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[コラム] なぜ豚は汚い動物という烙印を押されたのだろうか


12干支の最後を飾る動物である豚。

豚は東洋と西洋を問わず汚くて、おいしく食べるための動物だと蔑視されている。豚としては悔しくて仕方がないだろう。

豚という言葉自体がそうだ。

韓国語には家畜の子を称するマンアジ(子馬)、カンアジ(子犬)、ソンアジ(子牛)、ピョンアリ(ひよこ)というかわいい呼び方があるが、豚は子豚も母豚もただの豚だ。

実は豚は本来、子豚を意味する言葉だった。韓国では昔、豚を「トッ」または「ド」で呼んでいた。これに子を意味する「アジ」がついた「ドヤジ」が子豚だった。結構語感がかわいらしい。しかし歳月が流れてドヤジが縮約されて豚(テジ)に変わり、意味にも母豚が含まれてしまったのだ。母豚と子豚を区別しなくなったので、豚は上下がない動物になったようだ。

最近出来た新造語でも豚は「アンヨデ(メガネ+にきび+豚)、ヨダプテ(女にだけ返事をする豚)など軽蔑的な言葉として使われている。西洋でも尊敬されていないのは同じだ。ドイツ語では最もひどい悪口として、Pigは変態、女たらしという意味がある。

豚が汚い動物の象徴になってしまった理由は純粋に人間のせいだ。

鼻と肛門の汗腺が限られているために泥入浴が好きな豚。本来は水が豊富で涼しい場所で生きていた動物だ。畜舎が広いならば、場所を区別して1ヶ所に用を足す清潔な動物だ。畜舎の清掃をきちんとしてあげなければ体温維持のために自分の排泄物中で寝転ばなければならない。

動くこともできない狭いケージに閉じ込めておいて、汚くて不快な動物だとののしっているだろう。

豚工場とも呼ばれた金属のケージ(Cage)に閉じ込められた豚はストレスが溜まり性格も乱暴になり、免疫力も弱くなって口蹄疫になりやすいにも関わらず、口蹄疫が発生すれば豚を抹殺させる野蛮な行為をしながらも飼育方式を直そうとしないのが人間だ。

人を豚を育てるように閉じ込めておけばどうなるだろうか。

そのようなひどい扱いを受けながらも豚は不潔で欲張りの象徴になってしまった。

なぜ豚を冷たくあしらうのだろうか。

もしかしたら豚は飼い慣らしにくいからかもしれない。

子豚を捕まえようと飛びかかったり、かわいいと言って持ち上げると必死で暴れる。モンゴルでは野原に豚を放牧して育てるが、モンゴルへ旅行に行った人が何も知らずに豚に近づいたところ災難に遭ったりもする。

人間によって飼い慣らされてから家畜に変わったが、まだ自由な魂を所有した動物だ。だから人々は豚にわざと侮辱を加えているのかもしれない。昔、人間の最も強力な食料の競争相手だった豚に残った自由への渇望。

2019己亥年にその渇望が満たされることを祈る。

豚の夢が一攫千金を迎えるのではなくて、お金と快楽、風習など自分を締めつけている全てのものから自由になる夢であることを願う。
  • Lim, Chul
  • 入力 2019-01-03 00:00:00




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