A. | とても運動神経のいい娘を持つ父親がいました。家計の状況が悪い訳ではありませんでしたが、娘の適性に軍隊が合っていると思い、士官学校への進学を勧めたところ、痛い目にあいました。 お父さんは自分をなんだと思っているのか、なぜ苦労をさせようとするのかなどの不満を漏らし始めたのです。「一言で大学に送るお金がないと言ったらいいではないか」と文句を言われたので二度と士官学校という言葉を口にすることはなくなりました。 今では少し簡単になりましたが、当時は士官学校に入学するためには身体的な条件だけでなく、学業成績も優秀である必要がありました。警察大学も非常に優秀な学生だけが行けるところでした。 軍人や警察は女性の職業としては珍しい方です。そのためか、女性軍人たちの話が興味を引くようです。 MBCのバラエティ番組、『本物の男』は芸能人たちの軍隊文化体験を扱う番組です。芸能人と一緒に放送に出てくる一般将兵や部隊の主要人物にもセリフとシナリオを事前に配り、事前リハーサルを通じて動線を固定した後に撮影するという事実が知られて「偽男」という皮肉を聞いたりもしました。 軍隊不正問題で『本物の男』が軍広報用番組だとの非難を受けているときに出てきた傑作が、女軍特集でした。2014年8月の暑い夏に7人の女性芸能人が3泊4日に渡り、涙と鼻水を流しました。寒い冬に女軍特集の2期が放映されるそうです。 女性軍人特集に選出される芸能人はいません。自ら志願書にサインをしてこそ、国防部から入営通知書が送られてきます。志願する理由は、それぞれ異なります。ある女優は、出演する作品ごとに異なるキャラクターを演じているため、本当の自分が誰であるかを忘れてしまい、自分自身を見つけるために志願したという動機を明らかにしました。視聴率がそれなりに高いため、企画会社が背中を押したり、冷めていく人気を引き上げるため出演する芸能人もいることでしょう。 場合によっては軍隊の話で女性の覇気を削ごうとする男性の態度が嫌で、女性もできるということを見せようと志願するひともいるでしょう。映画G.I.ジェーンのデミ・ムーアが頭を丸坊主にしたようにです。 女性軍人は副士官と将校しかありませんが、徹底的に志願制です。考えてみればイスラエルを除いて女性を軍に徴集する国はないので、珍しい話ではありませんね。 女性軍人として入隊する一般的な女性の志望動機も同じはずです。願書に軍人になりたい理由を書く欄がありますが、まあ、ありきたりのことを書くことでしょう。「男性のように女性も国を守る仕事がしたい」とか、「国防の義務は男性の専有物ではないことを見せたい」などです。 しかし、本音は違うとでしょう。制服を着た姿がセクシーに見えて入隊する女性もいるでしょうし、特に就職先が見つからず軍で仕事を探している人もいるかもしれません。軍人の子供で、生涯見てきたのが軍人だから、習慣のように軍に志願する女性も時折いるはずです。 韓国で女性は政訓(軍の教養・報道・宣伝)、看護、管理業務に配置されていましたが、昨年からは陸軍の砲兵、装甲、防空の兵科にも女性軍人が配置され始めました。前方の捜索隊や特戦隊など、高強度の訓練が必要ないくつかの兵科を除けば、女性軍人の軍隊内の活動が多様になったわけです。 兵科が多様化しただけに、女性軍人の数も増える見込みです。国防部は2015年までに女性将校を全体の7%、副士官は5%まで拡大する計画です。 国別の比較を見ても、韓国は女性軍人の多い国に属していはいません。一種の性差別というか、軍人の保守気質のために、女性軍人の募集規模や女性軍人の活用が長らく限定的でした。1984年までは女性軍人が妊娠をすると転役しなくてはなりませんでした。 2013年10月基準で韓国の女性軍人は将校3900人、副士官4600人の8500人程度です。日本の自衛隊の副士官級以上の女性隊員が8600人余りなので、日本と似たような状況です。自衛隊は副士官や将校のほか、一般的な兵科でも女性を募集しているので、見方によっては韓国よりも女性が軍に入隊する機会がはるかに多いのかもしれません。
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