A. | とてもおかしな質問です。 冷麺店で肉を売っているという考えは浮かばないのでしょうか。 事実がそうなのです。肉、プルコギ、カルビ、ましてや片肉さえも出さない冷麺店を見つけるのは、ほとんど不可能です。1年365日にわたって冷麺だけを売っているお店もスユク(茹で肉)程度は扱っています。 もちろん、片肉さえ売ってないお店もあることはあります。しかし、しっかりとした冷麺を食べたいのならばこのようなお店は避けた方が良いでしょう。 なぜでしょうか。 美味しいスープを出すためには、長い時間のあいだ牛肉を煮込んでだしを取らなくてはなりません。残りの肉は当然スユクや片肉としてお客さんに売るのです。それゆえスユクや片肉を売ってない場合、直接だしをとっておらず、どこかで買ってきたという意味になるでしょう。 中華料理店や粉食店で冷麺を注文すると、片肉の代わりに卵の半分を出すのが精一杯です。肉汁のだしを取っていないのに肉の味を出す必要があるので、もしかしたら化学添加物を入れた可能性もあります。 だから冷麺を食べたいのならば、専門的に冷麺を扱うお店に行かなくてはなりません。 しっかりとしたユクスを出すためには、牛の肋骨などをじっくり煮込む必要があります。煮込むあいだ、ずっと火のそばで待たなければならない重労働です。単価を下げるために他の部位や鶏肉を煮込むこともありますが、最初から牛肉や鶏肉の味を出す調味料を使うこともあります。30年の伝統を誇っていた冷麺屋でこのような事実が暴露され、恥をかいたことだってあります。 文を書いていると質問とかけ離れてしまいました。質問は、なぜ焼肉屋で冷麺を売るのか、これでした。 これも、冷麺屋で肉を売る理由と似ているのです。 スユクを煮込み、肉をさばいていると自然とスープが生じます。それゆえここに冷麺の麺を混ぜて売っているのです。 ここで、このような考えが浮かぶはずです。焼肉屋ではスープを直接作るから、美味しい冷麺が食べれるんだな、と。 しかし、必ずしもそうとは限りません。 冷麺用の肉水を作るには、肉の部位やかかる時間にも差が出るうえ、麺も冷麺専門店とは違います。有名な焼肉屋では直接麺を作るといいますが、どうしても専門店と比較するには少し物足りない面があります。もちろん、かなり麺が美味しい焼肉屋もあるにはあります。 少し別の話ですが、焼肉屋で冷麺を扱うもう1つの理由があるのです。 焼肉屋に行くと最初におつまみが盛りだくさんなため、自然とお酒を飲むようになります。ただ1~2杯飲む人がほとんどでしょうが、ほろ酔いになるまで飲む人もかなり多いです。酒一杯に肉一切れ。焼肉屋の主人はこのようなお客さんが大好きです。売上をかなり上げてくれるのです。 思う存分飲んだあとには酔いを覚ます食べ物を探すのですが、冷麺が酔い覚ましに最適なのです。 冷麺は「コンナムルグク」と並んで非常に優れた酔い覚まし食品です。しっかりとした肉水であれば、アミノ酸の宝庫です。筋肉のエネルギー代謝を助けるにはアルギニンも多く含まれています。 そのため焼肉屋でお腹いっぱいに肉を食べ、酒もほろ酔いになるまで飲み、デザート兼酔い覚ましに冷麺を食べるのです。肉を焼いたので、熱かった熱気を冷やすために冷たい肉水がぴったりでもあります。 しかし、あくまでもしっかりとしたスープ、これが前提だという点を忘れてはなりません。 あと、なぜ冷麺にゆで卵が半分だけ入っているのか気になりませんか。 次回に冷麺の種類と一緒に説明して差し上げます。 |