Q.朝鮮時代にもサムゲタン(参鶏湯)はありましたか?

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A. 朝鮮時代にもサムゲタン(参鶏湯)はありましたか?

MBCの時代劇『トンイ』*(同伊、2010年放映)にこのようなシーンが出てきます。

トンイ(淑嬪 崔氏)は、チャン・オクチョン(張禧嬪)の兄チャン・ヒジェに追われてた時に 粛宗(スクチョン)に出会います。そして緊張が解れたせいかトンイは倒れて寝込んでしまいます。

粛宗は直ちにトンイを治しなさいと御医を急いで呼びます。

「衰えた気力を回復させるには紅参が一番ですが、あまりにも尊いのですべて中国に売られて、朝鮮八道では手に入れるのが難しいです」

粛宗は自分が食べる紅参が入った煎じ薬をトンイに与えろと指示します。

制作者が『トンイ』を作りながら自分勝手に歴史を楽しく表現しましたが、高麗人参は本当に尊かったのです。畑で採れた6年根の水参を皮をむかない状態で蒸気で蒸して乾燥させた紅参は体にいいい成分がたくさん入ってるだけでなく、長期間保管できます。

タイトルを見てすでに気付いたと思いますが、朝鮮時代にサムゲタンはありませんでした。強い日差しが突き刺さる伏日(ポンナル)が、あたかもサムゲタンを食べる日、いや食べなければならない日として認識されていますが、朝鮮時代には両班(ヤンバン)は牛肉を入れたユッケジャン(牛肉と野菜の辛口スープ)、庶民は犬の肉を入れたケジャングッ(犬肉のスープ)を食べたそうです。(最近はケジャングッの値段がユッケジャンよりはるかに高いので、金持ちの人々はケジャングッ、庶民は ユッケジャンを食べるので微妙ですね)

サムゲタンの元祖格であるタッペッスッ(鶏肉の水炊き)**(白熟)は、韓半島で遠い昔から食べられてきた食べ物です。

開化期に金持ちの家では、タッペッスッに高麗人参の粉末を入れて食べたそうです。しかしサムゲタンとは言わずに、ただ特製タッペッスッ程度に感じてたようです。朝鮮戦争が終わった後、街に金持ちの家の食卓を真似たサムゲタンを売るお店が出始めました。そして1960年代に入りケサムタンから名前を変えたサムゲタンが出現したのです。

サムゲタンも初期はタッペッスッに高麗人参の粉末を混ぜる程度でしたが、冷蔵庫が普及して高麗人参を長期間保管することができるようになり、料理形態が粉末ではなくて干した高麗人参を入れる形に変わりました。なので韓国のサムゲタンの歴史は半世紀を少し越えるくらいです。

サムゲタンを作る方法は難しくありません。

若い鶏の腹の中にもち米、ナツメ、栗、黄耆、高麗人参などを入れて長時間煮込むだけです。

草創期には庭で放し飼いにして育てた若い鶏、ヨンゲ***(軟鶏)に6年根高麗人参を使っていましたが、最近はそのようなサムゲタンに会うことは、ほぼ不可能に近いです。35日ほど育てた中くらいのひよこと3~4年根高麗人参が入ったサムゲタンに会っただけでも、この上ない幸運です。

一時は種鶏ではなくて雄のひよこを適当な大きさに育ててサムゲタン用に使ってましたが、これさえ収支が合わないとし最初から採卵鶏****の雌に肉用鶏の雄鳥の精子を人工受精して育てた鶏、いわゆるペクセミ(白semi)を使うのが一般的です。

  • サムゲタン市場を占領したペクセミ、25日ほど育てた鶏



ペクセミが出てくる前、サムゲタンは卵を産むことができない役に立たない採卵鶏の雄鳥を利用してましたが、ペクセミが登場するやいなやサムゲタンだけでなくチキン市場を掌握してしまいました。悪質が良質を駆逐した代表的な事例と言えます。当初、ペクセミは不法でしたが、農食品部が孵化場でペクセミの卵の防疫を徹底しろと指示して合法化し、小規模養鶏農場の反発をかいました。

サムゲタンに入れる高麗人参事情も類似します。6年根や成分にほぼ差がない3~4年根を使えばまだ幸いですが、多くのお店では1~2年たった安物の高麗人参を鶏の腹の中に入れます。さらに高麗人参の代わりに味が似ている黄耆を入れる所もあるそうです。黄耆も薬用植物なので、まだいい方でしょう。

それでもサムゲタンは夏のスタミナ食として大人気です。サムゲタンでなければ、いつ高麗人参を食べますか。安物の高麗人参でも高麗人参に変わりはありません。ヨンゲに6年根高麗人参が入ったサムゲタンを見つけたとしても高すぎて、箸も付けられないでしょう。

レシピは簡単ですが、家でサムゲタンを作ると本来の味が出ません。サムゲタンに入れる鶏が崩れないように煮込むくらいでは、出し汁が充分に出ないのです。お店では鶏は鶏だけ蒸したり茹でて、汁は大きい肉用鶏と鶏がら、鶏の足などを大量に煮込んで準備します。注文が入った際に、準備された出し汁にある程度火が通った鶏を入れてもう一度、茹でて出します。

Tip1:初伏、中伏、末伏には、軍隊でも昼食のメニューとして登場します。大きい鍋に無数の鶏を入れた後、長時間煮込むので軍隊の食べ物にしては、その辺のサムゲタンよりおいしいです。 鳥インフルエンザで鶏の値段が下がれば軍人にフライドチキンやサムゲタンを出される回数が増えます。

Tip2:烏骨鶏で作ったサムゲタン、黒米でご飯を炊いた黒米サムゲタン、エゴマ実の粉を入れたエゴマサムゲタンなど、色々な変形があります。鶏一羽を食べるのが負担な女性や子供のために鶏を縦に半分に切ったパンゲタン(半鶏湯)は基本です。


* 歴史性を見つけにくい、ほぼフィクションに近い時代劇。
** 味付けをせずに水に鶏肉を入れて煮込んで作った料理。鶏よりは鶏だしにもち米とニンニクをたっぷり入れて作ったお粥が天下一品です。
*** 発音が変化してヨンゲになった、英単語のYoung+鶏と思っている人も多いのです。韓国の人々もヨンゲと言うと、よく分からないようです。
**** 鶏はひよこを作る卵を産む種鶏、食用卵を産む採卵鶏、鶏肉として食べる肉用鶏があります。ペクセミは採卵鶏が産んだ卵を孵化させて育てた鶏で、値段も肉用鶏の半分程度です。
  • Lim, Chul
  • 入力 2018-12-12 00:00:00

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