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コラム > ビットコインの未来…実物貨幣を代替するか?
先週末のあいだに、ビットコインの価格が最高2100万ウォンにまで上昇した。騰落に幅はあるが、規制発表で委縮していた仮想通貨熱気が生き返ったようすだ。これまで仮想通貨ブームに支えられ、オフライン市場でもビットコインなどを決済手段として活用するところも増えている。これらの商人は政府の最近の仮想通貨規制強化の動きも大きく意に介さない様子だ。
ソウルの代表的な大学街である新村駅付近のカレー専門店「コブギの厨房」の主人キムさん(30才、仮名)は、「もともと仮想マネー決済のお客様はそれほど多くなかったので、変化を感じるほどではない」とし、「昨年6月に500万ウォンに達していたビットコインが2000万ウォンを超え、ビットコインで支払いしていた客が一週間に1チームほど減る傾向がそのまま続いている」とした。キムさんは政府規制の不確実性による仮想貨幣の価値の乱高下で客は減らはないと見た。彼は、「いずれにしてもビットコインを安定した決済手段だと思って来る客はほとんどなく、大部分は珍しくて決済しに来たり、または仮想通貨グループの人が店を訪れて集まりを持ち、支払いはビットコインで行うという式だった」と紹介した。続いてキムさんは、「むしろ価格が乱高下して差益を得る人々があれば、楽しくてもっともっと私どもの店の訪ねてくるかもしれない」と付け加えた。
仮想通貨で決済できる京畿道高陽市所在の「ミダミチャムチ」に立ち寄った。
マグロ刺身一皿を食べて10万ウォンと書かれた計算書を差し出すと、主人のソンさん(40才、仮名)は仮想通貨取引所のアプリをオンにする。客の仮想通貨の残高から10万ウォンに対応するビットコイン0.0051を送るやいなや決済が完了した。ソンさんは「仮想通貨に対する投資価値を信じて決済手段として受け入れただけに、最近では仮想通貨で決済するとお酒を一本与えるイベントも行った」と話した。
現在、ビットコインを受けとる方式は一種の口座振替方式だ。スマートフォンにビットコイン簡単決済アプリをインストールし、店のカウンターに置かれたQRコードを認識させ、入金アドレスを確認した後に送金する金額を入力する。最近では携帯電話の番号を入力すると文字メッセージでURLを送信し、仮想通貨で決済する方式も使われる。いまはまだ仮想通貨取引所と試験サービスを連動したところだけが可能であり、全体のうちの10カ所ほどだ。
最近では仮想通貨を基盤にしたデビットカードも国内に導入された。デビットカードはコンビニや近所のレストランなど、クレジットカード加盟店であれば全国どこでも使用可能だという点で、将来の拡張性はさらに大きいものと思われる。ビットコインをリアルタイム相場に合わせて現金化して決済する方式で、昨年末にテンエックス(TenX)をはじめとしてセントラ(centra)やモナコ(Monaco)などが相次いで乗り出してきた。このうちテンエックスは現在ヨーロッパとシンガポールのみ使用可能であり、セントラカードは国内でも申請して使用することができる。実際にセントラカードを利用してコンビニで決済してみると、一般的なカードを使用するのと取引手順や速度には差が全くなかった。ただし国内のビットコイン価格が海外よりも20~30%以上高いので、その分の損害を甘受しなければならない。しかし、逆に海外旅行客は海外の取引所で買ったビットコインで決済すると、20%以上の割引を受ける効果を得ることができる。
仮想通貨方式のデビットカードは別途の中継銀行を経由しないため、振込手数料や海外決済手数料を別途に支払う必要がない。自己発行した新規仮想通貨をリワードの形態で支給する、ユニークなポイント特典もかなり良い。今後は取引参加者が多くなるほど貨幣価値が上がって、ビットコインのように決済するために使用することができる。ただしまだ限度額が高くなく、システムの安定を担保することができるレベルではないことから、利用者の注意が必要だ。
もちろん仮想通貨は実物市場に続々と進出しているが、まだ不安要素は多い。過大評価された仮想通貨に投資が集まったが、引き潮のように抜けて行った現象を何度か目撃したからだ。
去る12日にも、実物決済で便利に使われるといううわさが出回った仮想通貨シビック(CIVIC)が上場された瞬間、コインの価格は180万ウォンに策定された。しかし一時間も経たないうちに実体がないという評価が殺到するやいなや、1500ウォンに価値が大暴落した。売り筋が殺到してサーバーまでがダウンし、被害規模はさらに大きくなった。何百万ウォンの損失を見たソン氏(30才、仮名)は、「とんでもない価値暴落はその仮想通貨の製作者が問題なのか、取引所が意図的にやったのかを知ることさえもできないのでもどかしい」と訴えた。
専門家らは、仮想通貨が実物貨幣を代替する日が来るかに対して交錯した評価を出す。経済学の専門家らは、「一部の代替貨幣」として仮想通貨の未来を予想した。ソウル大学経営学部のアン・テシク教授は、「仮想通貨が実物貨幣を代替するというよりも、仮想通貨の価値を認める人たちの間でのみ実物通貨のように取引される」とし、「例えばさまざまなオンラインゲーム上の仮想現実で数百万や数千万ウォン台を呼ぶアイテムが取引されるように、仮想通貨もその価値を共有する共同体の中で市場を形成して流通してもおかしくない」と分析した。
キム・ジョンヨン祥明大学経営学部教授は、「現在の仮想通貨は投機的需要に脆弱で、高リスク金融投資資産として分類することが適切」だとしながらも「仮想通貨が向後、価格変動の問題を自生的に解決してこそ、はじめて代案貨幣としての機能を議論できるだろう」と予想した。
大多数の情報技術(IT)専門家らも、仮想通貨が実物貨幣を代替しにくいという点では経済学者と大きな意見の相違を見ない。ただし「一部の代替貨幣」よりも、ブロックチェーン社会の底に敷かれる「システム貨幣」になると見ている。キム・ジナ韓国ブロックチェーン協会準備委員会代表は、「仮想通貨は決済システムの革命であり、貨幣の革命ではない」とし「貨幣代替に集中して失望することは、いわゆる“月ではなく指を見る”ようなもの」だと語った。