トップ > コラム > オピニオン > [コラム] 中国産の偽物のおかげで有名になった「白首烏」

[コラム] 中国産の偽物のおかげで有名になった「白首烏」

目を開けていても騙される、白首烏と異葉牛皮消 

白首烏(ペクスオ)問題を見守っていると、「犬の○○も知らない奴らが」という言葉が突然思いつく。

真相を十分に知らない人が権威や地位、学歴だけを信じて知っているふりをすると皮肉を言うときに使う言葉だ。

この言葉の由来は面白い。(もちろん冗談だ)

朝鮮中期、ある王は王妃との夜の営みが上手くできなかった。王妃は自分のせいだと涙を見せ、王はため息をついた。これに気づいた大殿の内官が議政大臣に王の身体に異変(?)が生じたことをそれとなく知らせる。議政大臣は物資を担当する長官を呼んで恥ずかしそうな表情で指示を出す。「あれに効くのは、オットセイのあそこ、海狗腎(かいくじん)というのがあるが、あれが体にいいらしいのだが、ひとつ手に入れてくれないだろうか」

長官はどうせ指示を出すのだからと、議政大臣と自分にも一つずつ残るようにしようと、海狗腎4つを持ってきなさいと江原道の観察使に命令を下した。観察使も自分の分を一つ追加し、きれいな妓生(キーセン)と合っていた襄陽の牧使も一つ追加して、衙前が漁師を動員するときは6つに増えていた。衙前も女性を嫌う人ではなかったため、極寒の中、漁師はオットセイを七匹も捕まえなくてはいけなくなった。オットセイを捕まえることが難しいという事情を知っている衙前が期限に余裕を持たせたことがせめてもの慰めだった。

仕方なくオットセイ漁に出た漁師は苦労してやっと一匹は捕まえた。残りの6匹はどうしようかと心配で夜も眠れない漁師に、妻が妙手を教える。

「オットセイも犬の仲間なのだから、犬のあそこを切って捧げましょう」

みんなが眠りについた深い夜、漁師の一家と親戚が総動員され、近くにいる犬を捜して、あそこを切り取ることに成功した。いざ捕まえてみると、少し形が違っている。漁師の妻は本当の海狗腎は自分のために大切にとっておき、犬のもので7つを用意した。

数日後、丹念に包んだ漁師は本物(実は犬のもの)を別途表記した後、衙前に捧げた。「オットセイを捕まえはしたが、七匹は捕まえることができなかった」とし、「本当のオットセイは4匹」と別途しるしをしたことを教える。衙前を経て、牧使、観察使、長官、議政大臣を経て王に至る間に形の良いものは姿を消した。とにかく、江原道にいた犬のあそこが王に捧げられた。

江原道の山奥を駆けまわった効能のためか、王は王妃と心温まる夜を過ごした後、議政大臣に感謝の気持ちを表した。続いて長官、観察使、襄陽の牧使を経て衙前が漁師のもとを訪れて「王が気力を取り戻した」と称賛した。宮殿から伝えられてきた下賜品を横取りして、言葉だけで称賛をした衙前が帰った後、「犬の○○も知らない奴らが」とつぶやく。

連日、韓国のメディアを襲った白首烏事件をインターネットで検索してみると、何首烏、白何首烏、赤何首烏、異葉牛皮消などの似通った名前が列をなす。オットセイ、オオカミ、ブルドッグのあそこを区別することが難しいように、何首烏、白何首烏、異葉牛皮消なども普通の人が選別するのは不可能に近い。

  • [コラム] 中国産の偽物のおかげで有名になった「白首烏」
  • < 何首烏 >

同じような名前が大挙して並べられたが、その中でも一番上なのは何首烏だ。『東医宝鑑』にも下記のような何首烏にまつわる逸話と薬効が紹介されている。

この薬草の元の名前は「阿膠藤」だった。男女が交接するように細く絡まっているためつけられた名前だ。ところが、「何」という名字を持った人が畑に横になったとき植物を見て、不思議な気分がして根を掘って家に持って帰り粉にして食べた。生まれた時から体が弱く、50歳まで宦官のように暮らしていたが、畑から掘り出してきたこの薬草を食べた後に元気が出て、60歳に結婚して子供をたくさん産んで130歳まで長生きした。

何首烏とは、「何という名字の人がカラスのように黒く豊かな髪を持つようになった薬草」という意味でつけられた言葉だ。

  • [コラム] 中国産の偽物のおかげで有名になった「白首烏」
  • < 白首烏(白何首烏) >

白髪を黒くしてくれるほど、何首烏の薬効は優れているが、残念ながら韓国では古今に渡って何首烏が自生していない。このため、韓国では効能が同じような薬材として小牛皮消(こいけま)の根を使用した。小牛皮消の根が最近、韓国を騒がせた白何首烏だ。(根が白く、白何首烏と呼ばれていたが白首烏と短くなった。赤何首烏は赤い小牛皮消の根だ)

白首烏も山で採った天然ものと畑で栽培した薬材が共存する。山で採った天然ものの白首烏は75センチほどのものが40万~45万ウォンで取引されるほど、とても高価だ。需要が多くなると、人々は栽培し始めた。畑に小牛皮消を植えると、2~3年が経過した後に収獲できるほどに育つが、野生で採取するよりは簡単に手に入れることができるようになった。

問題は、現代になって起きた。中国の河北地方などの異葉牛皮消は、見た目が白首烏と似ており、中国から種子をもらって栽培し始めたのだ。異葉牛皮消は春に種をまくと秋には収穫が可能なうえ、根が長く太いため農家での栽培にもってこいだった。

  • [コラム] 中国産の偽物のおかげで有名になった「白首烏」
  • < 異葉牛皮消 >

生産農家や薬材商では異葉牛皮消が韓国では薬剤として認めらていないため、韓薬材として売ることができないというのが頭痛の種だった。だから何も知らない人びとに、白首烏または何首烏だとだまし売りしてきたわけだ。今回の白首烏偽モノ波紋が起きる前、ソウルの京東市場(キョンドンシジャン)や大邱の薬令路地(ヤンリョンコルモク)で売っている白首烏の大半が異葉牛皮消だったという言葉が出回るほどだ。

流通段階で異葉牛皮消を売ることを防ぐ方法はない。食材料として売っているものを取り締まる法律がないからだ。しかし、韓医院で異葉牛皮消を取り扱う場合は問題になる。

☞ 山参の種を山に分散させて、野生の状態で栽培する長腦参があるように白首烏も山で栽培する場合がある。

☞ 小牛皮消は多年生のつる植物だ。細く丈夫な茎は1~3メートル程度育つ。韓国では濟州をはじめとする韓国全土の山野で採取され、日本、中国北部に分布する。
  • O2CNI_Lim, Chul
  • 入力 2015-05-02 09:37:00




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア