A. | 史劇(時代劇)を書く劇作家は女性よりも男性が多い方です。戦争や決闘シーンが不可避となるため、男性が書く方が有利なのかもしれません。 先立って紹介した作家チョン・ハヨンは『王妃 チャン・ノクス -宮廷の陰謀』(KBS、1995)、『王朝の暁~趙光祖伝~』(KBS、1996)、『シンドン~高麗中興の功臣~』(MBC、2005)、『花たちの戦い~宮廷残酷史~』(JTBC、2013)などの作品を通じて、自分だけの独特な史劇の世界を構築しました。文学性が高いセリフが一品だとの評価も受けます。 代表的な史劇作家には、苦しい家庭の事情から学校といっても小学校にしか行っていないイ・ファンギョンも外すことができません。工場や建設現場を転々としていたときにKBSドラマ公募展に当選して、作家になったのですが、『龍の涙』(1996)、『太祖王建』(2000)、『淵蓋蘇文(ヨンゲソムン)』(2000)、『武神』(2012)など、英雄たちが登場する史劇をたくさん書きました。視聴者たちがのめり込みやすいストーリー展開で認められましたが、必要のない無駄なセリフが多いという指摘も受けます。 どのようなセリフが無駄なのでしょうか。俳優6人が登場して事件が起きたという報告を受けて対策を立てるシーンでした。 そのうちの一人が「これは本当に大ごとです」と話すと、横の俳優が「大ごとでないはずがありません」と言うと、その横の俳優が「本当ですね。まったく」と同調して、俳優のひとりが空を見上げながら「本当にどうしたらいいのか」と言うと、5人目の俳優が「大事件です。大事件なんです」と力説し、最後のひとりが「このような状況で、こんなひどいことが起きるなんて」と言いシーンを終えます。 史劇を書く女性作家の良い所といえば、このような場面が殆どないということです。史劇に心酔した女性作家には、ユン・ソンジュを挙げることができます。放送局の力量不足により早めに放送が終了した『韓半島』を除けば、残りの作品はすべて史劇です。 代表的な作品には『太陽人 イ・ジェマ ~韓国医学の父~』(KBS、2000)、『不滅の李舜臣』(KBS、2004)、『ファン・ジニ』(KBS、2006)、『大王世宗』(KBS、2008)があります。主にKBSで活動していたのですが、2014年にSBSで『秘密の門』を執筆しました。このうち『不滅の李舜臣』はあまりにも大作なので、数人の作家が一緒に参加したのですが、最初はユン・ソンジュが主筆を引き受けていなかったそうです。
『秘密の門』に出て来る思悼(サド)世子はドラマの人物と史料の人物がまったく別の人だと歴史学者たちが嘆いたりもします。 歴史的な人物やエピソードを作り出すのには、キム・ヨンヒョンのほうが才能があります。実は、史劇を書く女性としては、キム・ヨンヒョンが一番の作家だと思われます。彼女が書いた『宮廷女官チャングムの誓い』(MBC、2003)は韓国だ けでなく、世界各国で放映されました。ただし、史劇以外のドラマにも参加しており、史劇だけ書くユン・ソンジュを最初に紹介したのです。
キム・ヨンヒョンは2007年、MBCで放送されたミニシリーズ『H.I.T.-女性特別捜査官-』から、パク・サンヨン作家と行動作業しているそうです。パク・サンヨンがキャラクターを、キム・ヨンヒョンが全体的な流れを構成し、夜通し討論しながら書くため、キャラクターに生命力が溢れているそうです。パク・サンヨン作家が俳優のシン・せギョンのファンであることから、『善徳女王』と『根の深い木』、『六龍が飛ぶ』(SBS、2015)にシン・せギョンが登場します。 史劇を書く作家ではありませんが、協業をする作家たちは彼ら以外にも存在します。姉妹が共同作業をするのですが、珍しいことに、2チームも存在しており、2チームとも、名称が「ホン姉妹」です。 「ホン姉妹 1」は、ハン・チェヨンとオム・テウンをスターにした『快傑春香』を執筆した、ホン・ジョンウン&ホン・ミランです。主に軽いロマンチックコメディーを書くのですが、漫画的な設定が多く、10代から30代の若い層に人気があります。作品に登場する女性主人公は、とても魅力的で、ホン姉妹の作品の主演になることができたら、女優としてヒットできると言われるそうです。演技力が不足していると非難されていたソン・ユリも『快刀ホン・ギルドン』の主演を引き受けながら、演技者として安着したという評価を受けます。
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