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[コラム] いじめられっ子を苦しめるために、いたずら注文をした30人分のタッカンジョン


  • [コラム] いじめられっ子を苦しめるために、いたずら注文をした30人分のタッカンジョン
ジョン・グリシャム(John Grisham)の小説を原作にした映画『依頼人』(The Client) のワンシーンだ。独り身の母親の下で暮らす幼い兄弟が偶然、マフィア弁護士の自殺を目撃して繰り広げられる物語だ。

幼い子だからと甘く見たマフィアはもちろん、FBIまで笑いの種にするマーク。25歳で若死にしたブラッド・レンプロ(Brad Renfro)は、12歳で凶悪極まりないマークを演じた。上の画像は証言を拒否したという理由で、拘置所に収監されたマークが刑事のカードでピザ20枚を注文したシーンだ。

状況は全く違うが、似たようなことが韓国で起こった。注文した料理がピザではなくてタッカンジョンだったという点も違う。

ソウル近隣の盆唐(ブンダン)新都市にあるタッカンジョン店の主人は、夕方にタッカンジョン30人前の注文を受けた。金額で言うと33万ウォン分なので、夕方から予想以上に稼げたため、喜んで食べ物を準備した店の主人は、配達しに行った。

連絡先に記載された所を訪ねたら、注文者の母親が出てきてタッカンジョンを注文した覚えがないと不思議がった。「息子さんが注文したと伝えてください」という内容が書かれた注文書を見せると、「息子がいじめられているから、加害者がいたずら注文をしたようだ」と情況を明らかにした。 そして食べる人がいないから、3箱以外は持って帰ってほしいと言い、注文通り全額を決済した。

  • [コラム] いじめられっ子を苦しめるために、いたずら注文をした30人分のタッカンジョン
ここで、オーナーの苦悩がうかがえる。自分が注文してもいない食事代を全額払った被害者の母親への申し訳ない気持ち、いじめられている生徒への心配などが入り混じったのだろう。

オーナーはインターネットのコミュニティサイトに今回の内容を投稿した。被害者からもらったタッカンジョンの値段は全額払い戻し、売れなかったタッカンジョンは無料で分け与えるという内容だった。

オーナーは、いたずら注文をした加害者を相手に業務妨害の疑いで告訴したが、それによって被害者が、これまでいじめられていた全貌が明らかになった。

被害者も加害者も学生ではなかった。いずれも20代の青年だった。高校時代からある生徒をのけ者にしてきた加害者が被害者の名義で携帯電話を契約して300万ウォン程度を奪い取ったが、被害者がそれに耐えられず、通報しようとしところ、脅迫用にいたずらで注文したようだという事実も明らかになった。

同じ、いたずら注文だが、映画と韓国で起きた実際の事件に対する感じ方が全く違う理由は何だろうか?

少年の気の利いた行動は、強圧的な刑事に立ち向かった抵抗という感じがする反面、タッカンジョンのいたずら注文は、弱者とされる仲間を苦しめ、くすくす笑う反社会的な行動という点からだろう。こんな悪いことをしても大したことないという認識が知らないうちに広がっているかもしれないというのが、この事件が韓国社会に与える警告だ。
  • Lim, Chul
  • 入力 2019-12-26 00:00:00




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