トップ > コラム > オピニオン > [コラム] 非情なプロの世界

[コラム] 非情なプロの世界


スポーツ専門誌だけでなく放送局や新聞社にはスポーツ担当、その中でも野球担当記者がものすごく多い。韓国で最も人気が高い球技種目であるため、球団別に専担記者を配置している。だから、自然に記者が増えたわけだ。

シーズン中には仕事がたくさんある。試合結果を報道するだけでも紙面がいっぱいになるほどだ。しかし、シーズンが終わった後は記事にする内容があまりない。球団と選手たちの裏面を覗くことになる。

  • [コラム] 非情なプロの世界
10月28日、SBSは単独報道として、独立球団の「キウム・ヒーローズ」2軍選手たちが朝食と夕食を周辺の間食店で解決すると報道した。報道内容だけを見ると、まるで毎日汗を流すスポーツ選手がラーメンや海苔巻きで食事を済ませているような感じがする。

果たして本当なのだろうか?

SBSの報道が流れた後、あるスポーツ新聞で野球選手が朝食を食べる飲食店を訪ねた。選手たちが泊まる宿所のすぐ隣にある海苔巻き屋だった。

飲食店を運営するシムさんは、放送を見て怒っているそうだ。食欲旺盛な選手たちのために、朝早くから夜遅くまで食事を準備したのに、のり巻き程度の物を与えているという誤解を招いたため、悔しかったのだろう。朝は、午前5時半(遠征に行く日は午前4時半)に出勤して25人分の食事を準備した。様々なおかずにスープ、目玉焼きは基本で、朝食はプルコギ、夕食はポッサム(茹で豚)、鶏肉の炒め物、肉の炒め物などを作って準備したそうだ。

食べる人は25人だけど50人用の釜に、ご飯を炊いたそうだ。食べ盛りの年齢である上、スポーツ選手なので、それくらいはしないと満腹に食べられないと思ったからだ

SBSの記者は放送前に、この料理店を訪ねたのだろうか?選手たちが食べる食べ物を一緒に食べてみようとは思ったのだろうか?気になるところだ。

いや、食事の前に、たとえ年俸が少ない2軍選手でもプロ野球選手という事実を見落としてはなかったのかという疑問を抱かずにはいられない。

今は2100万ドルの年俸をもらっている米メジャーリーグの野球選手の秋信守(チュ・シンス)はハンバーガーを買って食べるお金がなかった時代を覚えている。子どもの粉ミルクを買うお金がなく、妻と抱き合って泣き、韓国に戻ろうかと悩んだ時代を経て、メジャーリーガーになった。

もちろん、誰もが困難な状況で必死に練習したからといって、スターになるわけではない。大半はチャンスさえ得られず終わってしまう。野球だけではないだろう。ゴルフは自分のお金で食事と寝泊まりを解決し、参加費を払って競技に出場するが、本選に進めなければ一銭ももらえないのだ。賞金額が億を超える選手が多いKLPGAの舞台でも100位圏外の選手たちの賞金は、1年で2000万ウォンにもならない。そのお金で全国を回りながら試合に出なければならないため、重いカバンを背負って試合を手伝うキャディー費用をまかなうことも難しい。

トップを夢見るプロ選手なら、その苦しみに耐えなければならない。それが、プロの世界だ。アイドル歌手を夢見て、所属事務所から一銭ももらえずに練習する練習生の立場も全く同じだ。

薄情だが、それがプロの運命なのだ。資本主義の非情さを骨の髄まで刻まなければならない世界だ。

2軍選手の食事の話をした放送記者にまでプロ意識を持つように注文することは難しいだろう。彼は毎月欠かさず出る給料をもらうサラリーマンだろうから。
  • Lim, Chul
  • 入力 2019-10-31 00:00:00




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア