A. | 『私はチャン・ボリ!』の作家キム・スンオクはSBS連続ドラマ『妻の誘惑』でも似たような結末でドラマを終えたことがあります。 『妻の誘惑』は兄の婚約者である友人に夫を奪われて、身ごもった状態で殺されそうになるも奇跡的に生き残った女性の復讐劇です。 中盤には悪行を犯した者たちを自縄自縛の窮地に追い込んで悪役に屈辱で与えて報復するシーンを見せ、視聴者たちも「すっきりする」と言うほどでした。しかし、その後の事件の展開が急にもたつき、ついには悪役キャラクターが胃がんにかかるとすべてを許す雰囲気となり視聴者を愕然させました。 『いとしのクム・サルォル』はポスト『私はチャン・ボリ!』と言われています。ストーリーに似たような展開があるうえに出演俳優もかなり重複しているからです。 制作陣は「人間の暮らしの巣である家についてのドラマで、主人公クム・サウォルの復讐と憎しみにより完全に解体した家庭の上に新たに家を建てるドラマ」と紹介しました。 実際にこのドラマの本当の主人公はクム・サウォルより彼の実母でしょう。俳優チョン・インファが演じるクム・サウォルの実母、シン・ドゥクイェは「女性が恨みを抱くと、真夏にも霜が降りる」という言葉を身を持って感じさせる復讐の鬼でした。しかし、主人公のクム・サウォルは非常にもどかしい女性です。 自分の実の母親が誰であるかを知ってからは振る舞いも変わって、敵のような家族を許す太っ腹(?)な姿を見せてくれます。 『いとしのクム・サウォル』も「なんてドラマなの?!」と悪口を言いながらもテレビの前に集まって座る視聴者のおかげで最高視聴率が34.9%に達するほどの人気を集めました。 このほか、結末がやや不明瞭な開かれた結末のドラマを紹介すると、ホ・ヨンマン画伯の漫画を原作にした『カクシタル』(KBS.2012)、人間になりたい男の九尾狐と人間の女性の関係を描いた『九家の書』(MBC.2013)、主人公が失踪することで幕を下ろした『ロイヤルファミリー』(MBC.2011)、俳優キム・ミョンミンが熱演して数多くの名セリフを披露した『ベートーベン・ウィルス』(MBC.2008)、ドラマ中に投げかけた数多くの疑問点が解けないままドラマを終えた『月桂樹洋服店紳士たち』(KBS.2016-2017)などがあります。 俳優チャン・ヒョクが派手なアクションを披露した『チュノ~推奴~』(KBS.2010)は、主人公を除いた残りの登場人物がどうなったのか叙述がほとんどありません。 2014年10月から2015年4月までに放送されたMBCの52部作『バラ色の恋人たち』も助演級の配役の結末があいまいで、2013年に電波に乗ったKBSのタイムスリップドラマ『未来の選択』は「未来は現在を生きている人々が開拓するもの」という開かれた結末で仕上げられて脚本を書いたホン・ジナ作家がものすごく睨まれました。 |