物のウイルスを継続的にモニタリングすることで、予防ワクチンと診断技法の開発に注力しなければならない」と強調した。

該当の研究結果は、獣医学分野の著名国際学術誌『Transboundary and Emerging Diseases』のオンライン版(5月号)に発表された。
  • 毎日経済デジタルニュース局 ハン・ヒョンジョン記者 / 写真=韓国生命工学研究所 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-06-20 09:43:32




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア