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イ・セドル棋士の最後の勝負…再びAI超える


プロの棋士から引退したイ・セドル9段(36)は、引退前に国産の囲碁人工知能(AI)「ハンドル」を破って自分の別名である「センドル」の自尊心を守った。イ・セドル9段は2016年、Googleディープマインドが開発したAI「Alpha Go」と広げた世紀の対局で貴重な1勝を収めた後の3年ぶりに勝利を追加して、AIが完全ではないことを証明した。

イ・セドル9段は18日、ソウル市江南区道谷洞のボディフレンド社屋で開かれた「ボディフレンドブレインマッサージ杯 イ・セドル対ハンドル」置き碁3番碁の第1局から92手でプルゲスン(中押し勝ち)を収めた。プルゲスンは囲碁でかぞえずに勝利することで、これ以上の続けても勝てないと判断したハンドルが放棄してイ・セドル9段の完勝に終わった。

2016年のアルファGoとの対局当時は互先(たがいせん)で対戦したが、9段はこの日の対決では黒を持って2つの石を先に置いて開始した。これはハンドルが9段より実力が高いことを認めたという意味だ。ハンディキャップのために不利な形で始めたハンドルは攻撃的に碁を進めながら少しずつバランスを合わせて行ったが、これに対してふだんは攻撃的な囲碁で有名なイ・セドル9段が守りで取り組みながら、約50手まで激しく闘った。しかし対局が1時間50分ほど進んだ状況で雰囲気が変わった。

3年前の「神の一手」でアルファGoを破ったときのように、78手が勝負の変曲点になった。同様に、この日も9段が78手を置くやいなや、ハンドルが「長文」を把握できず、中央をそのままあけ渡してしまった。ハンドルは黒を攻撃する過程で、そこそこのプロ棋士であれば絶対にやらないミスを犯したわけだ。結局、ハンドルはいくつかの手をさらに置いたが降伏を宣言し、92手めの午後2時23分頃に1局が終わった。

この日の最初の対局でハンドルが敗れたが、国産AI囲碁プログラムの実力が過去のアルファGoに及ばなかったり無視できるレベルではないというのが専門家たちの評価だ。 NHNが2017年12月に出荷した囲碁AIハンドルは、昨年12月と今年1月に開催された国内上位棋士5人(パク・チョンファン、シン・ジンソ、キム・ジソク、イ・ドンフン、シンミンジュン9段)との対局ですべて勝利し名前を上げた。去る8月には中国の山東省で開かれた「2019中信証券杯世界人工知能囲碁大会」では3位に上がって実力を証明した。大国の実力を評価する「Eloレーティング」を基準にして、平均的な囲碁9段のプロ棋士の実力が3500であり、3年前のアルファGoは3700ほどだったし、ハンドルの碁力は4500を超えるレベルとして評価される。

イ・セドル9段はこの日の試合後、「近年は10日ほどは食べて寝る時間以外は2石を置いたままで囲碁の練習をしてきた」とし、「2石囲碁を研究してみると、守備にまわるのが少しでも勝率は高いだろうと思った」と語った。ハンドルを開発してきたイ・チャンユルNHNゲームAIチーム長は、「マシンラーニングは学習量が多ければ多いほど上がるが、2石碁に対する準備期間が不足していたようだ」と明らかにした。

イ・セドル9段が1局で負けた場合には2局では3石を、逆に勝った場合には合わせ碁に変えることにした。これによってイ・セドル9段は、いまやAIとの勝負を再び原点から始めることになった。アルファGoと互先で対戦した2016年から、AIとの真っ向勝負の対局を約3年ぶりに再現するわけだ。最初の対局を心地よい勝利で終えたが、9段は19日に同じ場所で2局、21日には自身の故郷である全羅南道新安のエルドラドリゾートでの3局を進行する。

去る11月、イ・セドル9段は韓国碁院に辞表を提出して25年のプロ棋士の生活を終えた。アルファGoを相手に1勝をあげた人類唯一の棋士だが、9段は「今は勝って気分をくするべきか、よく分からない。多くの準備をしたが虚しく勝った」と第1局を振り返った後、「勝敗がどうとかよりも、最善をつくす人間の姿を見せたい。最善を尽くせば奇跡も起きるのではないだろうか」と余韻を残した。
  • 毎日経済_イ・ヨンイク記者/ホン・ソンヨン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2019-12-18 19:50:16




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