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[コラム] 江南3区の心変わり、事実だろうか


  • [コラム] 江南3区の心変わり、事実だろうか
韓国で保守陣営が自分たちの味方だと考える地域がある。保守の本山であるここ大邱・慶北地域と釜山・慶南地域、そしてソウルの江南の3区だ。

新興富豪タウンとして象徴されるソウルの江南・瑞草・松坡の3つの区は数多くの選挙で例外なく保守陣営の候補に票を集めた。そのため、裕福層の人々は保守主義者だという珍しい等式もできた。

経済的に豊かながら進歩性向を持った知識人を江南左派と呼ぶこともある。ここには「似非」という皮肉も少し隠れているのも事実だ。

江南左派が突然増えたのだろうか。朴槿恵(パク・クネ)前大統領の弾劾で行われた今回の選挙で江南3区は共に民主党の文在寅(ムン・ジェイン)候補の手を持ち上げた。

文在寅候補と自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)候補の得票率を比較すると、江南区は35.4対26.8、瑞草区は36.4対25.6、松坡区は40.3対22.4だ。

明らかに票差が大きい。圧勝と表現しても良いほどだ。これについてメディアでは、保守の家庭畑が崩れたという報道もした。

江南3区に住んでいる市民が左クリックをしたのだろうか。本当に心変わりをしたのだろうか。

筆者はそのように見ない。まず文在寅候補が得た票がこれを教えてくれる。

朴槿恵前大統領と対戦した18代大統領選挙で文在寅は、江南で39.4%・瑞草で41%・松坡で47.5%の票を獲得した。単純に比べると、今回の選挙で文在寅の得票率は18代のときに及んでいない。3強構図を形成した国民の党安哲秀(アン・チョルス)候補が文在寅の票を蚕食したのかも不明だ。安哲秀候補が洪準杓候補の票をしぼり取ったと見ることもできるからだ。

首都圏以外で頼れる唯一の丘といえば湖南地方しかなかった安哲秀候補が嶺南で洪準杓の票を蚕食できなかったとも見ることができる。今回の選挙で安哲秀候補が中道、要するに穏健な保守・漸進的な進歩を標榜したため、このような説明は十分に妥当性を持っている。

結論的に言って嶺南地域がそうであるように、江南3区はいまだに保守の家庭畑というわけだ。

今回発足した文在寅政府はこのことを念頭におく必要がある。江南3区も自分たちの味方だと考えてはいけないという話だ。

考えてみれば、韓国で保守・進歩を分けること自体が無意味なのかも知れない。保守=自由、進歩=平等という等式が韓国の政党ではあまり通じないからだ。

最も保守的な経済政策である新自由主義が韓国に本格導入された時期も、進歩政治家の代名詞格である金大中政府時代だ。保守政党が歴代選挙にて福祉政策で有権者を説得しようとしたという事実は、改めて取り上げる必要もないだろう。

保守政党でも進歩政党でも、掲げる社会・経済・福祉政策は大同小異だろう。このような状態でも、保守や進歩の線引きは相変わらずだ。そしてまだ江南3区は保守の味方に立っている。

疎通と大統合を推進する新政府は、もしかしたら色のない戦争を行う必要があるかも知れない。「あなたはこうだから嫌い」という反論は「私が変わる」と説得できるが、「あなたは無条件で嫌い」ならば人と会話をするには困難だ。これは逝去した盧武鉉前大統領が執権期間に当面していた問題でもある。

文在寅大統領は青瓦台秘書室長であった当時、このような困難を見守っていただろう。ぜひ、それに対する自分なりの処方箋を用意してくれたらと望む限りだ。
  • O2CNI_Lim, Chul / 写真=毎経DB
  • 入力 2017-05-14 09:00:02




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