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半導体製造工程の情報公開めぐり企業と政府が対立


◆ 半導体の情報公開に対する3大争点 ◆

「半導体・ディスプレイ工程では、わずか数メートルの長さの違いも生産性に直結する重要な情報だ。このような工程の機密を政府が満天下に知らせるということは正気なのか」。

ある国内大企業の最高経営責任者(CEO)は、サムスン電子の器興・華城・平沢半導体工場の工程情報の核心を盛り込んだ「作業環境測定結果報告書」を、外部の第三者に公開することにした雇用労働部の決定を強く叱責した。工場内の機械の配置と化学物質の使用など、一部の情報だけでも韓国の革新プロセスを追撃する海外競合企業には数百億ドルの価値があり、政府がこのような現実を全く無視したまま「机上の行政」を繰り広げているというわけだ。財界では政府が安易どころか無能までにという苦言が出ている。

このCEOは9日に毎日経済新聞と会って、雇用部がサムスン電子報告書をある総合編成チャンネルで公開することにしたことに対し、「企業の現実を全く知らないもの」だと重苦しさを隠せなかった。このCEOは、「専門家らは工程をちらっと盗み見ても勘所をつかむことができるので、工場や工程は外部に公開しないことが企業の基本的な原則」だとし、「工場内の生産ラインの長さが30メートルなのか50メートルなのかさえも企業機密」だと説明した。

このCEOは「プロセスラインの長さの違いに対し、競争企業間では相互の生産性の違いを把握できる端緒を得る」とし、「この事実がわかれば、当然その違いは何なのかを見つけようとする」と説明した。

財界は1970~1980年代に電子・石油化学・造船など、わが国の各産業の代表企業が世界最高の製造業国である日本を訪問し、工場の生産ラインからたったひとつのヒントでも得ようと涙ぐましい努力をしたという点を思い出し、内部情報を簡単に露出してはならないと口をそろえる。

このような財界の反発にもかかわらず、雇用部はこの日のブリーフィングで「大田高裁の判例から分かるように、公共機関の情報公開に関する法律の趣旨は、企業の経営上・営業上の秘密として見ることは難しい情報に対し、一般人と労災当事者を区別しない」とし、手続き上は瑕疵がないとした。

しかし、また別の財界CEOは「他国の競合他社の工場を見て回ると、特定の工程で使用した材料のごみを拾ってきたほど、工程ごとにどのような原料が使用されるかは重要な情報」だとし、「サムスン電子の半導体プロセスの化学物質情報が、競合企業の技術専門家に重要な情報になる」と強調した。

別の大企業のCEOは、今回の事件で重要な技術情報流出の可能性を甘受して政府の調査に協力し、すべてのことを公開してきた企業と政府の信頼関係が、深刻に損なわれることがあると警告した。

このCEOは「企業の技術情報、それも国家核心技術として指定された営業秘密は、国民の知る権利が強化される時代精神にしたがってゴムのように変えてはならない」とし、「よくない行政で国民経済を支える企業と雇用の両方を失うことになる結果をもたらすだろう」と警告した。

鉄鋼業界のある経営者も、「一般の人が見るにはささいに見える端緒が、専門家には重要な情報になる」と警告した。この経営者は、「不特定多数に工場の営業秘密がもれることが起こりうるという仮定が、今回のサムスンと雇用部の対立の結果によっては現実化することがありうる」とし、「最初の先例結果に基づいて、今後は国家核心技術で保護される各企業は、情報公開請求でリスク管理の負担が大きくなるのはもちろんのこと、誠実性を基盤にして維持されてきた政府との関係でも不確実性が拡大するだろう」と心配した。
  • 毎日経済_ファン・ヒョンギュ記者/ソン・イルソン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-04-09 20:05:58




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