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ネクセンタイヤ カン・ビョンジュン会長のメモ用紙


  • ネクセンタイヤ カン・ビョンジュン会長のメモ用紙
ネクセンタイヤの前身である宇成(ウソン)タイヤを買収する頃の1999年のある日、カン・ビョンジュン会長はメモ用紙にこう書いた。「負債比率6000%に深刻な資金難に陥っている宇成タイヤ。でも、世界的なタイヤ企業ミシュランと合弁法人を設立して、技術提携をした経験がある。製品の品質と技術力が優れていて従業員の愛社心も高い」

宇成タイヤは、1996年に宇成グループが法廷管理に入って売りに出された。借入経営が足かせとなり、存続できるかどうか、誰も保証できなかった。カン会長は何かあると、長い間熟考する癖がある。夜も眠れない。このようなとき、いつもメモをするのだが、寝るときも枕元にメモ用紙を置いておいて、夜中に目を覚ましてメモをしたりする。

彼は大学卒業後、日本の中古トラックの輸入を皮切りにビジネスに飛び込んだ。お金がある程度集まると、貨物輸送会社であるオクジョン産業を設立し、1973年に再生タイヤを生産する興亜タイヤ工業を設立した。自動車用チューブで世界市場を攻略して、シェア40%を達成したが、タイヤは新しい分野だった。多くの面で宇成タイヤの買収は無理だったし、既存事業まで危うくなる可能性があると周辺は思いとどまらせた。しかし、彼はメモ用紙に書いた自分の結論を信じることにした。世界のタイヤ市場が大きくなれば、成長することができると確信していた。

カン会長は、一度決心すれば右往左往しない。「大規模な投資や中長期ビジョンの提示など、事業上の重要な意思決定を下す際に現場を見回して、心の扉を開いた状態で、人々の意見に耳を傾ける。考えは慎重に、決断は迅速に行わなくてはいけないというのが私の哲学です。最初に事業を開始した当時も、中古車を輸入して販売しようとしたとき、運輸業や興亜タイヤ設立、宇成タイヤ買収と中国進出、昌寧工場建設とヨーロッパの新工場投資のときにも同様の課程を経ました」

カン会長の推進力が光を放つには時間がかからなかった。買収翌年、ネクセンタイヤに名前を変えた宇成タイヤは毎年大幅に成長し、今では売上高が買収当時に比べて10倍を軽く越える。カン会長は17年連続で「上場企業のうちで、最初の株主総会」の原則に固執している。彼は17日に株主総会を開き、昨年達成した史上最大の経営成果を発表する。売上高は前年に比べて4.5%増の1兆8375億ウォン、営業利益も2249億ウォンと、7.8%増加した。営業利益率はなんと12.2%に達した。

「心清事達」、心が清ければうまくいくという意味で、カン会長が好きな明心宝鑑の四字成語だ。複雑で重要なことがあれば頻繁にメモをして、心を整理する彼の習慣がネクセンタイヤを世界的な企業にした源泉になったと考えてみる。
  • 毎日経済 チャン・バクウォン論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-02-10 18:47:29




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