A. | その上、お供え物を並べる法則は、なぜそんなに多いのか覚えるのも難しいほどです。少しだけ紹介します。 -魚東肉西:魚は東側に肉は西側に置く。 -頭東尾西:魚の頭は東側に、魚の尾は西側を向くように置く。 -紅東白西:赤い果物は東側に、白い果物は西側に置く。 -棗栗梨柿:左側からナツメ、栗、梨、柿の順に置く。 -左脯右醯:干物は左側に、シッケ(韓国のお米ジュース)は右側に置く。 -飯西羮東:ご飯は西側、羮は東側に置く。 -接東盃西:皿は東側に盃は西側に置く。 そろそろ頭が痛くなるので、このくらいで終わろうと思います。しかも地方によって規則も微妙に 違います。それで出てきたのが「他人のお供え物に栗を置け、豆を置けと言うな」という言葉です。歳月が流れ、この言葉は「他人事に口出しするな」という意味で使われています。 お供え物だけではありません。お供え物を準備してご先祖様にお辞儀をする時も男は祭壇の左側で女は右側でするとし男左女右という規則もあります。この言葉は道を歩いたり、横になって寝る時も適用されるそうです。韓国では左側が右側より尊く思われているため*男尊女卑のように聞こえたりもします。 *** 例えば朝鮮時代の最高位である三政丞(サムジョンスン)の中で左議政(チャイジョン)が右議政(ウイジョン)より高い地位。 実は、このような規則は儒学を国家の統治理念とした朝鮮王朝にもなかったそうです。朝鮮末期の老論の領袖である宋時烈(ソン・ソヨル)の『宋子大全(ソンジャテジョン)』にも魚東肉西が少し言及されただけで、李栗谷(イ・ユルゴク)先生は家の水準に合わせてお供え物を捧げればいい」と指摘しました。 テーブルの足が折れるほどのお供え物は、昔から伝わってきた階級社会が崩れて新しい身分社会に入りながら、自分の家を誇示するための虚礼虚飾の残滓である可能性が高いです。 遅れましたが本題に戻ります。 お供え物に飴を置いてもいいのですか?もちろんいいです。いいだけではありません。お供え物用の飴もあるほどです。 玉春ではなくて一般の飴は?おじいさんの法事の時に孫がどうしてもお供えしたいと言えばおいしい飴を置いてもいいでしょう。伝統的なお供えの仕方を守る家では叱られるでしょうが、亡き人を偲ぶ気持ちを尊重するならば、何の食べ物を置いても関係ないでしょう。 バナナ、チキン、ピザ、食パンなど亡き人が普段、好きだった食べ物を置いてもいいと思っている儒学者も結構います。時々インターネットコミュニティにファーストフードや洋菓子を置いた祭壇の写真が載せられたりもしますが、亡き人を偲ぶ気持ちが切実ならば形式に縛られる必要はありません。 余談ですが祭壇に置かない方がいい食べ物もあります。李栗谷先生のお供え物には牛肉が置かれません。これは李栗谷先生が生前、牛肉を食べなかったからです。 鬼神を追い払うために使われるという桃、ニンニク、粉唐辛子、小豆もお供え物に使わない食べ物です。ご先祖様も一応、幽霊だからでしょう。そしてタチウオ(갈치)、サンマ(꽁치)など「치(チ)」が入った食べ物も禁止されています。「チ」で終わる魚の等級が低いうえに、癡、恥、痴などあまりよくない意味と同じ発音なので気に入らないようです。ご先祖様から恩恵を受けるために嫁を苦労させて捧げる法事なのに、たたりを受けては困ります。 |