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韓進家、お家騒動?…「経営権葛藤説」

莫大な相続税と急騰した株価も一因? 

  • 韓進家、お家騒動?…「経営権葛藤説」
  • 左から趙源泰(チョ・ウォンテ)氏、李明姫(イ・ミョンヒ)氏、趙顕娥(チョ・ヒョナ)氏、趙顕旼(チョ・ヒョンミン)氏。



「同一人」は、サムスンのような総帥に存在する企業集団の場合は主力系列会社の株式が多く、実質的支配力のある自然人を意味する独占規制及び公正取引に関する法律上の用語で、特定企業集団の「会長」とは意味が異なる。

李雄烈(イ・ウンヨル)前コーロン会長が今年の1月1日付けでコーロングループ会長と持株会社の(株)コーロン代表取締役を退いたが、公正取引委員会はまだ李雄烈前会長をコーロングループの「同一人」と判断している。コーロン株の49.74%を有しており、この大企業集団の経営活動に対する直接または間接の支配力が最も高い人物と見ているからだ。

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公取委は通常、毎年2月頃に同一人の希望者本人の自筆署名を含む大企業集団の意見書を受けて、その人物を同一人として指定するが、昨年のサムスングループとロッテグループの場合のように、大企業集団の意見とは異なり、公正取引委員会の判断にしたがって同一人を変更して指定することもある。

総帥(オーナー)の死去以後に新しい総帥を遺族が決定できず、公正取引委員会の大企業集団指定現況発表が延期されたのは今回が初めてだ。先月、趙亮鎬(チョ・ヤンホ)前韓進グループ会長の死去以降、事実上の総帥格である新しい同一人をめぐって、遺族が意見の一致を成し遂げられなかったからだ。

韓進グループの周辺では総帥一家の経営権を確保する範囲で、チョ前会長の遺族間で相互に納得可能な株式などの財産配分に合意しなければならない韓進グループ特有の状況が、総帥を指定できない異例の状況を演出したものと見ている。

行動主義ファンドのKCGI(Korea Corporate Governance Improvement/韓国支配構造改善ファンド、別名「カンソンブ・ファンド」)は、韓進KALの持分率を先月末の時点で14.98%まで増やしてきた。韓進グループ総帥一家の経営権が脅かされている状況であることから、チョ前会長の持分が趙源泰(チョ・ウォンテ)代表理事などの特定人に集中するだろうというのが、チョ前会長の死去後の財界と政界の観測だった。

しかし韓進グループが公正取引委員会に同一人の変更申請書を適時に提出できなかったことは、チョ・ヤンホ前会長の妻である李明姫(イ・ミョンヒ)前一宇財団理事長とチョ・ウォンテ韓進KAL代表取締役会長、趙顕娥(チョ・ヒョナ)前大韓航空副社長、趙顕旼(チョ・ヒョンミン)前大韓航空専務のあいだの株式に関連した交通整理が成立しなかったということだ。

「株式継承をめぐって内訌があるのか」という記者の質問に、キム・ソンサム公取委企業集団局長は、「(内部事情については)わからない」とし、韓進グループのメディア担当部署もまた、「書類作業が遅れたことから公正取引委員会に資料提出が遅れており、経営権紛争などに関連してはわからない」と言う。

しかしある法曹界の人物は、「経営権を守るためにチョ・ウォンテ会長に株式を集中的に回す方向で議論されてきたが、株式ではなく他の財産をチョ・ヒョナ元副社長とチョ・ヒョンミン前専務にどのように配分するかをめぐり、合意ができていないという話が出回っている」とした。

このように意見の一致が遅れている理由には、チョ・ヤンホ前会長の韓進KAL株式の継承に必要な莫大な相続税負担も一役買っているようだ。

韓進グループの事情に明るい金融圏の関係者は、「チョ・ヤンホ前会長の韓進KAL株式を継承するために必要な金は、いま現在の株式価値に単純計算しても4000億ウォンに達する」とし、「相続を受ける立場からは、相続税を払えるが今後20年のあいだ借金に苦しむことになる」と言う。この関係者は引き続き「相続を仕上げる期間がチョ前会長が死亡した後の6ヶ月で、あえて無理をして意見書を出す必要がないと判断したのかもしれない」と付け加えた。チョ・ヤンホ前会長の相続税申告期限は10月31日だ。

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最近、急激に上昇した韓進KALの株価も、韓進グループ一家には負担になる部分だ。昨年の上半期までは1万ウォン台にとどまっていた株価は、先月は4万ウォンを超えることもあった。 KCGIが経営権紛争に乗り出して急騰したわけだ。 KCGIの投資目的会社であるグレースホールディングスが保有する韓進KALの持分は、昨年末の12.68%から現在は14.84%にまで増えた。

韓進グループの持株会社である韓進KALが持分2%ほどを持っている静石仁荷学園(チョンソクイナハグォン)などの公益法人を介して、韓進グループ総帥一家が支配構造の場を新たに組む可能性も提起される。

アン・サンヒ大信支配構造研究所本部長は、「チョ・ヤンホ前会長の持分を総帥一家の影響が及ぶ公益法人に預けておく方式も考慮されだろう」とし、「公益法人は特定企業の総株式の5%、誠実公益法人は10%まで保有することは寄付と見て免税されるため」だと説明した。

公取委のキム・ソンサム企業集団局長は、「公益法人も同一人になれるが、公益法人を実際に支配していると思われる自然人を総帥として指定する」と説明した。

公取委は、公正取引法上の大企業集団指定現況の発表期限である今月15日までに、韓進側に次期同一人変更申請書と関連する資料を提出して欲しいと奨励するが、韓進側が期限内に資料を提出しない場合は職権で同一人を指定する予定だ。

韓進グループの期限内資料の提出が不透明な状況であることから、公取委は事実上は8日から公正取引委員会の独自判断による、韓進グループの新しい同一人を検討する作業に乗り出したことが分かった。公取委はこの日に配布した報道資料で、「公正取引法に基づく指定資料提出要求に対して正当な理由なく資料提出を拒否したり、虚偽の資料を提出した場合は2年以下の懲役または1億5000万ウォン以下の罰金を賦課されることになる」と強調した。

韓進側の資料提出延期にともなう刑事告発の対象はイ・ミョンヒ前理事長、チョ・ウォンテ会長、チョ・ヒョナ前副社長、チョ・ヒョンミン前専務の誰を指すかどうかについての質問に、公正取引委員会側は「現在は検討中の段階」だと答えた。
  • 毎日経済_ハン・エギョン記者/ジョンソクオ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2019-05-08 18:01:51




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