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趙煥益韓電社長、英原発受注の秘訣を語る


■「名誉退陣」の趙韓電社長、英原発受注の秘訣を語る

「アラブ首長国連邦(UAE)のバラカ原発建設で証明された、韓国の原発技術の勝利だった」。

終盤で中国の激しい追撃を振り切って、総事業費21兆ウォン規模の英ムーアサイド原発買収戦で優先交渉権を獲得した趙煥益(チョ・ファニク)韓国電力公社社長(67)は7日、ソウル市光化門のKTビルで開かれた北方経済協力委員会の会議の後、毎日経済新聞と会って韓国が勝利できた秘訣を問う質問にこのように答えた。英国の原発優先交渉者に選定された直後に退任を発表したチョ社長は、「拍手を受けながら離れることができてうれしい」と所感を明らかにした。

チョ社長は「4年前、初めて英国の原発受注に関心を示した時は、現地では韓国を徹底的に無視する雰囲気だった」とし、「英国政府関係者からあえて韓国がここに来て名刺をさし出すのかという式の侮辱も受けた」と当時を思い出した。

しかしチョ社長は、「UAEでの原発建設が計画通り順調に進められて、英国の態度が変わった」と語る。チョ社長は「とうとう昨年に英国政府の関係者が韓国を直接訪問し、原発施設を視察した後は感嘆をあらわにしたし、彼らが帰った直後から交渉が勢いに乗り始めた」と説明した。

実際、ムーアサイドプロジェクトの事業者であるニュージェン(NuGen)社の株式100%を保有している日本の東芝が優先交渉対象者に韓電を選択したことには、英国政府の意志が決定的に作用したことが分かった。去る4月に韓国を訪れたグレッグ・クラーク英ビジネス・エネルギー・産業戦略部長官は、「英国政府は韓電がUAEで原発事業をきちんと遂行したことを関心を持って見守っていた」とし、「ムーアサイドプロジェクトの潜在的な投資家として、韓電を肯定的に考えている」と語った。

■ 中国との競争

もちろんこのプロセスでは大きな節目もあった。中国の国営原発企業の広核集団(グァンホグループ/CGN)が、中国政府の積極的な支援と莫大な資本力を前面に出して、東芝と英国側の歓心を買おうとした。一方で韓国は脱原発政策に転じ、政府は支援するかどうか自体が不透明な状況だった。新規原発の建設計画が次々と白紙化され、建設した新古里5・6号機まで工事が中断されて、原発輸出に支障を来たすという懸念が大きくなった。幸いなことに、政府が「脱原発と原発輸出は別」というツートラック戦略を通じて積極的な支援に乗り出し、新古里5・6号機の工事も再開されて雰囲気が反転した。これに加えて、わが国の技術力で独自開発され、UAEにも輸出された韓国型原発APR-1400は、欧州事業者要件(EUR)の認証取得に世界で5番目で成功したことも肯定的に作用した。

チョ社長は中国があごの下まで迫ってきた当時の状況を回想しながら、「中国は単に資金力だけを前面に出したのではなく、優れたエンジニアと交渉力をそなえていたと感じた」とし、「幸いなことに今回はわれわれが勝ったが、次回の受注戦で対戦する時はより緊張して対応しなければならないようだ」と語った。

チョ社長は「外部に知られている以上に、白雲揆(ペク・ウンギュ)産業通商資源部長官をはじめとする政府支援は積極的だったし、効果的だった」と評価した。続けて「ペク長官をはじめとする、産業部の実務陣が英国に飛んで密度の高い交渉を進めたし、政府が積極的に乗り出して英国政府も韓電をさらに信頼し始めた」と説明した。

チョ社長は今回の選定をきっかけに、いま現在原発建設を推進しているチェコ共和国、サウジアラビア、トルコ、インド、ベトナムなど、多くの国からの追加受注の可能性も大きくなったと評価した。

しかしチョ社長は「原発・高速鉄道の輸出は最終的に国の事業として、政府部処はもちろん、時には大統領まで直接乗り出して積極的な誘致に飛び込んでこそ受注の可能性が高まるはず」だとし、「今回の原発受注戦の勝利の雰囲気を継続するには、最終的に原発輸出に対する政府の支援意志が揺れてはならない」と強調した。

■ 退任後の計画は?

8日、全羅南道羅州の韓電本社で退任式を行うチョ社長は、退任後の計画を尋ねると「どのくらいになるかはわからないが、まずは充分に休みたい」とし、「物理的にかなり疲れた状態」だと説明した。チョ社長は「今後は、いままでさまざまな実体経済の分野で活動した経験をもとに、本も書いたり大学などの講義もしていきたい」と語った。

政府の圧迫で退くのではないかという一部の視線に対して、チョ社長は「話にならない話だ」と一蹴した。チョ社長は「すでに今年初めの再重任の時点から席を固辞したが、弾劾政局の状況の中で適切な後任者を任命することもできず、再任を受け入れた」とし「新しい政府に入って、原発政策などと関連していくつかの懸案があって保留している中で、秋の国政監査が終わった後に辞任の意思を伝えた」と説明した。チョ社長は「原発の受注時点に合わせて進退を表明できるように、老将に配慮してくれた政府関係者に感謝している」と語った。

チョ社長はしかし「関心を持って推進した東北アジア広域電力網(スーパーグリッド)事業が進展するところを見たかったので、物足りないところがある」とし、「後任の社長が政府の積極的な支援の中で、事業をうまく実現していくことを期待する」と念を押した。チョ社長は2012年に就任した後、5年連続で赤字にあえいでいた韓電を黒字企業に変貌させた。在任期間にデータ事業をはじめ、新たなビジネスモデルの発掘に力を注いてきたチョ社長は、「韓電はもはやこれまでのように電気の卸売り事業だけでは急変する市場の中で生き残ることができない」とし、「新たなビジネスに対する野性を継続して追求しなければならない」と強調した。
  • 毎日経済_カン・ドゥスン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-12-07 19:31:37




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