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[コラム] 韓半島は中東とは違う


韓半島(朝鮮半島)に緊張がただよっている。特定の日付にまで言及しながら、米国がステルス機を飛ばして北への爆撃を敢行するという話は根拠のないデマだと確認されたが、だからといって危機感まで完全に無くなったわけではない。

去る13日に開かれた大統領候補合同討論会でも、「北への爆撃をどうするのか?」という問いが最初に提示された。

まずは大統領候補たちの答えを聞いてみてほしい。
- 米国に一方的な先制攻撃を加えてはならないと確実にわからせて、先制攻撃を留保させる。(ムン・ジェイン)
- トランプ大統領に戦争は絶対にだめだと話す。私と同じウォートン・スクールの卒業生だ。(アン・チョルス)
- 韓半島での一方的な軍事行動はありえない。(シム・サンジョン)
- 先制打撃には反対だが、万が一の場合には国土収復作戦に突入したい(ホン・ジュンピョ)
- 韓米間の十分な合意を経て、すべての軍事的準備を整えた後なら先制打撃に賛成することができる(ユ・スンミン)

このような言葉を聞いて、韓国民は安心できるのだろうか。筆者の見るところ、必死にお願いするレベルにしか感じられない。お願いするからといって、話を聞くようなトランプ大統領ではない。ドナルド・トランプ大統領は最近、非常に意気揚々としている。地球最高のファイターらしく、自分に挑戦する奴がいるなら出て来いと大声がかまびすしい。

中国の習近平国家主席との歴史的な首脳会談を目前にしてシリアを爆撃し、豪州に向かっていた空母カール・ヴィンソンを韓半島近海に前進配置したかとおもうと、実戦には一度も使ったことのなかったGBU-43を、IS根拠地のあるアフガニスタンに投下した。

常識が通じて事の後先をわきまえるなら、韓半島に戦争の危機が訪れる可能性はあまりない。米国が北爆を敢行して韓半島に戦争が起きるなら米軍の被害も無視できず、戦争の後遺症によって米国は極東での支配権を喪失する可能性もあるからだ。

去る1994年に北韓に限定的な爆撃を加えようとした米軍が、最終的に一歩退いた理由もここにある。北韓も世襲王朝体制の崩壊を望まない以上、核やミサイル実験のほかに直接的な挑発をする能力も理由も見出すことは難しい。このために韓半島の危機説が高まっている状況でも、韓国民は悠々自適(?)に日常が与える疲労を楽しみながら生きている。

しかし、今は違う。トランプはこれまでの大統領ではない。前後を顧みずに即座の行動に乗り出す無謀さを持った人物だ。北韓の金正恩(キム・ジョンウン)も一発食らったからと、息をこらす状況にはない。そうしてしまっては、ややもすると体制が転覆する危険に直面するからだ。米国が北への攻撃を敢行すれば、それなりの軍事行動を取る可能性が非常に高い。

予測不可能な2人の人物が韓半島で向き合っているのだから、韓国民は不安でじっとしていられない。

韓半島はシリアやアフガニスタンとは異なる。かの国は米国に一発殴られても、そうなのかと思う程度だろう。これまで数十年間、そんな歳月が続いてきたからでもある。しかし北韓は立場が違う。北韓は3年間米国と戦って、休戦協定を締結した国だ。残念ながら南韓政府は休戦の当事者ではない。

北への攻撃が開始されれば、すぐさま休戦条約文は紙きれになる。

シリアやアフガニスタンは至近距離に報復対象がないが、北韓は米国と防衛条約で結ばれた韓国に砲弾を注ぎ込む可能性もある。

トランプは行動に移る前に、このような点を細かく計算してみるだろうか?米政府は韓国との事前協議なしに軍事行動をとることはないという立場を重ねて明らかにしているが、「米国は巨大な軍隊を持っている。彼らは非常に誇らしく、これは非常に成功した作戦だった」と嬉々とする姿は恐ろしいばかりだ。
  • O2CNI_Lim, Chul
  • 入力 2017-04-16 06:58:00




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