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[モノの哲学] ホットボディ、「体」というマストアイテム


  • [モノの哲学] ホットボディ、「体」というマストアイテム
「ホットボディ(hot body)」は、今年最も「ホット」なインターネット検索キーワードのひとつだ。この単語を検索すると、ほとんど女性の「体」の写真が表示される。女性芸能人たちがほとんどだが、ジムで撮影された一般人の写真がまばらに割り込んいることもある。ホットボディの特徴は、「締まっている部分は締まっていて、出ている部分は出ている」に要約される。体の部位ごとに湾曲が激しく、部位と部位との間の落差が大きく、ドラマティックほどに熱狂的な(「ホット」な)ボディだ。最高のホットボディとして不動の検索語1位になった芸能人の胸は顕著に大きいが、続く下腹部は非現実的にくびれており、再びその下腹部とつながっお尻は瓶のようにしっかりと膨らむ輪郭を持っている。

「ホット」という言葉は、「熱い」ということだ。非常に魅惑的で、相手を拒否することが難しいということだ。精神分析では、魅惑を 「欲望」と表現する。欲望は対象に自分を一致させる同一視効果だ。ところが、この理論によると、この同一視は「錯覚」だという。魅惑は対象を実際以上に「きれいで、かっこいい」と認識する過剰から始まるのだ。このような過剰認識は時代の特殊な欲望や認識システムとも結びついている。この認識が錯覚だったということは、熱狂的な魅惑さえ、間もなく(いつかは)枯れになるという事実を介して「後になって」確認される。

いつからか流行商品について、ファッション市場では、「ホットアイテム」「マストアイテム(must item)」という言葉をつかいはじめた。「ホットアイテム」と似ている単語である「ホットボディ」という言葉は欲しくて購入したいアイテムの最終目標が「ボディ」だという事実を示している。これまでのファッション商品は、体を装う「ための」のモノだったが、ホットボディは体そのものを「モノ」の位置に置く。

「体を売る」という言葉は、身分制社会ではその人が「奴隷」になるという意味であり、「娼婦」という意味でも使われる言葉だった。 「体を売る人間」とは、人間の最も屈辱的な存在状況を要約する言葉で、逆に「体を買う」ということは、倫理的堕落の意味を持つ言葉だった。

しかし、ホットボディは、致命的な「購買欲」を呼び起こすマストアイテムだ。「ボディ」は製作して変形して展示して広報して売買するモノだ。このモノの流行は自分の体を「材料」にして誰もが製作・広報·マーケティングが可能で、自分の体一つで「人生大当たり」が可能な1人企業時代の到来を知らせる。伝統的な「ヒューマニズム(humanism)」時代が完全に終わりを告げたのだ。
  • 毎日経済 ハム・ドンギュン文学評論家 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-07-31 16:41:02




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