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[モノの哲学] ラジオ - ラジオ・スター


  • [モノの哲学] ラジオ - ラジオ・スター
「君は最高だった / 今のあなたはもう時代遅れだ / ビデオがラジオ・スターを殺した」(The Buggles、『Video killed the radio star』1979)

この歌は、1981年の音楽専門チャンネルを元に新しい放送時代を宣言した、米国ケーブル・チャンネルMTV開局放送の最初の曲として採択されたことで、さらに有名になった。音楽に視覚映像が結合した音楽テレビ時代が始まった。多くの人々がテレビの登場にもかかわらず、音楽番組専門メディアとして自分を特化して、それでも素晴らしい健在さを誇示したラジオ時代がすぐに完璧な終わりを告げることに同意した。

しかし、1920年に米国ピッツバーグで世界初の正規ラジオ放送局が開局して以来、ラジオは文明史の転換と呼ばれるほどの新しい通信メディアの登場にもかかわらず、プログラム領域の様々な開拓と拡大を経て発展してきた独自性を維持してきた。ラジオは「リアルタイム」ニュースを流し、大衆音楽の中心地で、また発信地であり、スポーツ中継のメッカだった。企業には20世紀中、最も効果的な広告宣伝のルートだった。

このモノは、道具の発明が人間の感覚をどのように切り替えるかという側面でも非常に重要な意味を持つ。モールス、フェッセンデン、ヘルツ、マルコーニ(Morse、Fessenden、Hertz、Marconi)など、電信・電波の歴史の中で決定的な役割を果たした彼らの文明史的な協業を介して誕生したこの物は、私たちが今使う「リアルタイム」という言葉の意味を知覚的な実感として伝達した最初のメディアだ。このモノは非常に遠く離れたところで配信される音と広がる事件を、同時に「一緒に」聞くことを可能にした最初の「リアルタイム」大衆メディアだ。このことが、このモノを政治共同体の強力なイデオロギーの道具に作り上げたこともあるが、様々な周波数の違いを生み出すことができる特徴により、好みの多様性と自律性を可能にする個人主義のメディアであり、解放区になることができた。夜明けの海賊放送、ポッドキャスト(Podcasting)の自由はテレビメディアでは真似できない、このモノ固有のものだ。

発信元から離れていくほど弱くなるが、消えることはない電波の特性により、今までこのモノから虚空へと送出された情報は、人間が地球上から絶滅した遠い未来にも残る。地球を離れて外界に送出されたビートルズと韓国ロックグループ「野菊」の音楽は、私たちが感じることのできない時間と空間を通って、いつかは私たちが想像することもできない星、どこかの未知の存在に届くだろう。私たちの10代を育て上げて慰めてくれた音楽が、私たちが宇宙からほこりになって消えた後にもだ。ラジオは、だからスターだ(Radio star)。
  • 毎日経済 ハム・ドンギュン文学評論家 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-11-27 16:13:56




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