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Kゲーム神話の主役 ⑤…ネットマーブルズのパン・ヂュニョク議長


◆ Kゲームの神話の主役 ⑤/パン・ヂュニョク議長◆

ネットマーブルの歴史の中で、2017年は「捲土重来」の年として記録されるだろう。売上げ2兆4000億ウォンでネクソンとNCソフトなどの競争社を抜き、9年ぶりに再び頂上の位置を奪還した。売上げ比での輸出の割合も54%に達した。 2011年までは「シャットダウン制」と各種の規制で厳しい経営不振を経験したネットマーブルが再び復活した核心には、創業者のパン・ヂュニョク理事長(写真)があった。

  • Kゲーム神話の主役 ⑤…ネットマーブルズのパン・ヂュニョク議長


高校を中退して創業三浪の末にネットマーブルをCJグループに売却したパン議長は、会社が経営危機に陥るやいなやラブコールを受けて経営の第一線に復帰し、5年ぶりに会社を再び頂上の位置にもどした。

謙虚で静かな性格でふだんは大衆の前にあまり立たないパン議長に先月の28日、MBN Yフォーラムのソウル奨忠体育館会場で会った。 2030世代15万人が経済英雄として選んだパン議長はこの日、青年たちの前で「若い時に挑戦するほど失うものは少なく、年をとれば挑戦する機会さえなくなる」と、挑戦意識を強調した。イベント直後、パン議長に会ってネットマーブルの成功の秘訣と今後の事業戦略について聞いた。

- 公式の席上にあまり立たないことで知られているが、数年ぶりに大衆講演に直接乗り出したのは?

△ 人々の集まる場を避ける方だが、15万人が選んくれたので出ないわけにはいかなかった。若い世代と直接目を合わせてコミュニケーションをしたら心も若くなったし、また彼らが何を考えているのかを直接知ることができる貴重な機会だった。

- 国内ゲーム会社の中で史上最大の実績を収めた。

△ モバイル市場と海外市場にゲームの未来があると既に数年前から考えていて、先制的にそれに合わせて戦略を組んで投資を行った。エンターテイメント事業であるゲームの特性上、長期的な眼力を持たずに単に消費者のニーズをその都度追うだけだと2等3等に落ちることになる。先制的対応が重要だ。

- 創業初期にウェブボードゲームを導入し、最近ではモバイルゲームを主導している。ゲーム市場の次のトレンドは何だろうか。

△ 今後はマルチデバイス(Multi-Device)時代になる。 2000年のネットマーブル創業当時はPCオンラインゲームが大勢だったが、最近の大勢はスマートフォンやモバイルゲームだ。これまでは一つのデバイスで一つのゲームを楽しむワンデバイス時代だったが、今ではみんなスマートフォンはもちろん、タブレットPCやデスクトップコンピュータ、ノートパソコンも備えている。 PC、スマートフォン、コンソール(家庭用ゲーム機)など、さまざまなプラットフォームでゲームを楽しむケースが増える展望であることから、これに備えなければならない。

- 代表作「セブンナイツ(Seven Knights)」をコンソール用に移植するとしたら?

△ マルチデバイス時代にしだいに浮上する分野は、コネクテッドカーの技術とゲームの組み合わせだ。これまでは人が直接車を運転しなければならなかったので、運転中は他のことをすることができなかったが、自律走行車が出てくると、前席に座った人はすることが無いだろう。目的地への移動中に車の大きなウィンドウをモニターに見立ててゲームを楽しみたいという需要は多いだろう。このような部分にもあらかじめ備えておきたい。

- 防弾少年団(BTS)とコラボしたゲーム「BTSワールド」の発売計画を発表した。

△ 既存のゲームは徹底してファンタジーの世界観だけに捕らわれている。現在、わが社の売上げも2兆ウォンを超え、韓国全体のゲーム市場も十分に成熟した。ファンタジーやアクションゲームばかり作っていたら、若い男性だけがゲームをするのではないだろうか。さまざまな層がゲームを楽しむことができるように作りたい。

- 防弾少年団ゲームの制作意図は?

