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「第2健保公団」設立を推進…外国人・在外国民の健保医療


  • 「第2健保公団」設立を推進…外国人・在外国民の健保医療
  • 外国人・在外国民の健康保険支出規模



在米同胞のキム某さん(71・女)は昨年4月、韓国内の親戚の家に遊びに来て韓国の医療を存分に活用し、今年の初めに帰国した。彼女は何日かだけとどまって米国に戻るつもりだったが、健康保険料を3ヶ月分だけ支払えば韓国人と同じように保険給付を受けることができるという話を聞いて耳をそばだてた。

キムさんは数か月のあいだ親戚の家に寝泊まりして、インプラント手術と右ひざの人工関節手術を受けた。人工関節の治療にかかった費用は、手術費330万ウォンと入院費そしてリハビリ治療費などを合わせて586万ウォンだった。キムさんは米国で人工関節の手術をした場合、少なくとも2000万ウォン以上を負担しただろうが、国内では4分の1しか支払っていないわけだ。数十万ウォンに過ぎない3ヶ月分の健康保険料だけを支払い、母国で高価な治療を受けたわけだ。

中国人のAさんは自国の病院で「多剤耐性肺結核」の診断を受けたが、昨年の下半期に短期観光客として韓国に入国し、数カ月のあいだ国内で集中的な治療を受けた。治療費は約3000万ウォンになったが、一銭も出さなかった。韓国政府が実施している結核無料治療方針を悪用したわけだ。

このように、外国人も3カ月分の健康保険料だけ支払えば地域保険加入者の資格を得て、韓国人と同じように健康保険の適用を受けることができる点を悪用し、高価な薬剤を集中処方された後に出国したり、家族を被扶養者として登録して国内の医療給付をかすめとる事例が増えて、社会的論議が高まっている。外国人の「渡り鳥」医療ショッピングで毎年、外国人医療保険で1000億ウォン以上の赤字が発生するなど、健康保険の財政にもかなりの圧力を加えている。外国人が支払った健保料比での診療費が大幅に増え、健康保険財政の収支赤字は2015年に1242億ウォンに達し、2016年には1735億ウォンに急増した状態だ。

このような外国人渡り鳥医療ショッピングで漏れる税金を防ぐために、在外国民と外国人を対象とする「第2健康保険公団」の設立が推進される。在外国民と外国人も、国内の国民健康保険加入者のように毎月一定額を支払えば、内国人と同じ医療費給付の恩恵を与えることが骨子だ。

政界と医療業界によると、外国人専用の第2健保公団の役割を果たす「グローバル開放型健康保険公団」(仮称)の設立が具体化している。グローバル開放型健康保険公団は、約3000の病院が会員として加入している「大韓中小病院協会」を中心に議論されているが、与・野党の国会議員が積極的に共感している。在外国民750万人と、米国・日本・東南アジア・中東地域の外国人が韓国の健康保険に加入する開放型健康保険制度を導入し、これを運営・管理・執行するグローバル開放型健康保険公団を、現行の国民健康保険公団とは別途に設置するわけだ。

政府はグローバル開放型健康保険制度と公団設立・運営の妥当性の検討をはじめとし、政策を樹立して管理監督する機能を遂行する。

公団は在外国民と外国人が支払う健康保険料で運営される。大韓中小病院協会のイ・ソン会長は、「昨年の健康保険収入58兆ウォンを国民数で割ると、一人当たりの平均負担額は約10万~11万ウォンという計算になる」とし、「在外国民と外国人が韓国人のように、毎月これに相当する100~120ドルを負担すれば、韓国で治療を受けるとき同じように医療費給付の適用を行おうというもの」だと説明した。

外国人専用の健康保険制度の導入と公団設立の議論が急流に乗っているのは、「外国人渡り鳥」治療で財政の漏れが深刻化しているという判断からだ。昨年、国政監査に提出した国民健康保険公団の資料によると、2015年から2017年7月までの過去3年間に健康保険を取得した後に病院で治療を受けて出国し、健康保険の資格を喪失した外国人は2万4773人にのぼる。さらには癌患者が韓国に入国し、3ヶ月間の健康保険料を支払って健康保険地域加入者の資格を得て、がん治療を一年以上受けた後に出国する事例もあるという。

このために健康保険公団は2014年末から、外国人と在外国民が国内での健康保険の優遇を受けるには、3ヶ月分の健保料を前払いするようにし、地域加入者資格の獲得条件を企業投資や技術指導ビザを持つ、あるいは留学・就職・結婚などの3ヶ月以上国内居住が明白な場合に限定したが「渡り鳥」は減らない。

外国人専用の第2健保公団を設立すると血税の浪費を防ぐことはもちろん、雇用創出にも役立つだろうという診断だ。イ・ソン会長は「これまで不法に行われた外国人の健康保険料の食い逃げは、逆説的に韓国の医療価格対比で水準が非常に高く、その分の需要が多いということ」だとし、「グローバル開放型健康保険公団を設立してこれを陽性化した場合、中小病院の活性化と雇用創出、ひいては世界医療の民主化にも寄与することになるだろう」と強調した。

ハンリム病院のチョン・ヨンホ病院長は、「国内の病床は約60万床で、大学病院はほぼ100%稼働するが中小の病院は平均60%に過ぎず、約20万~30万病床が空いており、グローバル開放型健康保険公団を設立し、外国人の保険加入者を誘引するならば良質の雇用創出と国家経済にも恩恵をもたらすことだろう」と期待した。
  • 毎日経済_イ・ビョンムン医療専門記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-04-10 23:45:10




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