A. | まず、どのようなパンなのか、姿から見ることとしましょう。 最近は江南のパン屋でも作るといいますが、このパンを最初に出したパン屋は、朴槿恵(パク・クネ)大統領の政治的故郷である大邱(テグ)にあります。大邱市北区太田洞、運転免許試験場の近くにある「パパパンベーカリー」が、このパンの原産地でしょう。 正式名称は「スンシルカムパン」といいますね。パン屋の主人は以前にもキャラクターパンを作って販売したりしましたが、チェ・スンシルが検察に出頭する姿を見てアイデアを得て、マスクをつけたチェ・スンシルのキャラクターパンを作るようになったといいます。 最初は帽子をかぶって、眼鏡をかけた姿で作りましたが、息苦しく見えてデザインをシンプルに変えたそうです。 最初に作る時、1日の生産量はわずか10個ほど、以前に作って売っていた「アンパンマン」と「ドラえもん」などが5個程度しか売れなかったため、それでも思い切って作ってみた分量でしょう。 ところが、予想外に反応が爆発的でした。 作って間もなく売れ出ていくため、今では1日150個ほどを作って売ります。いちいち手作業であるため、従業員と徹夜作業をしているほどなんだとか。噂が広まりながら、宅配で送ってほしいという注文もありますが、店を訪れる顧客にも、1人当たり2個と販売を制限しているため、宅配で送るのは無理でしょう。 「スンシルカムパン」のカムパンは、重義的な表現です。刑務所という意味の方言でもあり、黒いパンと解釈することもできますよね。「カム」という言葉が黒色を強調して使う言葉です。例えば、顔が黒い人をカムシと呼んだりもしますが、カムパンという言葉であるため、黒い悪い人という本音も読み取ることができますよね。 だからといってチェ・スンシルパンの中身が黒いのではありません。ミルククリームの生地にクリームチーズを詰めたクリームチーズパンの一種で、中身は白いです。 ところが、残念ながら大邱のパン屋でこれ以上チェ・スンシルカムバンを見ることができなくなりました。 パン屋の主人は、メディアとのインタビューで「ごちゃごちゃとした時局に一度笑ってみようと作ったパンだが、心は楽ではない」とし、「時局が安定してチェ・スンシルへの関心が離れ、これ以上『チェ・スンシルカムパン』を求めない日が早く来たら良いだろう」という心情を明らかにしました。 国政を壟断したチェ・スンシルが拘束起訴され、カムパン(刑務所)に閉じ込めた状態であるため、「スンシルカムパン」の所期の目的は達成されたわけでもあるでしょうね。 |