A. | 第4部が連載されていた2015年10月24日に12部作でJTBCドラマとして放映されました。 この作品はウェブ漫画とドラマのストーリー展開がほぼ似ており、ドラマを見た人はウェブ漫画を先読みしたような状態になってしまいました。 このシーンだけ見ても、一通りどんな内容の漫画か推測が可能ですね。 『錐』は非正規労働者の問題を赤裸々に露出させた作品です。ユン・テホ作家の『未生』とよく比較されることもあります。しかし、全く別の話です。 『未生』が会社という組織で一日一日を激しく生きていく人々の話なら、『錐』は構造的な労働市場の問題に対抗する組合員の闘争について話します。 『錐』の主人公イ・スインは陸軍士官学校を卒業した後、軍の不正に我慢できずに大尉で転役した人物です。 会社から自分が担当するパートの販売員を整理解雇しろと言われた指示を拒否して、労働組合の結成と闘争を主導します。陸軍士官学校出身者が労働組合を率先するだなんて、労組は共産主義者だけがするものだと思っていた用役従業員もひるみます。 イ・スイン課長と一緒に比重のあるキャラクターは不当解雇と未払い賃金問題を解決してくれる労働相談所の所長ク・ゴシン。ク・ゴシンがゴミ回収業者を訪ねていき従業員に名刺を渡していたときに、ウェブ漫画のタイトルである『錐』の意味を紹介します。 錐は袋の中から突き出て来る錐のように、不当な仕打ちの中で未来がどうなるかは分からなくても自分の良心をかけて行動する人のことを意味するそうです。 労組の闘争を扱うからと無条件に労組側の肩を持つのではありません。弱者だからと無条件に善良なわけでもなく、支配層が人の皮をかぶった悪魔として描写されているわけでもありません。登場するキャラクターたちは立体的です。 この漫画の実際のモデルはカルフール・イーランドの労組委員長で、労働相談所長ク・ゴシンは40年間、労働運動家として生きてきた聖公会大学校労働アカデミーのハ・ジョンガン主任教授がモデルです。作家が筆を持つ前、5年にわたって取材をしたところ、ハ教授とは数カ月間、毎週1回会ったそうです。実際の漫画のプロットも2002年、フランス系の大型マート「カルフール」で行われた労働者の大量解雇に基づいています。 現実に基づいているだけにウェブ漫画やウェブ漫画を原作としたドラマもリアルですよね。 |