△ ネットマーブルの長期的な成長戦略、さらには韓国ゲームの長期的な成長戦略の一部と見てほしい。ゲーム業界はコンテンツ産業であり、したがって知的財産権(IP)を保有しているかどうか、メーカーが源泉技術を保有しているかどうかだけが重要だ。今後はますますIPの重要性は大きくなり、多数の良質のIPを保有している企業とそうでない企業間の格差は非常に大きくなるだろう。

ネットマーブルが2016年に「リネージュレボリューション2」を発売し、大きな人気を呼んだのも同じ脈絡だ。 NCソフトが保有しているリネージュシリーズもゲーム界では非常に強力なIPで、しっかりとした世界観と強固なファン層を確保した。米国の場合、ディズニーはまったくのIPプロバイダと見ることができるように、マーブルをはじめ各種の有名キャラクターの著作権を保有し、これを土台に映画とアニメそしてゲームを発売して人気を集めているではないか。日本もゲーム業界のみに限定しても、マリオやバイオハザードなどのIPは強力だ。韓国のゲームメーカーもこのように進まなければならない。

- 数兆ウォン台の莫大な保有現金をどこに使うのか?

△ さまざまな研究・開発投資と買収・合併に使う予定だ。特にインテリジェントゲームに関する企業に注目している。インテリジェントゲームは人工知能(AI)をベースに、まるで友達のように人と遊んでくれるゲームを想像するといい。 AIがユーザの好みやレベルなどを把握し、それに合ったゲームコンテンツを自動的に供給してくれるゲームで、そのためには高度のビッグデータとAI関連技術が融合される必要がある。

また、他の目的は海外進出だ。売上げ2兆5000億ウォン台の企業に対して国内市場はあまりにも狭い。中国進出が行き詰まった以上、わが社の未来は北米と日本にあると思う。それだけゲームユーザーも多く、購買力も持つ地域だ。日本はネットマーブル全体の売上げの20%以上が発生するほどの成果を見せているが、市場の理解とユーザ分析のために数年前から精を出したおかげだと思う。北米は現在、市場開拓のために始動をかけている。数年以内に成果が見えるだろう。

- 未来を見る力が格別なようだ。

△ あいまあいまに私の未来学を勉強し、関連書籍を読む方だ。常に5年、10年、20年後の未来はどのように変わるのか、人々の生活様式はどのように変わるかについての考えを欠かさない。去る2011年にネットマーブルに復帰したときに、すでに「未来はスマートフォンにオールインしなければならない」と考えていた。当時のスマートフォンの普及率は低かったが、携帯電話メーカーを調べてみると、設備を2Gのフィーチャーフォンからスマートフォンに、電撃的に変えるという事実を知ることになった。主要メーカーがみんないっせいに決断を下せば、これが大勢になることからモバイルゲームに注目した。そのおかげで2011年は2576億ウォンに過ぎなかったネットマーブルの売上げは、昨年までのわずか6年で10倍近く、爆発的に増加した。

- ぐうぜん未来学に興味を持つようになったのだろうか?

△ ソウルの工場地帯のかたすみで貧しく育った。それだけに成功への熱望も強く、このために高校を中退して創業にさっさと飛び込んだ。この過程で将来の予測に大きな関心を傾けることになった。中1の時、ジョージ・オーウェルの『動物農場』と『1984』を読んで、「未来はこのように変わるかもしれないんだ」と思った。「少年中央」や「少年東亜」のような子供向けの雑誌の未来予測コーナーを熱心に読んだが、不思議だが高校に入る頃にはこの時に予想した未来がちらほらと現実になることを感じた。「地球村」という言葉のように世界が発展すれば発展するほど、地域は違っても居住者の生活様式や考え方が似てくる。

- 予測が外れたことはないか?

△ 外れたというよりは、あまりにもトレンドを早く予測したことがある。 1998年に初めて起動した事業アイテムは、インターネットを通じた映画のビデオオンデマンド(VOD)サービスだった。インターネットの普及率も低く、通信速度も遅くて失敗した。それでも「失敗しない方法」を学んだという点が幸いだ。

若い年齢ではやばやと2回の事業に失敗したが、果敢な挑戦を通じて一歩進むことができる能力を学ぶことができた。今では既成世代が既得権を持っていて、若い世代には機会が少ないが、なおさら果敢に新たな挑戦に力を注がなければならない。 20年には30年後の未来を想像し、これに合わせて努力を傾けるのが成功の秘訣だ。他人の目を気にしてすごすよりも、未来を眺めることができる洞察力を育てなければならない。
  • 毎日経済_ユ・テヤン記者/写真=ハン・ヂュヒョン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-03-06 19:32:16




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