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サムスングループ、つま先に落ちた「半導体危機論」


  • サムスングループ、つま先に落ちた「半導体危機論」


◆ 財界「2019年が怖い」 ◆

サムスン電子の危機感が高まっている。

今年に入って営業利益の79%を半導体で稼ぎながら、しかし「半導体がサムスン電子の実績を良く見えるようにする」という「半導体錯視論」が優勢だったが、第4四半期からは「危機論」が広がっている。事業面で見ると、供給過剰で第4四半期から半導体の景気が本格的に鈍化し始めたうえに、テレビ・家電・スマートフォンなどは中国の激しい追撃で困難を経験しているということが理由だ。これとともに、米・中の貿易紛争の火の粉がサムスン電子などにふり掛かることがありうるうえに、世界的な景気減速と金利引き上げの雰囲気までが加わり、外部の経営環境も大きく悪化している。

このような雰囲気のために、サムスン電子は事実上「危機管理」に突入したという評価が財界から流れ出ている。サムスン電子の高位関係者は、「家電・スマートフォンは危機感を感じていた」とし、「半導体部門も1~3四半期に最高の実績を出したが、第4四半期のメモリ景気の鈍化で雰囲気も重くよどんでいる」と説明した。この関係者は、「半導体錯視はいまや危機感に変わった」と付け加えた。

◆ 半導体の実績・投資は今年よりも低調

サムスン電子の事業は大きくDS(半導体・部品)、CE(テレビ・家電)、IM(スマートフォン・通信機器)部門で構成される。その中でもDS部門がサムスン電子の成長動力であり、韓国の成長率を引き上げる親孝行役を果たしてきた。 DS部門では半導体の景気好調と大々的な技術投資で、今年の1~3四半期に昨年より35.1%も増えた営業利益38兆100億ウォンを記録した。この会社全体の営業利益のうちの79%に達している。同じ期間にサムスン電子全体の営業利益は、38兆5000億ウォンから48兆800億ウォンに24.9%増加した。しかしDS部門を除いた営業利益を見ると、10兆5600億ウォンから10兆100億ウォンに5.2%減少した。

サムスン電子には第4四半期から供給過剰などで半導体景気が折れることは大きな脅威だ。 DDR4 8Gb(ギガビット)の固定取引価格を基準にしたDRAM価格は、今年9月の8.19ドルから11月は7.19ドルに2カ月連続下落傾向を示し、証券業界ではサムスン電子の営業利益の低下はもちろん、投資額さえ減らすだろうと予想している。ハナ金融投資は、今年のサムスン電子DS部門の営業利益は48兆620億ウォンに達した後、来年は37兆1090億ウォンで22.7%減少すると予想した。これにより、全体の営業利益も昨年の53兆6450億ウォンから、今年は63兆890億ウォンでピークに達した後、来年には16.6%減の52兆6440億ウォンで、2017年以前の水準に戻ると観測した。

市場調査機関のICインサイツ(IC Insights)は、来年のサムスン電子の半導体設備投資の規模は、今年よりも20%減少した180億ドル(約20兆ウォン)にとどまると観測した。 ICインサイツは「メモリー半導体の下落局面が来年の上半期まで続くものと予想される」とし、「これによって半導体各メーカーは投資を縮小することがありうる」とした。これは来年の韓国経済に悪影響を与えることがありうる。

サムスン電子の半導体危機感は、中国の牽制でも始まる。米・中貿易紛争で輸出に支障をきたす可能性を排除することができないうえ、中国政府がサムスン電子やSKハイニックスなどに対して独占禁止法の調査を行っているからだ。また、長江メモリテクノロジー(長江存儲科技/Yangtze River Storage Technology)やイノトロン(睿力集成電路)などの中国企業がDRAMの量産に突入する準備をしている点も、市場に影響を与えることがありうる。サムスン電子の関係者は、「去る8月に3年間で180兆ウォンを投資する計画を発表したが、その後の経営環境が大きく悪化しており、当初の計画通りに執行できる心配だ」と語った。

◆ スマートフォンとテレビなどの中国追撃に「緊張」

スマートフォンやテレビなど、サムスン電子の1位品目も中国の追撃に苦戦している。市場調査機関のストラテジーアナリティックス(SA)の集計を見ると、第3四半期のスマートフォン市場で1位のサムスン電子(20.1%)と2位のファーウェイ(14.4%)の間の格差は6%ポイントもならなかった。ファーウェイのリチャード・ユーCEOが2016年2月に「3年以内にスマートフォン市場でシェア2位、5年以内に1位に上がる」と明らかにしたが、達成時点が繰り上げられている。スマートフォンの追撃は中国政府の差別的な自国企業の育成政策と、中国企業の露骨な技術者の引き抜きによるものだ。

SAによると、中国スマートフォン市場でのサムスン電子のシェアは、2013年は20%で1位を走ったが昨年末は0.8%台にまで急落した。中国政府は2014年、スマートフォン産業を育成しようと自国企業に補助金を支給した打撃を受けたものだ。けっきょくサムスン電子は中国・天津の携帯電話工場を年末に撤収することにした。

テレビ市場でも中国企業が低価格市場を中心に少しずつシェアを伸ばしている。サムスン電子は第3四半期、金額ベースではテレビ市場で1位(28.4%)を走っているが、第2四半期に比べて1.3%ポイント下がった。一方、同じ期間に中国のハイセンス(海信集団)は5.9%から6.5%に、中国のTCLは5.5%から6.7%にシェアを高めた。
  • 毎日経済_キム・ギュシク記者/イ・サンドク記者/チョン・ギョンウン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-12-13 17:43:18




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