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韓国電力を退職した50代男性、クリーニングで「人生逆転」

洗濯フランチャイズ1位、イ・ボムドン クリーントピア社長 

  • 韓国電力を退職した50代男性、クリーニングで「人生逆転」
「クリントピアは、国内洗濯市場のパラダイムを変えました。クリーニング店の選択権をひたすら消費者に与える方向に変化させたのです。当然の言葉のようですが、これが本当の発想の転換です」

アパートや一般住宅地区ごとに定着しているのが、ありふれたクリーニング店だ。しかし、最近では、すっきりとしたインテリアデザインに、安価なランドリーサービスを提供している「クリントピア」加盟店を家の周りでもよく見かける。同じクリーニング店なのに、クリントピアは何が違うのだろうか。クリントピアの社長(55)の答えは簡単明瞭だ。発想の転換ということだ。

「以前の2000戸規模の大団地アパートには、当然、近所の個人クリーニング店が3~4店くらいはありました。しかし、このクリーニング店は、ほとんどがアパートの棟や団地別に事業区域を分けており、互いに競争することを避けます。アパートの警備員も、特定のクリーニング店の配達員だけが、出入りできるように統制しました。このようになると、消費者がクリーニング店を選択できる権限があまりありません」

そこで、クリントピアは配達をしていない代わりに、消費者が直接洗濯物を持って訪ねてくる店として発足した。もちろん、クリントピアの一部店舗では、家まで配達してくれたりもするが、ほとんどは顧客が仕事帰りなどに直接洗濯物を受け取っていく。このようにすれば、消費者は好みのクリーニング店を決めて、ずっと洋服を預けることになる。

クリントピアは、1986年に染色・繊維加工業をする「ボゴ実業 」という会社から出発した。ウール製品の染色加工法を国内で初めて開発したボゴ実業は、そのノウハウをもとに、1992年にクリントピア事業部を新設した後、今では社名を「クリントピア」に変えて洗濯フランチャイズ事業だけをしている。

イ社長は、ボゴ実業を創業したイ・ボムテク会長の弟で、1993年に韓国電力から退社した後、クリントピアに席を移した。事実、洗濯事業を主導したのもイ社長だった。彼は洗濯事業が活発な米国と日本などを回って事業を構想した。

イ社長は「米国では最初から洗濯機を置かずに、専門クリーニング店に服を任せる家庭が多いほど、クリーニング事業が早くから発達した」とし「韓国でも先進洗濯システムが十分に成功できるという自信を得て事業を推進することになった」と語った。

クリントピアは現在、2297の加盟店と136の直営店など計2433店を運営している。しかし、これらの店では、直接洗濯をすることなく、圏域別に分かれている135の洗濯工場支社が日々、各店舗から入ってくる顧客の衣類を集めて洗濯している。洗濯物を再び受けとるには3日ほどかかるが、朝早く預けたら夕方には受け取ることのできる超特急当日クリーニングサービスも行う。これをもとにクリントピアは、韓国の洗濯フランチャイズ市場の80%ほどを占めており、企業型洗濯市場を席巻している。

何よりもクリントピアの名前を広く知らしめたのは、たったの990ウォンでワイシャツを洗濯することのできるサービスが一役買った。一般クリーニング店ではワイシャツ一着を出しても2500ウォンくらいは払わなければならない。

イ社長は「事業を開始した1992年当時、大卒新入社員の給料が40万ウォン余りだったが、当時もワイシャツの洗濯は2000ウォンほどだった」とし、「ワイシャツをよく着るサラリーマンを狙って、最初は500ウォンという破格的な金額でランドリーサービスを開始したが、これが今は990ウォンまできた」と語った。

何よりもクリントピアは、徹底した自動化システムを使用して洗濯するので、一言で洗濯できない服がないといっても過言ではない。服だけでなく、寝具類や靴、バッグ、メガネまで洗浄し、高級ブランド品は修理サービスまでしている。

イ社長の自負心はここで終わらない。インクや墨、ボンドなどの特殊な汚染物質まで責任をもって消すというものだ。イ社長は「クリントピアで消しきれなかった汚れなどの汚染物質を、他のクリーニング店で消してきたら、その顧客から受けとったクリーニング代の5倍を補償する」とし「このサービスは、7月から実施する計画」と語った。

クリントピアが最近、主力としている分野はコインランドリーだ。米国や日本ではすでに一般化されたこの装備を一般クリントピア加盟店と一緒に運営する、いわゆる「マルチショップ」を大幅に増やすことにしたのだ。

ただし、ここでも発想の転換はまだある。イ社長は「外国とは異なり、コインランドリーで長時間待つことを嫌う消費者のために、加盟店主に一定の金額を払えば、その店主が直接消費者の洗濯物をコインウォッシュに入れて洗濯してくれるサービスを実施している」とし「そうすると、消費者は出勤する時に服を任せ、帰宅するときに簡単に取りに行くことができる」と説明した。

コインウォッシュを備えたクリントピア・マルチショップは、今年、韓国内で初めて200号店を突破し、現在208店まで増えた。イ社長は「今年、マルチショップだけでも100店を追加開場する予定」とし「これを今後、1000店に増やすのが目標」と語った。

クリントピアが路地商圏(近所の個人経営のクリーニング店)を侵害するのではないかという懸念についても、イ社長は明確な立場を明らかにした。彼は「クリントピア加盟店の店主80%が女性であるうえ、大半の加盟店の一つ一つがすべて中小企業だ」とし「加盟店のサポートを最優先にしている」と語った。

実際、近所のクリーニング店はクレジットカードを余り受け付けない点に着目し、クリーントピアは各加盟店がクレジットカード決済を増やすことができるような利点を提供する。加盟店のカード手数料の半分を本社がサポートしてくれるのだ。イ社長は、「洗濯業界だけでなく、おそらく国内のフランチャイズの中で、本社が加盟店のカード手数料までサポートするのはクリントピアしかないだろう」と強調した。

■ He is…
△1960年、忠清南道 礼山郡生まれ △1983年、慶熙大経営卒業 △1985年、サムスングループ入社 △1986年、韓国電力入社 △1993年、クリーントピア入社 △1994年、国務総理表彰(国家貢献)△2009年~現在、韓国フランチャイズ産業協会副会長 △2010年~現在、クリーントピア代表取締役社長 △2011年~現在、公正取引委員会の紛争調停委員
  • 毎日経済_ソ・ジヌ記者/写真=キム・ジェフン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-04-19 17:08:08




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