A. | 日本では猫が福を呼ぶ動物とされているみたいですね。そういえば、新しく開業した日本食の店で片手をあげている猫の置物を見たことが思い出されます。韓国ではどうでしょうか。ありえない事です。猫に対する偏見はたくさん消えましたが、まだ一般的に馴染みのあるペットというにはほど遠いようです。 もちろん、猫をとても好きな愛猫家は増えてはいますが、まだ韓国におけるペットといえば犬です。2010年に韓国獣医検疫院が動物保護に対する意識調査をした結果、ペットのうち、犬の占める割合がなんと94.2%に達しました。 日本では猫を育てる人がペットを持つ人の29.2%にもなるという統計を見たことがありますが、確かに日本の猫は韓国より良い待遇を受けているようです。 ある意味では、韓国ではなく西洋でも猫は迫害を受けていました。西洋では、猫が魔女のペットと見なされていたではないですか。魔女と一緒に焼かれたりもしたそうですし。西洋で猫がペットとして定着したのは、18世紀の近代に入ってからのことです。特に黒猫に対する恐怖症は非常に強いように思われます。 エドガー・アラン・ポーの有名な小説「黒猫」もあるじゃないですか。復讐の化身となった黒猫、殺しても殺してもよみがえるナイン・ライブス(Nine Lives)。 ただ、黒猫が不吉だという認識が広まっていた時代にも、西洋の劇場では黒猫が幸運の象徴とされていたなんて妙なことですね。舞台に上がる前に黒猫に会うと、公演が大成功すると思われ、バックステージに黒猫を抱いて出入りする俳優もいたそうです。 一般的に、猫を育てる目的はネズミが穀物を盗んで食べるのを防ぐためですが、劇場ではネズミが舞台衣装をかじって使えないようにすることを防ぐために猫を飼ったと言います。 船員は船内にいるネズミをつかまえるために猫を乗せて航海しましたが、このシップキャット(Ship Cat)が猫に対する否定的な認識をなくすのに一役買ったと言います。 とにかく、韓国でも猫は決して馴染みのある動物ではありません。ヤギのように夜に光る目、ヘビのように縦に切り開かれた目のせいで、多くの韓国人が猫をヨムル(妖物)として扱いました。 旧韓末、韓国に赴任した米国の公使ホレイス・アレンの回顧によると、米国公使館に遊びに来た韓国の高官の一人が椅子に座っていたのですが、公使館で飼っていた猫が膝に飛び乗ると、その場で気絶したそうです。 猫に対して間違った接し方をすると、7代にわたって縁起が悪くなる、または、復讐されるという迷信がまだ残っています。いまだに、飼っていた猫が死んだ後、復讐されるのではないか心配する人を周りで見かけることがあるほどです。 だから、最初から猫と近づかないようにする傾向が残っています。ところが、おかしなことに猫が関節炎に良いからとキルコヤンイ(野良猫)を捕まえ飲食店に売る人がいるのです。このような人は、猫の呪いを恐れていないのか、迷信などは鼻で笑ってやり過ごす、お金に目のくらんだ人なのか、気になるところです。 実際に猫を育てることは容易なことではありません。猫は犬とは違って、訓練をさせても飼いならすのが容易でない動物ではありませんか。さらに、犬と違って、虐めると爪を立てて反抗したりもします。お風呂に入れるのも楽ではありません。 愛猫家たちの話を聞いてみると、犬よりもはるかに育てるのも簡単、酔いしれるほどに可愛らしく行動するらしいですが、これは猫と情をかわした人の話であって、猫は犬ほど簡単に隣にいることを許可する動物ではないでしょう。韓国では猫を育てる人をチプサと呼ぶほどなので、それだけ世話をしなくてはいけないという意味なのでしょう。 そのため、可愛い猫の里親になってから捨てる場合も多く、街中で死んでいく猫たちも可哀そうです。韓国では車にひかれて死ぬ動物のうちでは、猫が最も多いそうです。 漢江周辺にあるアパートでゴミ袋をあさるネズミが再び大量発生しながら、道でさまよっている野良猫を非常に友好的な視線で見始めたという話も聞こえます。共通の敵が生まれてこそ、同盟関係が成立するようです。
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